星の王子様 読書記録 第2節 王子様との出会い
星の王子様の著作権は2005年に切れました。ここはフランス語を学び、文学を学ぶ贅沢欲張りな自分のためのページです。よく調べないといけません。編集中とんでもない間違いが見つかることもしばしば。
🌈訳
このように、6年前にサハラ砂漠で故障するまでは、腹を割って話す人も全くいないまま、僕は一人で生きてきた。エンジンの何かが故障したのだ。
僕には、エンジニアも、同乗者もいなかったので、たった一人で、難しい修理を成功させるべく、準備をした。僕にとっては、死活問題だった。かろうじて一週間の飲み水しかなかった。
🌈単語
avec 前置詞 ~と共に
ainsi 副詞 このように、そのように
boire …を飲む
difficile 形容詞 難しい
eau 女性名詞 水
essayer …しようと試みる 英語でいうtry
huit ・・・形容詞 8つの
il ・・・ ここでは、il y aで使う 非人称代名詞 英語でいう it
jours ・・・jourの複数形 1日 日
jusque ・・・ ・・・まで
mécanicien ・・・名詞 機械工、整備士
mort ・・・女性名詞 死亡
moteur ・・・男性名詞 エンジン、発動機
panne ・・・女性名詞 故障;停止
passagers ・・・名詞 乗客、旅客
peine 女性名詞 罰 心痛 苦労
préparai préparerの直接法単純未来 ~を準備する
quelque 不定代名詞 ある量の、ある程度の ある、なんらかの、何か
qui 関係代名詞 英語でいうwhoに当たる ~な人
réussir 自動詞 成功する、うまくいく 他動詞 ~に成功する、うまく・・・する
réparation 女性名詞 修理、修繕;(複数で)(建物の)修理工事
sans 前置詞 ~のない;なしに 英語でいうwithout
seul 付加形容詞 一人きりの、単独の、連れの無い
vécu vivreの過去分詞形
véritablement 副詞 本当に 非常に
vie 女性名詞 生命、生、一生、生涯、生活
y 副詞 ここでは、 il y aで使う 副詞 英語でいうthere
🌈熟語
dans le désert du Sahara サハラ砂漠で
sans personne 何もなく
quelque chose 何か
une qustion de vie ou de mort 死活問題
pour huit jours 八日間 一週間(フランス語では、本日から数え始めて、来週の同じ曜日まで含めるため、八日間になる。これで一週間)
parler véritablement 腹を割って話す ありのままに話す
il y a six ans 6年前
tout seul 全く一人で
se préparer à ~ ~の準備をする
à peine ほとんど・・・ない、かろうじて
🌈語法
✅à peine
文頭に置かれると、普通、主語と動詞は倒置される。
à peine de 無冠詞名詞 ないに等しいほどの・・・、あるかないかの ここでは、l'eauが続いていて、冠詞があるので、これは使われていない。
🌈文法
sans personne avec qui parler véritablement
このpersonneという単語は、女性名詞として、人、とか、人格という意味を持っている一方、不定代名詞で、誰も・・・ないと言う意味も持っているので注意。neと使われるのが通常だが、ここではsansを使っている。
また、neのほかに、jamais, plus, rienは併用できるが、pas, pointは併用できないようだ。
🎁Je ne connais personne de plus gentil que cette fille.
あの子ほどやさしい娘はいない。
🎁Personne d'autre que vous n'est venu hier.
昨日は君のほか誰も来なかった。
🎁je me préparai à essayer de réussir, tout seul, une réparation difficile.
préparaiはpréparerの単純過去形
il y a 超頻繁に用いられる非人称構文。英語でいうThere is のような。
Il y a + 時間で 今から~以前に
🌈訳
最初の夜 僕は人が住むありとあらゆる土地から数千マイル離れた砂の上で眠りについた。大海のど真ん中にうかぶ筏の上の遭難者よりも、ずっと孤独だった。だから太陽が昇る時分、小さな、変な声が僕を起こした時、僕がどれだけ驚いたのかを想像してください。
ねえ、羊の絵を描いて!
