星の王子様 読書記録 第10節 王子様の旅路 王様との出会い
星の王子様の著作権は2005年に切れました。ここは私のフランス語学習の場であるとともに、文学を研究する場です。
🌈訳
小惑星325、326,327,328,329そして330の領域を彼は旅していた。彼は仕事を探し、そして学ぶために、そこを訪れることから始めた。
最初の星は王様が住んでいた。赤紫色の、アーミンの帯を着た王様が、とっても簡素だけれども威厳のある玉座に座っていた。
<おお!臣民が来たな!>王子様をちらっと見た時、王様は叫んだ。そして王子様は考えた。
<今まであったこともないのにどうして僕を知っているんだろう?>
🌈単語
✅cependant
♢副詞
①しかしながら、それにもかかわらず
✅hermine
♢女性名詞
①[動物]オコジョ、ヤマイタチ
②(司法官、教授が正装のとき服に付ける)アーミンの帯
✅instruire
♢他動詞
①・・・を教育する、教える;教化する;訓練する
♢代動名詞
①学ぶ
③互いに教え合う
✅majestueux
♢形容詞
①威厳のある、いかめしい
②荘厳な
✅occupation
♢女性名詞
①(人の時間を占める)用事、仕事;活動
②占領、占拠;占有;居住
✅pourpre
♢形容詞
赤紫色の
♢名詞
①赤紫色
✅région
♢女性名詞
①地方;地域、地帯;(都市)周辺部、近郊
②(思想、学問などの)領域、分野
✅roi
♢男性名詞
①王、国主、君主
②王者、第一人者
✅siégeait
♢siégerの直接法第3人称半過去形
①[会社、官庁などが]本拠を置く
②[議員、裁判官などが]現職にある、席を占める
③[法廷、会議などが]開廷される、行われる;[人が]審議中である
✅sujet
♢形容詞
♢名詞
①臣下、臣民
✅trouvait
♢trouverの直接法第3人称半過去形
1⃣
①[探し求めているもの]を見つける、発見する
②[探し求めているもの]を手に入れる、入手する
③[探し求めている人]に出会う、を見つける
♢代動名詞
①自分の道[適性]を見出す、自分の価値[個性]を知る
✅trône
♢男性名詞
①玉座、王座;(司教、監督、主教の)高座
②王位、王権;権力の座
✅visiter
♢他動詞
①場所を訪れる;見物する、見学する
🌈熟語
✅commencer ~ qc par qc/inf ・・・を・・・からはじめる
🌈訳
王様にとっては、世界はとっても単純だと言うことを彼は知らなかった。
全ての人は、彼の臣民なのだ。
<もっと見えるよう、近うよれ。>
誰かに対して、ついに王様でいられることとなったので、すごく鼻が高くなった王様は王子様に言った。
王子様は座る場所をあちこち探したが、その惑星はアーミンの帯の巨大なマントで場所が全くなくなっていた。彼は立ったまま休んで、そして、疲れていたので、あくびをした。
🌈単語
✅approche
♢女性名詞
①(人、物が)近づくこと、接近
②(出来事、季節などが)間近に迫ること
✅debout
♢副詞
①立って、直立して
②起きて、目覚めて
③病気から回復して、健康になって、
④壊れずに、倒れずに;廃れずに
✅hermine
✅magnifique
♢形容詞
①(時に名詞の前で)見事な、素晴らしい;非常に美しい
②(時に名詞の前で)壮麗な、豪華な
③[品質が]極上の、最高級の
✅manteau
♢男性名詞
①コート、オーバー(コート)、外套、マント
②[文章]覆い隠すもの、遮蔽物
✅resta
♢resterの単純過去形第3人称
✅simplifié
♢形容詞
単純化された、簡略化された
♢simplifierの過去分詞
・・・を簡単[簡素]にする、単純化する
✅voie
♢voirの接続法現在第1第3人称
✅yeux
🌈訳
<王の前で欠伸をするのはエチケットに反しておる。>
帝王は言った。
<予はあくびを禁ずる。>
