ACL損傷の評価 Lachman test(動画解説)
今月より隔週で整形外科的テストの方法やコツ、臨床応用について発信していきます。初回はACL損傷を評価するLachman testです。
膝前十字靭帯(ACL)損傷はスポーツ中に発生する頻度の高い外傷ですので、ACL損傷に関わるセラピストも多いかと思います。
ACL損傷の術後リハに関してはこちらの記事をどうぞ。
■ACLの解剖
前十字靭帯は、全長約30〜35mm、横経は約10mmで、2束(もしくは3束)からなる線維束で形成される。
引用:適切な判断を導くための整形外科徒手検査法,MEDICAL VIEW,2020 P43
この2束とは前内側線維(anterior medial bundle:AMB)と後外側線維(posterior lateral bundle:PLB)のことであり、機能的な役割が異なります。AMBは全ての可動域で緊張し、特に屈曲域で緊張を増します。一方、PLBは伸展域で緊張し、屈曲域では弛緩します。
このことから、ACL損傷の評価で用いられる前方引き出しテストは主にAMBを評価していることがわかります。
■ACLの機能
ACLは主に大腿骨に対する脛骨の過度な前方移動と内旋運動を制御します。
そして、以下のように二次的ではあってもほぼすべての方向の制動に関わっており、ACL損傷が与える影響の大きさがわかります。
Lachman testはこのうち前方への制御機能をみていることになります。
■ACL損傷による影響とACL評価の意義
ACLはscrew home movementを誘導する因子の一つとなっています。
また、ACLの緊張が低下すると、膝の回旋中心軸は後内側に偏位し、外側コンパートメントの可動性が増加します。
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