ああ?
羊の絵を描いて!
🌈単語
alors 接続詞的に だから、それゆえ
drôle 形容詞 面白い、こっけいな、愉快な、おどけた、変な、奇妙な
disait direの第3人称単数形 言う 英語でいうsay
dessine dessinerの命令形 (鉛筆で)描く 英語でいうdraw
endormi endormirの過去分詞 …を眠らせる
habitée habiterの過去分詞 ~に住む
isolé 形容詞 建物などがぽつんと離れた、人里離れた、孤独な 英語でいうisolate
imaginez imagineの敬称形 複数形第二人称 vous (あなたの)
jour 男性名詞 一日 日 曜日
lever 男性名詞 起床、日の登る時刻
mille 形容詞 1000の
milles 直前の1000のという意味のmilleは不変なので、millesは計量単位 海里、マイルを指す。mille millesで、1000マイル 紛らわしいけど注意。
milieu 男性名詞 空間や時間の 中央 真ん中
mouton 男性名詞 羊
naufragé nafragerの過去分詞 遭難した、難破した 名詞 遭難者
océan 男性名詞 大洋、海洋、大海
petite 形容詞 女性名詞型 小さい
plaît plaireの第3人称単数形 …の気に入る、・・・の意にかなう
radeau 男性名詞 筏
réveillé réveillerの過去分詞 …を目覚めさせる、起こす
sable 男性名詞 砂
soir 男性名詞 夕暮れ 夕方
surprise 形容詞 surprisの女性形 不意を突かれた 驚かされた
toute toutの女性形
terre 女性名詞 地面 陸 土地 土
vous 人称代名詞 二人称複数形 相手に対する丁寧な呼び方 あなたは
voix 女性名詞 声、音声;発声能力
🌈熟語
au lever du jour 日の出
terre habitée 住居地
plus ~ que … …よりさらに~だ ずっと~だ
se réveiller réveillerは他動詞だが、代動名詞でseを置くと、目覚めるとなる
S'il vous plaît どうぞ ~ してください。 英語でいうplease
🌈語法
✅drôle
面白い、滑稽なという意味で使われるときは、名詞の後に置く。
~de+無冠詞名詞で、変な~
drôleの性数は、無冠詞名詞の性数に一致する。
🎁une drôle d'odeur
🎁Ils portent de drôles de costumes.
✅une voix
不可算名詞が付くと言うことは数えられるということ?
フランス語では、不可算名詞でも、ある側面を捉えれば、不可算名詞をつけることができる。
✅mille 1000の という意味のmilleは不変
🌈文法
🌈基本文法
代動名詞 se + verb
se réveiller réveillerだけだと他動詞で、目覚めさせる 起こすと言う意味だけど、se réveillerになると目が覚めるとなる。これは、日本流に考えると、私自身を起こす、つまり、眼が覚めるとなって、自動詞的な意味に変化する。seは、私であれば、me, 君であれば、te,彼であればlui, 彼らであればleur
と変化することに注意。
結合
例えば、上の代動名詞だけど、助動詞avoirの第3人称単数形aと一緒に使っていると、m'a réveillé と融合する。
フランス語は結合が多いので、その都度注意する。なお、母音だけではなく、無音のhで始まる単語も対象となる。
quelque + un ⇒ quelqu'n
🌈訳
僕はまるで雷に打たれたかのようにさっと立ち上がった。僕は両目を良くこすった。じっと見た。すると大胆不敵に僕を見つめるかなり風変わりな坊やが視界に入った。これが、ずっと後になって、彼を描いた最も良い絵だ。でも僕の絵は、もちろん、モデルと比べれば全然大したことは無い。これは僕のせいではない。僕は6歳の時、大人によって絵描きとしては意気をくじかれてしまったし、中身の見えないボア大蛇と、見えるボア大蛇の絵を除いては、絵を描くことを全く学ばなかった。