<僕はあくびをせざるを得ないのです。>
落ち度を感じて困惑しながらも王子様は答えた。
<僕は長い旅をしてきて、寝ていないのです。>
🌈単語
✅bâillements
♢男性名詞
①大きく口をあけること、あくび
②割れ目、隙間;たるみ
✅curiosités
♢女性名詞
①好奇心、探求心、知識欲
②詮索癖、物好き、野次馬根性
✅empêcher
♢他動詞
①・・・を妨げる、防ぐ、の邪魔をする
✅interdis
♢他動詞
①<~qc>・・・を禁止する、禁じる
✅intimide
♢他動詞 intimiderの現在形第1人称
①・・・をおじけづかせる、怖がらせる、どぎまぎさせる
②・・・を威嚇する、脅す
✅monarque
♢男性名詞
①君主、帝王
✅ordonne
♢他動詞
①・・・を整理[整頓]する、秩序[順序]立てる
②<~qc//~de +inf. //~que + subj. >・・・を命じる、命令する
✅rougissant
♢rougirのジェロンディフ 現在分詞
①赤くなる
②(恥ずかしさ、怒りなどで)顔を赤くする
✅tantôt
♢副詞
①(反復して)ある時は・・・またある時は・・・
②(今日の)午後
🌈単語
✅absolu
♢形容詞
①絶対の、絶対的な;完全(無欠)な、究極の;全面的な、圧倒的な
②高圧的な、高飛車な、反論を許さない、断定的な
✅autorité
♢女性名詞
①権力、権限;職権
②(権力)機関、当局、官庁、官署;(複数で)当局者、官憲、官僚
③権威、威信、感化力;権威者、大家;権威書
✅bredouillait
♢自動詞
(わかりにくく)早口で[せき込んで]話す;(あせって)口ごもる、へどもどする
♢他動詞
①・・・を早口で分かりやすく[せき込んで]言う
②[外国語]を片言で[たどたどしく]話す
③・・・をしどろもどろに演奏[朗唱]する
✅désobéissance
♢女性名詞
不服従、反抗、違反;強情、反抗精神
✅donnait
♢donnerの直接法第3人称半過去形
✅raisonnables
♢形容詞
①思慮分別のある、道理をわきまえた;もっともな、程よい、適切な
✅respectée
♢respecterの過去分詞 女性形
▽他動詞
①・・・を尊敬する、に敬意を払う
②・・・を尊重する、重んじる
✅tolérait
♢他動詞
①・・・を容認する、黙認する;我慢する
②・・・に体が耐える;副作用を起こさない
♢代動名詞
se tolérer
互いに我慢する
✅vexé
♢vexerの過去分詞
①・・・の気を悪くさせる、を傷つける;の感情を害する
♢代動名詞
se vexer
傷つく、腹を立てる
🌈訳
もし私が、将軍に海鳥になれと命令し、そしてもし将軍が従わないとしても、それは将軍のせいではない。わしが悪いのじゃ。
<座ってもよろしいでしょうか?>遠慮がちに王子様は尋ねた。
<座るよう命ずる。>アーミン帯のマントの端を威厳を込めて引っ張った王様は答えた。
🌈単語
✅couramment
♢副詞
①すらすらと、流暢に
②一般に、普通に
✅changer
♢他動詞
✅enquit
♢enquérirの単純過去
▽他動詞 古
・・・を問い合わせる、尋ねる、調べる
♢代動名詞
<s'enquérir de qc// s'enquérir+間接疑問節>・・・を問い合わせる
✅général
♢形容詞
①一般的な、全般的な、全体に通じる
②概括的な、概略の、問題全般を扱う
✅majestueusement
♢副詞
威厳に満ちて、堂々と;荘厳に、厳かに
✅mer
♢女性名詞
①海洋、海
✅pan
♢男性名詞
①(布の)端;(衣服の)垂れ、裾
②(建物、多面体などの)面、平面
③(事の)重要な一面、主要部分
🌈訳
でも、王子様は驚いた。その惑星はとても小さかったのだ。その王様は一体何を支配することができているのだろうか?
