創作のモチベの話


要約

他人と『上手さ』の話をしてるときにもにょることが多いのは他人とモチベーションの重みづけが異なるためです。

また、イラストをはじめ、創作の趣味で挫折しがちな原因は、『作品制作それ自体』や『自分の作品の鑑賞』よりも『作品を通して利益を得る』ことが重要視されるためです。


内容

背景

趣味で絵を描いています。SNSにも投稿しています。歴は6,7年です。

絵を描いてるとき、「絵うまくなりてぇーー…」と鳴き声を発すると、優しさからか

「絵は上手さだけじゃないよ、twitterの伸びは流行りと運だからw」

と言ってくれる方がいます。
そして自分はこれにもにょもにょします。

「いいねとかRTとかどうでもいいし…!」
「流行りとかじゃなくて俺が好きなもの描いてんの!!」

みたいな虚勢とか反発を感じるわけです。

また、Twitterとか見てると「RTしてくれねえ」って嘆いてる創作者も結構いますね。自分はこれを見てもやもやするたちです。

こういうの原因がはっきりしないと気持ち悪いので、イラストを題材に創作のモチベーションについて思うことを言語化しました。

モチベーション(動機)の分類

まず、創作者とその作品の関わりについて整理したのが以下の画像です。

創作者と作品の関わり

※作品を投稿・納品せずただ作るだけの人もいる
※受動、能動が気になる人はスルーで…

この図から、モチベーションとなる要素をピックアップして以下の3タイプに大別します:

  1. 作品制作、それ自体 (上達の実感など)

  2. 制作した作品 (鑑賞など)

  3. 作品によって得られる利益 (金銭、承認 など)

見てわかる通り、番号が大きいほど要求は創作者から遠く、達成が難しい動機になります。

次節で述べますが、多くの絵描きは1~3を全て併せ持ちます。どれかが不満足だと絵を描けなくなりがちな気がします。

モチベーションの持ち方の傾向

各モチベーションの重みづけは十人十色です。

ただ、経験則で次のように感じています。

・『作品によって得られる利益』を動機とする人は『制作した作品』『絵を描くこと自体』も動機に持つ。
・『自分で描いた作品』をモチベ―ションにしている人は『絵を描くこと自体』も動機に持つ。

要はモチベーションの持ち方は以下の種類に分けられます:

A. 絵を描く工程が楽しい。他はどうでも
B. 自分の描いた絵を見るのが楽しい。描くのも楽しい。他はどうでも
C. 絵が褒められて嬉しい。自分の絵を見るのが楽しい。描くのも楽しい。

ネット上で見かける創作者はほぼCです。
というのも、投稿する動機にはほとんどの場合承認欲求があるはずですからネット上ではまずCしか観測されません。

モチベーションの優先順位

経験則の話です。

これらのモチベーションは複雑なものほど優先される傾向があります。
すなわち、3つのモチベーションを持ちながら作品が褒められる・認められることが最優先になりやすいわけです。

あるいは、絵を描くのが苦痛(面倒)でも完成した自分の絵は見たい…とかもありますね。

優先順位は

①作品を通した利益 ②作品の鑑賞 ③描くこと自体

なのです。③が辛くても②が、③・②が辛くても①を満たしたいがために絵を描けてしまうときがあるのです。そしてそれは長持ちしない描き方です。

結論

上手くならない、と嘆いてる人にどうして『上手さだけじゃない』と声をかけるのか?
どうして『伸びなかったから』と投稿した作品を消してしまうのか?

ここら辺は、①モチベーションは複数併せ持たれていて、②しかし作品を通して得る評価が優先されがち だからだと思っています。

自分がもやもやするのはモチベーションの重みづけが他の人と違ってしまうからなわけです。

余談:人間は創作を引退しがち

全ての作品が評価されるとは限りませんが、全ての作品は自分で製作しなければなりません。

要は評価のためにイヤイヤ描いても

「楽しくなく好きでもない絵を頑張って描いたのに評価されなかった…」

ということが発生しうるのです。他のモチベーションを無視してまで頑張ったのにつらいですね。

絵描きが発狂して消えていく多くの理由はこれなんじゃないかと思います。あと単純に多忙で消え去るとかもあるけど。

創作は険しい趣味です。常に自分より上手い人が見えますし、そもそもそんな褒められやすい趣味ではありません(褒められたい/お金にしたいなら料理とかプログラミングのほうがずっとコスパ良いと思います)。

創作を続けるコツは『作品を通して何かを得る』よりも『作品づくりを楽しむ』ことじゃないでしょうか。


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