🌈単語
bonhomme 男性名詞 人、男、やつ 親愛感を込めて 坊や
considérait considérerの条件法現在形第3人称 ここでは、注視する
extraordinare 形容詞 並外れた 特別の 臨時の 異常な 風変わりな
faute 女性名詞 間違い、誤り、ミス
frappé frapperの過去分詞 打たれた ショックを受けた
frotté frotterの過去分詞 磨かれた
foudre 女性名詞 雷 雷電
gravement 副詞 重々しく 荘重に
sauté sauterの過去分詞 跳ぶ 飛び跳ねる
sauf 前置詞 …は別として、…は除いて 英語でいうexcept
sûr 形容詞 ・・・については確かである 英語でいうsure
tard 副詞 (普段、定刻より)遅く、遅れて
moins 副詞 peuの劣等比較級 より小さく、さほど・・・ない
modèle 形容詞[体の部分が]端正な、形の整った 名詞 手本、模範 モデル
par 前置詞 …を通って、…から 英語でいうthrough
pied 男性名詞 (人間の)足
portrait 男性名詞 肖像、人物描写
regardé regarderの過去分詞 …を見る、眺める
ravissant 形容詞 素晴らしい、見事な
vu voirの過去分詞 見る
voilà 前置詞 そこに・・・がある、それが・・・である
yeux œl 男性名詞の複数形 目、眼;
🌈熟語
bien sûr もちろん
comme si + 直接法半過去 or 大過去 あたかも・・・のように
tout à fait まったく 完全に
le meilleur 最高の the best
moins ~ que … …より~ではない
Ce n'est pas ma faute. 私のせいじゃない。かなり頻出。
sauter sur ses pieds さっと立ち上がる (ここでは、jeが主語なので、sesではなく、mes)
🌈語法
comme si
仮定の拒否を強く示すときには条件法が用いられることがある。
(例:Comme si je serais responsable de sa mort!)
冗談じゃないよ、まるで彼が死んだのは私のせいみたいじゃないか。
直接法大過去の代わりによく接続法大過去が用いられる。(ここでは、雷に打たれたというのは仮想の話なので、接続法の方が筋が通った話になりそう。)
🌈文法
条件法とは・・・considérait
接続法との意味上の区別が難しい。両者は、現実に反することを述べるという点では共通しているが、条件法の場合は、現実に起こりうることを意図しているとか、接続法は、観念のみ、心理的状態を伝える、という違いがあるようだ。
ところが、他の書を調べてみると、最近の文法研究家は、条件法を、現在の心的状態を表している動詞だとみる向きがある。
条件法現在形はフランスの文法では、かつてはムード(心的状態)であると考えられてきた。文法研究家たちは、今はそれを直接法心的状態の時制と見なしている。
みんなあんまりよくわかってないんですね💦
どう違うねん。
他の何らかの物事が可能であるとするならば、あなたが行うこと。
条件的な望み。フランス語では、丁寧の条件法。
義務や職責。
実際には実現されていない、話者の心理的態度であることは共通しているようだ。
これを真に受けるとすれば、王子様が、大胆不敵な(心理的態度)心持で、僕を見つめている、という意味になるのだろう。
あっちの文法書やこっちの文法書に書かれていること、書かれていないことが違っていたりして、本当によくわからない。これは接続法の説明なんじゃないかと思うくらいだし。
💊フランス語の条件法は、仮定や何が起こるかについての声明で使われます。
💊いくつかの単語の条件法は、丁寧な要求、提案、拒絶を表現するために使われ、これは英語の条件法でも同様です。