<陛下、私に質問をさせていただいてもよろしいでしょうか。>
彼は言った。
<質問をすることを命ずる。>
王様は急いで言った。
<陛下、あなたは何を支配されているのですか?>
<全てじゃ。>王は率直にそう答えた。
<全てを?>
🌈単語
✅hâta
♢hâterの第3人称単純過去形
▽他動詞
①・・・を加速させる
②[文章]・・・の時期を早める
▽代動名詞
①急いでする[行く]
②<se ~ de + inf. >…するのを急ぐ
✅minuscule
♢形容詞
①非常に小さい、微小な;[人が]小柄な
②小字体の
✅régner
♢自動詞
①[君主が]君臨する、統治する
②支配する、権力[絶大な影響力]を振るう
③[状態、気分が]行きわたる、みなぎる
✅sire
♢男性名詞
①(呼びかけで)(皇帝、国王に対し口頭、書面で)陛下、王様
✅simplicité
♢女性名詞
①単純さ、簡単さ、易しさ
②簡素、質素、飾り気のなさ
③素朴さ、率直さ、気取りのなさ
慎み深い動きで、王様は彼の惑星を指し、他の惑星や星を指した。
<そのすべてを?>王子様は言った。
<すべてをじゃ。>王様は答えた。
彼は絶対君主であるばかりではなく、全宇宙の帝王でもあったのだ。
<あなたはあの星々を従えておられるのですか?>
<もちろんじゃ。>王様は答えた。
<それらはすぐにわしに従う。私は不服従を容赦しない。>
🌈単語
✅désigna
♢他動詞
①・・・を指す、示す;[日時、場所など]を指定する
②・・・を意味する、表す、示す
✅discret
♢形容詞
①慎み深い、控えめな
②(時に名詞の前で)地味な、目立たない;婉曲な
③秘密を守る、口の堅い
✅geste 1
♢男性名詞
身振り、手真似、しぐさ、動作
行為、行動
(身振りによる)合図
✅indiscipline
♢女性名詞
①規律の無いこと、規則違反、不服従
✅universel
♢形容詞
①全体の;すべてに共通の、普遍的な;一般的な
②(全)世界の;地球上の
③宇宙の;全自然界の、万物の;万有の
🌈構文
✅non [ne pas] seulement… mais [mais encore, mais aussi, mais même]
・・・だけではなく・・・も
そのような権力は王子様を感嘆させた。もしそれが彼自身が握っていたのであるとすれば、彼は、椅子を引っ張る必要もなく、同じ日に44回どころか、72回、100回、いや200回も、日の入りを見ることが出来ただろう。そして、彼は見放してきた自分の惑星を思い出したために、少し悲しい気分になった。彼は大胆にも王様の恩寵を請願した。
🌈単語
✅abandonée
♢他動詞
①・・・を捨てる、見捨てる、見放す、放棄する
②[仕事、試合など]を断念する、(途中で)あきらめる、棄権する
✅détenu
♢他動詞
①・・・を保持する、占有する、握る
②・・・を留置する、拘留する;監禁する
✅enhardit
♢enhardirの第3人称
[人、気持ちなど]を大胆にする、に自信を持たせる
♢代動名詞
大胆になる、自信をつける
▽熟語
s'enhardir + à, jusqu'à +inf, 思い切って[大胆にも]・・・する。
✅émerveilla
♢他動詞
・・・を感嘆[驚嘆]させる
✅solliciter
♢他動詞
①<~qc (de qn) // ~ (de qn) de + inf. >(・・・に)・・・を願い出る、請願する
②<~qn (de + inf.)> ・・・に(・・・してくれるように)懇願する、訴える
私は日の入りを見たいのですが・・・。太陽に沈めと御命令ください。
<もし私がちょうちょのように花から花へと飛べとか、悲劇を書けとか、海鳥に変身しろと将軍に命令して、将軍が受けた命令に従わなかったとすれば、私と将軍、どちらに咎があるかね?>
<それは陛下でしょうね。>王子様はしっかりと答えた。
<その通りだ。>
<めいめいができることを命令しなければならない。>
王様は答えた。
🌈単語
✅chacun
♢代名詞 不定 単数形のみ
①おのおの、各自
②(単独で)だれでも、人はみな
㊟この語義では男性形のみ用いる
③<tout un ~>誰もが、だれであろうと
