君が弱さを見せてくれたとき
「私は本当は弱いの。そばにいてくれてありがとう」
鎗ヶ崎の交差点の居酒屋を出てそう言った君を抱きしめた時、僕は誓ったんだ。君を守ろうと。
あれから月日が経って、君のそばに僕はいない。そばにいることを許されなくなってしまった。
僕はわかっている。君の守り方を間違えてしまったことを。君は僕に何かをして欲しかったんじゃないんだよね。僕はただ、近くにいるだけでよかったんだよね。それなのに僕は君は弱いからと、こうしろと、ああしろと、君の行動を制限しようとしてしまった。
結局僕は、強くあろうとする君を信じることができなかったんだ。君は弱いからと不安になって。弱かったのは僕の方なんだよね。
やっと、何かをしてあげることが、愛を示すことではないと気付いたよ。僕はただ何も言わずそばにいればよかった。
今でも、君が弱さを見せてくれたあの瞬間は忘れることができない。本当の自分を見せてくれたあの時を。
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僕は37歳のサラリーマンです。こらからnoteで小説を投稿していこうと考えています。 小説のテーマは音楽やスポーツや恋愛など様々ですが、自分が育った東京の城南地区(主に東横線や田園都市線沿い) を舞台に、2000年代に青春を過ごした同世代の人達に向けたものを書いていくつもりです。