💊ジャーナリズムの言葉では、条件法は、記者がまだ検証されていないと見なす主張を表現するために使われることがあります。これは調査ではなく情報源に基づくものです。英語での同等の表現は、通常、未来時制または現在時制です。
💊条件法は、フランス語では、コミュニケーションの主要な動詞(例:dire、écrire)や知識、信念を表す動詞(savoir、croire)の後の従属節で頻繁に現れます。また、主要動詞が過去時制の場合にも使われます。このような場合、フランス語と英語では時制の対応があります。つまり、主節が現在の場合、従属節は未来になり、主節が過去の場合、従属節は条件法になります。
で、もちろん現在の事実に反した条件法というのがある。
💊いくつかの文は、現在の状況とは対照的な条件を表しています。このような場合、フランス語では、si節には過去未完了時制が、主節には条件法が使われます。例えば、"Si tu sortais, je sortirais avec toi"は、事実とは対照的な条件を表しています。事実は「tu ne sors pas」であり、結果は「je ne sors pas avec toi」です。これは、「(しかし)もし君が外出していたら(でも君は外出していない)、私は君と一緒に外出していたでしょう」という意味です。なお、文の先頭にはsi節や主節のいずれかが現れる可能性があることに注意してください。
🌈翻訳 試行錯誤
j'ai réussi à faire de lui. (直訳)彼のすることに成功した
今回の翻訳で最も悩んだのがこの部分である。熟語としても、faire de ~なんていうものは辞書に載っていなかった。こういう時は、faireが英語でいうdoと同じ役割を果たしていることから推測して、一般的抽象的な動詞であるということをイメージする。今回、主人公が絵を描くことに成功した結果として、この絵ができたわけだから、faireは、描くと言う意味を、単に「する」と言い変えているのだと考える。
では、どうしてdeがluiの間に入っているのか。deを調べてみたら、最もしっくりくるのが、目的と対象のdeである。
例えば、
🎁la réception d'une lettre 手紙の受領
🎁l'étude du droit 法の研究
🎁la peur de mourir 死への恐れ
🎁le souvenir de ma mère 母の思い出
のように、~の、~を、~についてという意味の前置詞になる。
faire de lui 彼についてする(=絵をかく)deの前の単語が、どれも名詞であり、動詞ではないということは少し気がかりだが、とにかく彼の絵を描くという大意からして、大きな外れではないはずだ。
この後を読み進めて行き、celuiという単語を調べていると、こうした指示代名詞は、省略されることもあることをしった。ということは、
Je faire (celui) de lui. みたいなこともありえるかもしれない。
J'avais été découragé dans ma carrière de peintre par les grandes personnes
ここでのdansは、行為の対象、目標 …に対する、…を目標とした
の5番目の意味がしっくりくる。大人たちによって、絵描きという職業に対して失望させられた。
僕は驚きのあまり大きく見開いた丸い目でその幻影を見た。僕があらゆる居住地から何千マイルも離れたところにいたということを忘れないでください。ところがその小さな坊やは迷子になっているようにも見えないし、疲労困憊で死にそうになっているようにも見えないし、喉が渇いて死にそうにも見えないし、恐怖で死にそうにも見えなかった。あらゆる居住地から何千マイルも離れたところで、砂漠のど真ん中で迷子になった子がいるというのは、前代未聞のことだった。僕はやっとの思いで話しかけることができた。
<ねぇ・・・君はそこで何をしているの?>
と言った。
それから彼は私に、とても重要なことであるかのように、とてもゆっくりと繰り返した。
<ねえ、僕に羊の絵を描いて。>
🌈単語
