金曜日のcookbookランキング
#138 20年後のノンナは何を作る?
新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。
10月第4週のランキングをお伝えします。
最近、マルク=ウヴェ・クリングの『クオリティランド』という小説を読んでいます。
個人の嗜好から行動の基準まで、すべてが巨大企業にコントロールされている未来社会で、いわゆる「下流」にランク付けされている主人公が「欲しくもないのに送られてきた」商品を返品するために社会システムと戦う……という物語で、ちょっとダグラス・アダムスっぽいバカっぽさも魅力のひとつなのですが、終盤にさしかかって「世界の真実」に目覚めた主人公が、どんどん自分というものを取り戻す様子は、映画『ジョーカー』にも似ています。
テレビショーに出演して、社会に対して疑問を投げかけるところなんてうりふたつ。
そんな『クオリティランド』にはシンギュラリティに対する考察も登場するのですが、これがまた皮肉が効いていて、かなり目からウロコだったのでご紹介。
AIが人間の知能を超えたとき(シンギュラリティ)、世界を持続させるためには人間が不要と判断したAIによって、人類が抹殺されるというストーリーはよくありますよね。
でもこの『クオリティランド』の考察では、人類に敵意を抱く真のスーパーインテリジェンスだったら、ひと息に人間を滅ぼしたりしない、というんです。
知性が高ければ高いほど、そして敵意を抱いていれば抱いているほど、人類を「苦しませつつ生かす」ことを考えるのではないか、と。
で、ここからがぐるっと世界を揺るがされるところなんですが、そうやって人類を苦しませつつ生かす存在って、昔から存在してきましたよね。
「神」です。
キリスト教世界では、長らく「神が人を作った」と信じられてきた時代が続き、これを否定する無神論者たちが「人が神を作ったのだ」などと言ってきましたが、もしスーパーインテリジェンスが誕生した場合、本当の意味で人類が神を作り出すことになるだろうというわけです。
神はあまねく(デバイスに)存在するようになるのだ、と。
いや〜、単純に人類が滅亡するストーリーばかり見聞きしてきたので、こうした考え方は非常に斬新でした。
テクノロジーと宗教、哲学はこれからもどんどんと接近していくんだろうなぁ。
なんだか料理本とは関係ないおしゃべりになってしまいましたが、今週のランキングを見ていきましょう!
今週はもうすぐ発売になる「おばあちゃんのパスタ作り」のcookbookに注目しますよ。
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