✅fermement
♢副詞
①堅固に、しっかりと
②自信をもって;断固として、かたくなに
✅exécutait
♢exécuterの第3人称半過去形
①[計画・命令など]を実行する
②[曲]を演奏する;[決められた動作]を演ずる
③[仕事・作品]を仕上げる、制作する
④[法令、判決など]を執行する、施行する
⑤・・・を処刑する
✅exiger
♢他動詞
①(当然の権利として)・・・を要求する
②[物が](どうしても)・・・を必要とする
✅tragédie
♢女性名詞
①(文学ジャンルとしての)悲劇;悲劇作品
<権威はまず道理の上に立つ。もし君が、多くの人々に海に身を投げるように命令をするならば、革命を生じさせるだろう。私の命令が合理的であるから、私は従わせる権利を持っているのだ。
ーーーそれでは、僕の日の入りは?自分が一度した質問を決して忘れることはなかった王子様は、もう一度言った。
ーーー君は多くの日の入りを見るだろう。私は命令をした。だが、私は政府の科学通りに、条件が好ましい状態になるのを待つことになる。
🌈単語
✅favorables
♢形容詞
①好意的な、寛大な
✅gouvernement
♢男性名詞
①政府
②政権
③内閣
④政体
⑤統治;支配
✅science
♢女性名詞
①学問、科学
✅soient
êtreの接続法現在形第3人称複数形
<それはいつですか?>王子様は照会した。
<おほん!おほん!>王様は答えた。まず暦を調べた。
<おほん!おほん!7時40分ごろになるじゃろう。>
そして君はどんなにわしがよく従われておるかを見るじゃろう。
王子様はあくびをした。日の入りを見逃したことを後悔していた。それからさらに、もう、少しだけ退屈していた。
🌈単語
✅calendrier
♢男性名詞
①歴、暦法
②日程、スケジュール、時間割
③カレンダー、暦
✅manqué
♢manquerの過去分詞
✅informa
♢informerの単純過去 第1人称
▽代動名詞
<s'informer (auprès de qn) de qc>(・・・に)・・・を問い合わせる、照会する。
✅regrettait
♢他動詞
①・・・を後悔する、悔やむ
②・・・を残念[遺憾]に思う;不満に思う
🌈訳
<僕はここにはもう用がありません。もう出ていきます!>
<行くんじゃない。>臣民をもつことで大変鼻がたかくなっていた王様は答えた。
<行くんじゃない。私は君を大臣にする。>
<何の大臣ですか?>
<・・・法務大臣じゃ!>
<でも、裁く人が一人もいませんよ!>
<知らぬ。わしは自分の王国を見て回ったことはないのじゃ。わしはとても年老いておる、わしは覆いつきの豪華な4輪馬車を置く場所を持たないし、歩くのはうんざりじゃ。>
🌈単語
✅carrosse
♢男性名詞
①(昔の覆い付きの)豪華な4輪馬車
②パニエ;ワインの瓶を斜め横に入れる籠
✅fatigue
♢fatiguerの第1人称
①・・・を疲れさせる;酷使する
②・・・をうんざりさせる、悩ます
③(酷使して)・・・を傷める
✅marcher
♢自動詞
①歩く、歩行する;散歩する
②(前置詞と共に)…へ進む、向かっていく
✅royaume
♢男性名詞
①王国
②[文章]理想郷、絶好の場所
✅Justice
♢女性名詞
1⃣
①正義、正しさ
2⃣
①裁き
②(la Justice) 司法省
🌈訳
<おお・・・。でも僕はすでにみてきました。惑星の別のほうをちょっと見て、体を乗り出した王子様は言った。そこには誰もいませんでした。
<君は君自身をさばきなさい。>王様は答えた。
<とても難しいことじゃ。他人を裁くよりも、自分自身を裁く方がずっと難しい。もし君が裁くことができるのであれば、君は本当の賢者じゃ。>
🌈単語
✅autrui
♢代名詞
①他人
✅sage
♢形容詞
♢男性名詞
①賢人、賢者;哲人
✅là-bas
♢副詞
①あそこに[で]、向こうに[で」
②下方に[で]
ーー「僕、どこでも自分を裁くことができます。ここにいる必要はありません。」