apparition 女性名詞 出現、登場;発生 幻 亡霊
apparence 女性名詞 外観、外見、様子
alors その時
doucement 副詞 静かに、そっと、徐々に
égaré égarerの過去分詞 形容詞 道に迷った 迷子になった。
étonnement 男性名詞 驚き
enfin 副詞 ついに、とうとう、やっと 最後に 結局 要するに、つまり
fatigue 女性名詞 疲れ
là 副詞 ある離れた場所を漠然と指して、そこ。
mort 女性名詞 死 死亡
regardai regarderの単純過去形 第1人称 見た
région 女性名詞 地方、地域、地帯 領域 分野
répéta répéter …を繰り返して言う 英語でいうrepeat
ronds 形容詞 丸い、円形の、球形の
semblait semblerの第3人称単数形 ~らしい ~のように見える 英語でいえばseem
soif 女性名詞 渇き
trouvais trouverの半過去形 探し求めているものを見つける
oubliez oublierの丁寧語 忘れる
perdu perdreの過去分詞 失う、なくす
🌈語法
enfin en fin から作られた単語 finは最後の意味
🌈訳
不思議なことがあまりにも強い印象を与えるものだと、人はどんなに頑張っても意のままにならざるを得ない。それがあらゆる居住地から何千マイルも離れているところで、死の危険に瀕している僕に、どれほど馬鹿げたことであるように見えても、僕はポケットから紙切れと万年筆を取り出した。でも僕はそのとき地理学や、歴史、計算や文法をずっと勉強してきたことを思い出し、絵については知らないということを(少し悪い気を感じながら)その小さな坊やに言った。彼は答えた:
どうでもいいよ。羊の絵を描いて。
🌈単語
absurde 形容詞 ばかげた、非常識な、常軌を逸した
aussi 接続詞 だから、したがって、それゆえに
cela それ、あれ、そのこと
danger 男性名詞 危険、危険性;懸念
désobéir …に背く、従わない、不服従である
endroits 男性名詞 場所 所 居住している土地、地方、界隈
étudié étudierの過去分詞 用意周到な、入念な、吟味された
feuille 女性名詞 葉
humeur 女性名詞 気質 性質 気分、機嫌
impressionnant 形容詞 強い印象を与える、驚くべき、感動的な
semblât sembrerの第3人称接続法半過去形 ~のようであった(かにみえる)
sortis sortir 外出する
surtout 副詞 とりわけ、ことに、特に
stylographe 男性名詞 万年筆
mauvaise 形容詞 悪い、不正確な、間違った、不適切な
mystère 男性名詞 神秘、不思議、なぞ
ose oserの第3人称単数形 英語でいうdare 思い切って~する
papier 男性名詞 紙
poche 女性名詞 ポケット
rappelai rappelerの単純過去形 想い出させる、想起させる;連想させる ~をもう一度言う
trop 副詞 あまりに、過度に 英語でいうtoo
🌈語法
cela 話し言葉ではçaとなることが多い
désobéir 文章語では受動態で用いられることもある
oser 否定形ではpasがしばしば省略されるが、その場合少し意味が弱くなる。
sortirは、avoirではなく、êtreが助動詞になる。
de pocheで、ポケットサイズの
🌈熟語
sortir de ~から外に出る。
en danger 危険な状態に
de ma poche 僕のポケットから
une feuille de papier 一片の紙きれ
Ça ne fait rien. 何でもないよ。大したことじゃないよ。
🌈文法
接続法半過去形って何?
これは、形容詞節の中で利用される接続法のことのようだ。
💊形容詞節は、名詞を形容詞がするように記述する従属節です。形容詞節はまた関係節とも呼ばれます。
Il a un travail qui lui plaît.
