トーマステスト変法 解釈と臨床応用
股関節伸展制限は腰痛や歩行障害につながるため、見逃すことのできない所見です。主に腸腰筋の短縮が原因となり、トーマステストにて評価されます。
トーマステストにはベッド端から一側下肢を垂らした変法があります。私は他の筋の短縮評価や治療肢位にも応用が効くという理由から変法を用いています。
今回はトーマステスト変法のコツや注意点、そして臨床応用について書きます。
■股関節伸展制限が及ぼす影響
●腰痛の原因
股関節は腰と隣接していることから、腰への影響が非常に大きいといえます。股関節伸展制限があると骨盤が前傾し、上半身を起こすために腰椎の前彎を強めて対応することになります。
そのため、椎間関節へのストレス増加や脊柱菅狭窄症の要因ともなります。
●歩行における振り出しの減弱
歩行の立脚終期に股関節は伸展し、腸腰筋の弾性エネルギーがたまります。反対側の踵接地に伴い、弾性エネルギーが解放され振り出しの力と変わります。
ところが、股関節伸展制限があると弾性エネルギーが作られず、振り出しの減弱となります。振り出しが弱いため、歩幅が小さくなったり、蹴り出しを強めた非効率な歩行となります。
この他にも股関節伸展制限が起こす問題は多くあります。
そのためトーマステスト変法による腸腰筋短縮の評価は大事になります。
■テストの方法
では実際の方法についてです。
詳しい方法についてはまとめ動画をご参照ください。
患者さん自身に膝を抱えていただき、大腿の浮き上がりを評価する方法が一般的かと思いますが、代償の抑制やエンドフィールを感じ取りやすいとの理由からセラピストによるテストを行っています。
このテストで重要なのが、骨盤後傾位を維持しておくことです。
検査側の下肢を下ろして行くにつれ、骨盤は前傾方向に動こうとします。下肢につられて骨盤の前傾を許してしまったらこのテストは失敗です。
テスト側ばかりに気を取られないように注意が必要です。
股関節前方インピンジメントが生じている場合などは屈曲強制により非テスト側の痛みを訴えます。その場合は無理に行うべきではありません。屈曲側の異常として、前方インピンジメントテストなどを行います。
前方インピンジメントテストについては以下をご参照ください。
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