ーー「ごほん!ごほん!わしはこの星のどこかに年老いたネズミがいるのだと思っておる。夜に音が聞こえるのだ。君はその年老いたネズミを裁くことができる。君は時々そのネズミに死刑を宣告しなさい。それから、そのネズミの命は君の判決にかかっておる。でも君は命を粗末にしないために、毎度恩赦を与えてやるのじゃ。1匹しかおらんからな。」
ーー僕、死刑判決を下したくはありませんし、僕はもう行こうと思います。
🌈単語
✅condamneras
♢condamnerの未来形第2人称
①<~qn(à qc inf.) ・・・に(・・・の)刑を宣告する、有罪判決を下す。
②<~qn(à qc inf.) >・・・に(不本意な行動、状態)を強いる、余儀なくさせる。
✅dépendra
♢他動詞
①・・・に所属する、従属する;の所管である
②・・・に依存する。を頼る
③・・・に付属する。伴う
✅économiser
♢他動詞
①・・・を節約する、無駄遣いしない。
✅gracieras
♢他動詞
①[刑法][受刑者]に恩赦を与える。
✅rat
♢男性名詞
①[動物]ネズミ、ラット;クマネズミ
<だめじゃ>王様は言った。
でも王子様は、旅支度を整えてしまったし、年老いた帝王を悲しませたくはなかった。
<もしあなたの威厳が時間通りに従われるものであることを望むのであれば、僕に理にかなった命令を与えることができます。例えば、すぐにここから立ち去れということです。僕には条件が好ましくなっているように思います。>
王様は何も答えなかった。王子様は最初はためらった。それから、ため息をついて、そこを出発した。
<君を大使にするぞ。>
王様は慌てて叫んだ。
彼は威厳に溢れていた。
<大人ってとても変わってるな。>
王子様は、旅の途中で、内心でそう思った。
🌈単語
✅achevé
♢acheverの過去分詞
①・・・を終わらせる、完遂する
②<~de + inf. >…し終える
✅ambassadeur
♢名詞
①大使
②(文化、経済などの)使節、使者、代表
③使い
✅durant
♢前置詞
①・・・の間中、を通じて
㊟いくつかの慣用句のほか、特に持続を強調する場合には名詞の後に置かれる。
✅étrangers
♢形容詞
①外国の、外国人の
②外交の、国際関係の
③(ある集団や社会から見て)よそ者の、局外者の
✅hésita
♢hésiterの単純過去形 第3人称
♢自動詞
①迷う、ためらう、躊躇する
✅Majesté
♢女性名詞
①威厳、尊厳;貫禄、いかめしさ;(建物などの)荘厳、壮麗、崇高
✅peiner
♢自動詞
①苦労する
✅préparatifs
♢男性名詞
①((多く複数で))準備作業、支度
✅ponctuellement
♢副詞
①きちょうめんに、きちんと、時間通りに、期日を守って
✅soupir
♢男性名詞
①ため息
🌈熟語
en lui-même
en soi-même
①それ自体で
②内心で、心の底で
🌈文学 解説
王子様の旅 王様との出会い
これから王子様は、幾人かのヘンテコな大人たちと出会う。ここも王子様の話の中で、重要な位置を占めている。
この大人たちの共通点は、「虚に囚われている大人たち」ということだ。
例えば、今回の登場人物である王様は「権力」というものに囚われている。
🌈権力とは何か!
まず、権力とは何か、ということについて簡単に解説しておきたい。
権力とは「権」の「力」と書く。
「権」とは何かというと、「目に見えないもの」を表している。
ということは、権力とは「目に見えない力」のことだ。
例えば、私には~の権利がある!と主張する人がいる。しかし、一体それはどこにあるのかを具体的に問われると、実際どこにもないことに気が付くだろう。
逆に、権が実際に目に見える形で現れたものを、「権化」とか「権現」という。
権利があるというのは、結局その人がそう言っているだけである。それだと、その人の権利は全くないと扱われてしまうから、それを証明するための証書を必要とするのである。だから、お役所は文書というのを大切にするわけだ。
従って、権利とは、「目に見えない利益」のことだ。
損害賠償請求権とは、損害を賠償してもらえるよう、相手に要求する見えない利益を意味している。その結果として、賠償金を獲得できるのである。
とすれば、権力とは見えない力のことだ。ではその力とはどういったものなのだろうか?