彼はお気に入りの仕事をしている。
仕事、に形容詞的な作用を持つqui lui plaît.が付いている。
仕事だとしてもどんな仕事か?彼のお気に入りの仕事だ、といって、仕事を修飾している。
ということは、Aussi absurde que je me semblâtは、
バカげたことという名詞を、~のように見えるで修飾している形容詞節で使われているから、接続法半過去形が使われていると言っていいのではないだろうか。
🌈訳
僕は一度も羊の絵を描いたことがなかったので、彼には、自分が出来るたった二つの絵のうちの、1枚の絵をもう一度描いた。中身が見えないボア大蛇の絵だ。それから僕は、その小さな坊やが僕に答えるのを聞いて啞然とした。
違う!違う!僕はボア大蛇の中にいる象の絵が欲しいんじゃない。ボア大蛇はとても危険だし、象はとても場所ふさぎだ。ぼくんちはすごい小さいんだ。僕は羊がほしいんだ。羊の絵を描いて。
🌈単語
capable 形容詞 ・・・できる、する能力がある
celui 指示代名詞 ・・・のそれら
encombrant 形容詞 場所ふさぎの 邪魔な;厄介な、迷惑な
fus êtreの単純過去形
refis refaireの単純過去 やり直す
stupéfait 形容詞 びっくり仰天した 唖然とした 茫然自失した
🌈語法
✅celui 常に限定句、限定節を伴って、同一名詞の反復を避けるために用いる。
前置詞を伴い、celui de qn/qc(quelqunとquelque chose)
celuiとdeの間にカンマに挟まれた修飾語がおかれることがある。
次のような場合は、celleが省略されたものだと考えられる。
Sa beauté est (celle) d'un mannequin.
彼女の美しさは、ファッションモデルのそれだ。
🌈訳
そうして僕は描いた。
彼は注意深く見て、それから
<違う!。そいつはもう重い病気になっている。別のを描いて。>
僕は描いた。
僕の友達は(僕の間違いを受け入れるかのように)寛大に、感じよく微笑んだ。
ようく見て。羊じゃない。これは雄羊だ。角があるもの。
そうして僕はまた絵をやり直した。
でも前と同じように、それは拒絶された。
<そいつはとても年を取っている。僕は長生きする羊が欲しいんだ。>
それから、我慢が足りなくなって、僕はエンジンの取り外しを始めることで気が急いていたので、こちらの絵を描き殴った。それからぽいと放り投げた。
<さあ、箱だ。君の欲しい羊は、その中にいるよ。>
🌈単語
attentivement 副詞 注意深く
bélier 男性名詞 雄羊
caisse 女性名詞 運搬、保管用などの箱、ケース;木箱、クレート
cornes 女性名詞 corneの複数形 角
commencer …を開始する
dedans 副詞 de + dans 中に 男性名詞 内部 心 魂
déjà 副詞 もう、すでに
démontage 男性名詞 分解、取り外し;分解掃除
encore 副詞 まだ、なお、相変わらず 再び、もう一度
gentiment 副詞 親切に、感じよく
griffonnai griffonerの単純過去 殴り書きする 急いで書く
hâte 女性名詞 急ぐこと 切望、待ちきれないきもち
indulgence 女性名詞 寛容、寛大;寛容な行為、容赦
lançai lancerの単純過去 …を投げる
longtemps 副詞 長い間、長いこと、久しく
malade 形容詞 病気の;気分が悪い
patience 女性名詞 忍耐、辛抱、我慢、根気
précédents 形容詞 前の
puis 副詞 それから、ついで
refusé refuserの過去分詞 拒絶する
sourt sourireの第3人称現在形 あるいは単純過去形 微笑を浮かべる
vieux 形容詞 年老いた
🌈熟語
Celui-là それ、その人
dessin-ci この絵、こちらの絵
🌈語法
✅雄羊はbélier,雌羊はbrebis,子羊はagneau,食肉用の去勢羊はmouton
食べる気だったんか!
✅déjà 単純過去と共に用いることは無い
✅encore 日本で、いわゆるアンコールを思い浮かべるかもしれないが、フランスでは、アンコールのことをBis!というらしい。
avec patienceは、しんぼうづよく であるが、 avec de la patienceの場合は、辛抱強くやれば、の意味になる。
✅précédents ある時点から見て「すぐ前の」という意味で、付加形容詞としてしてのみ使われる。
vieux 母音又は無音のhで始まる男性単数名詞の前では、現代ではvieilを用いるが、文体上の理由からvieuxを使うこともある。
✅Celui-là 人に対して用いる場合、やや皮肉、軽蔑のニュアンスがある
✅ci 指示形容詞のついた名詞または指示代名詞のあとにハイフンで連結して、しばしば-làと対立的に使う。 この、こちらの
この文章では、ce dessin-ciとなっており、指示代名詞ce dessinの後にきているので、ハイフンで連結されていると考えられる。
👻:ce libre-ci こちらの本
✅Ça さあ! 間投詞の意味を持つが、古い用法。サンテグジュペリの時代ももう古いのか。
🌈文法
✅en 何度か出てきたけど、副詞的代名詞 中性代名詞
命令形では、動詞が最初に来るから、Faisとなる。その後にenが目的語としてきている。Fais-en ここのenは、羊の絵を描くこと を表している。
(相手が気分を悪くすると思っていたのに)だけど、僕は僕の若い裁判官の顔が輝くのを見てとても驚いた。
<僕が欲しかったものはまさにこんなのだったんだ!>
<この羊にはうんと草が必要だと思う?>
どうして?
だってぼくんちはとても小さいから。
もちろん十分だとも。僕はとても小さい羊をあげたから。
彼は頭を絵の方へ傾けた。
<そんなに小さくはないな。おや!眠っちゃったよ・・・>
僕がその小さな王子様と知り合ったのはその時だった。
🌈単語
beaucoup 大いに、たくさん
illuminer ・・・を煌々と照らす;s'illuminerで光り輝く
crois・・・ を本当だと信じる
connaissance 女性名詞 知識;造詣 知ること 理解 知り合うこと 知人
donné donnerの過去分詞 ・・・を与える
faille faillirの接続法現在 第1人称または第3人称の形 あるいは、falloirの接続法現在で第3人称しかない ここでは、こちらの単語
herbe 女性名詞 草
mais 接続詞 でも、だって 副詞 まあ、いったい、 実に、まったく
pencha pencherの第3人称単純過去形 傾く かしぐ
si
suffira suffrirの第3人称単純過去形 十分である
sûrement 副詞 確かに、必ず、 確実に 安全に
tête 女性名詞 頭
Tiens 間投詞 おや、まあ、おやおや、まさかね
jeune 形容詞 若い、幼い 年下の
juge 男性名詞 裁判官 判事 審査員
vers 前置詞 …の方へ …の当たりで
visage 男性名詞 顔、顔立ち 顔色
🌈熟語
beaucoup de + 無名冠詞 たくさんの、多くの・・・
Pas si そんなに~ない
👻Pas si vite! そんなに急がないで。
si +形容詞、副詞+que…で、
非常に形容詞、副詞なので、…である。あるいは、
…なほど、形容詞、副詞である。
ここでは、後者をとって、
Pas si petit que ça.
çaは、サンテグジュペリが言う小ささを代名詞として受けて
それほど、小さいである。
それを、Pasで否定しているのだから、
それほど、小さいのではない。
それほど小さくはない。ということになる。
🌈語法
failleはilと共に使い、~が必要である。
tête 頭は、顔を含めた意味もある。
jeune 名詞の前だと 若い、幼い 年下の 新進の、若手の、名詞の後ろだと、若々しい 年の割に若い、若く見える;若者向きの
versのsはリエゾンしない なお、男性名詞として詩句の意味がある
Crois-tu 疑問文になるとフランス語では倒置が起こることはもう伝えた。
📚文学
以前、大人たちに対して実験して見せたボア大蛇の絵。その中身が見えない方の絵を描いたのに、それを見た王子様は、象を食べたボア大蛇の絵だと言うことをすぐに理解した。
僕はそれに唖然とした。この出来事は、僕にとってどんな影響を与えただろうか。僕は、自分が腹を割って話せる相手が一人もいなかった。でも、その小さな王子様こそ、まさに求めていたその人だった。僕はようやく、自分と同じレベルで話ができる人間を見つけた。
王子様は物事の内面を見通す力を持っている。この力を持っているということが、いかに素晴らしいことであるか・・・。それはこれ以降の物語で次第に明らかになっていくのかもしれない。