私たちは、例えば総理大臣と一緒に暮らしているわけではない。傍に権力者がいれば、権力というものを少しは感じられるのかもしれないが、私たちは彼らとは遠く離れた場所に暮らしている。それにもかかわらず、どうやって権力というものによって、私たちを縛ることができているのだろうか。
王様には権力があると言うが、やっぱりそんなものはどこにもないのである。
とすると、王様にも、あなたに権力がありますよ、と証明する文書がどこかになければおかしい。これは、ある場合もあればない場合もあるだろう。
王様が王様であるとされる根拠で、よくあるのが、血統である。
でも実際、そんなことは誰にも分らない。勝手にどこかで誰かがそう唱えはじめて、それを私たちが信じてしまえばそうなってしまうものだし、それが長いこと続いてきたにしかすぎない。その最初の人は、きっと何らかのすごいことを成し遂げた人なのかもしれないが、それも私たちが勝手にそう思っているだけである。
例えば北朝鮮の金日成は、抗日戦線の英雄とされたからこそ、北朝鮮のトップになった。それから脈々と3代目まで続いている。
実際、権力の源泉というのは、国の最高機関が出すからこそのものだ。だから、その根源である王様自身は、その権力を自分で自分に認定することができないわけではない。
しかし、たったそれだけのことを頼みに自分を王様だと言えるのであれば、ある意味誰だって王様になることは可能だ。権力は目に見えない。実体もない。ただあると言っているだけである。
したがって、国自体が一つのグルになって、この人を権力者にしよう、と決めれば、そうなってしまうのである。国は実際のところ、このようなブラックキャビネット、陰の内閣がいて、表に出ている人はお飾りということが多い。権力者は目立つと命を狙われるからである。
いずれにせよ、「権力」は「虚」なのである。
ではどうして、その「権力」に皆従ってしまうのであろうか。
そして、どうしてこの王様の「権力」には、誰も従わなかったのであろうか。
権力とは、常に「飴」と「鞭」が機能していなければ決して働かないのである。例えば王様は、お前を法務大臣にしてやるとか、大使に任命してやる、というけれども、これが飴である。ネズミに死刑を宣告してくれ、というが、これが鞭である。
たとえば、とある権力者がいて、その国の臣民たちがその権力者に支配されているとする。その国の臣民たちは、王様の命令に背けば死刑だ。そして、実際に死刑を実行する人間が、王様の配下には存在する。
だから、皆言うことをきく。ここが重要だ。権力とは、その力自体によって私たちが動かされるのではない。あくまでも、王様の命令に従わなかったら、王様の命令によって、自分達に不利益を与えてくる。そして、私たちは、その不利益を受けたくないからこそ、その命令に従うのである。彼らが正しいかどうかなんて誰にも分らないのだ。
私たちはみんな、誰もが死にたいとは思っていない(と仮定する。)。そして、命令を聞かなければ殺されてしまう。だからその命令を聞くのであって、決して権力それ自体に従っているのではない。その実態は、自分自身を守りたいと思う人間の保存本能を刺激することなのである。
それがあって初めて、権力者は、自分に権力を持つことができたと言えるのだ。
例えば、家庭を見てみよう。母親がいて、子供がいる。その子供が言うことをきかないから、母親は以下のような行動をとる。お小遣いなし。ゲーム禁止。夕飯抜き。家に入れてやらない。
子供からすれば、このどれもが、自分にとっては恐ろしい罰なのだ。従って、それを受けないように、子供は親の言うことをきくのである。権力とは全てこれを基本として成り立っているのである。
だから、昔から権力者は民を虐げてきた。民を虐げる目的は、虐げられたくないと思う人間たちを作るためである。そうすれば、権力者の言うことを民は聞き始めるからだ。
家庭は国であり、親が激しい権力者気質を持っていると、飴と鞭で子供をコントロールする。しかし、それは全て臣民のためだと言い切るのだ。また、昔は親は子供を愛しているもの。怒るのも、命令するのも、全ては親が子を思うため、という固定観念が根強く残っており、子供の疑問や反論は黙殺されてきた。
結局は国と国民のベクトルも、上司と部下の関係も、会社と社員の関係も、学校と生徒の関係も、そして親と子供の関係も、全てこれと同じなのである。
権力とは、何もないものだ。結局それは、死への恐怖を最大のものとして、自分達が受けるかもしれない不利益への恐れが作り出しているまやかしなのである。
とすれば、権力者の狙いは、我々の生殺与奪の権利を握ることにある。
それがなければ、決して権力者ではいられないのだ。
親と子の関係では、親がいなければ子は生きていけない、大多数はそうだ。だから権力構造が出来上がる。学校と生徒の関係もそう。学校にちゃんと行かない子は、将来ロクな大人にならない、と言われる。だから、子供たちは学校にとりあえず行く。学校を卒業したと認められないと、卒業後は大人たちから冷たい目で見られるからだ。
会社でも上司の言うことをきく。ちゃんと聞かないと、首になるからだ。すると、明日生きていくことができなくなる。
国民も国の言うことをきく。なぜなら、言うことをきかないと、取り締まりを受けるからだ。常にこの支配構造が出来上がっているのである。
王様と王子様の関係には、この関係が全くなかった。その王様が持っている財産から、自分の糧を得なければ、自分は生きていけない、というぐらい窮乏しているわけでもないのだ。
臆病なものほど出世していく。逃げるは恥だが役に立つ。どうして権力者たちに、ダメな人間が多いのかというと、自分をよりよく守れる場所にたどり着く力だけは、一級品だからである。自分達が権力を握れば、権力におびえることもないのである。つまり、保身の力がすさまじいものほど、上に立つための力もそれだけ強くなるのだ。この世界は皮肉なことに、そうなっているのである。そして辿り着けば、今度は被支配者たちに依存し始める。
支配者は被支配者たちがいるからこそ、支配者でいられるのである。
だから、王様は王子様を一生懸命引き留めようとしたのだ。
ロシアやミャンマー、中国が、常に自分達が支配している国民たちの中で、歯向かう人間に攻撃を加えるのも、自分の権力を保つためである。
彼らには権力などというものは実はないのだ。彼らにあるのは、自分に歯向かう者に対して不利益を与えることのできる力であり、自分の言うことをきく人間大しては利益を与えることのできる力である。この見えない力を振るうことが許されており、その力に盲目的に従わなければならないとされているのが、軍隊や警察官などをはじめとした、もろもろの公務員とされる存在なのである。
もう一度言うが、権力は不利益が与えられること、そのことを恐れる人間たちの反動によって生みだされるものである。だから、自分達の言うことをきかせようとする権力者ほど、国民を虐げてくるのである。
🌈サンテグジュペリは、この王様を通して何を伝えようとしたのか
サンテグジュペリが、私と同じような考えを持っていたかどうかはわからない。私がこの本を読んで読み取ったこと、そのうち、私と共通している部分があるとすれば、こういうこと。
支配者は、被支配者がいるからこそ、支配者でいられる。
支配者は、常に被支配者に依存している。
支配者は、飴と鞭を使い分ける。
支配者は、孤独である。
支配者といえど、自然の摂理に勝つことはできない。
支配者は、人の行動を制限する。
支配者は、コロコロと命令を変える。
支配者は、口ばかり動かして自分では何もしないし、できない。
支配者といても、楽しいことは何もない。
支配者は、権威を守ることを第一に考えている。
権威とは、見えない威力である。その「威」に押されて、我々は突き動かされるようにして動く。だからこそ、彼らは自分から離れた、顔を突き合わせたこともない人間をもコントロールできるのである。
しかし、権威があるのは、その権威を受ける人間がいるからこそである。従って、結局一人では絶対に成り立たない。周りの人間が権威者を求めているのではなく、権威者が人間を求めているのである。しかし、一旦権威者に取り込まれたが最後、その権威をやがて恐れ、あたかも自分達が権威者によって守られているかのようにさえ、感じるようになるのである。
悲しいことに、何の実行力もない王様、ただの空っぽの権威だけでは、人を脅すほどの力はなかったのである。
警察=国家権力といわれるのはこのためである。
ただ、この王様の、少しいいかなと思うところは、道理に即した権力を行使しようとするところであった。だけど、道理に基づくのであれば、別にこの王様の命令に従う必要はない。道理はこの王様とは無関係に存在しているからである。
この王様が道理に従うのは、結局自分の権威に傷がつかないようにするためである。自分が行動できないのは、行動をすると、自分が何らかの間違いをしてしまい、権威が傷つくためだ。権力者となった彼は、椅子に座って口だけを動かす人間になってしまった。
そして、飴と鞭を利用した権威だけが、彼の行き場となってしまったのである。