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Roomies @BLUE NOTE PLACE(20241216)

 芳醇なアプローチから生まれる、Roomies流のスウィートネス。

 「店頭からブレイク・アイテムを作っていこう!」をコンセプトにした全国タワーレコードのバイヤーによるレコメンド企画「タワレコメン」の2025年1月度プッシュアイテムとして、1月8日リリース予定の『ECHO』が選出される一報も飛び込んできたネオソウル・バンドのRoomies(ルゥミィズ)。恒例となっているBLUE NOTE PLACEでの公演に足を運んだ。2月末の同会場でのステージ(記事→「Roomies @BLUE NOTE PLACE(20240228)」)以来となる。

 前回はドラム、ベース、コーラスを配した8名編成だったが、今回はコアメンバーのみ。どちらかといえば、ウィンターシーズンの夜にマッチした落ち着いた雰囲気を軸にした編成で、夜の恵比寿を彩った。韓国・ソウル生まれ、東京育ちのDJ/プロデューサー/マルチクリエイターのYonYon(ヨンヨン:SIRUPとの「Mirror」とか一十三十一との「Overflow」、☆Taku TakahashiプロデュースでSUMINを迎えた2ステップ「Dreamin'」とか良き)が、ミュージックセレクターとしてステージの前後に花を添えた。

YonYon

 斎藤渉の生ピアノによるジャミンなイントロダクションを経て、初のフィジカル作となる2ndアルバムのクローザーとなる先行タイトル曲「ECHO」から幕開け。デバージ「アイ・ライク・イット」の名フレーズをサラリとなぞったスムース&メロウな作風で、早速Roomiesらしさを提示。漆黒の夜に滑り込んでいくような甘美な世界が広がっていく。
 続く「Stay As You Are」もメロウかつテンダーなタッチのロマンティックな一曲だが、イントロからKevinが何やらメンバーを見回す回数が多いかと思ったら、歌詞が頭から飛んでしまうハプニング。演奏は止めずに、気を取り直してからはスウィートで伸びやかなヴォーカルを披露してくれたが、歌い終わった後に「ごめんなさい!」と恥ずかしながら謝るKevinに、微笑ましい拍手と歓声が投げかけられていた。

 高橋柚一郎の落ち着きある情緒を湛えたギターが導く「Do You Feel」でスローダウンし、ミッドナイトの静けさへと没入した後は、及川創介がブイブイと鳴らすシンセが腰に響くミディアム・チューンの「Hypnotized」へ。甘くセクシーな彩りがアーバンなラヴアフェアを想起させるアダルトなネオソウル/R&Bだ。1stセットの最後を飾ったのは、ビタースウィートなネオソウル「This Love」。夜空に瞬く星たちへ想いを馳せたかのような、こちらも「Stay As You Are」と並んでロマンティックなミディアムで、トキメキを刻むバンドのアンサンブルと切なさを伝うKevinのヴォーカルが、愛おしさを増幅させていった。

Roomies

 2ndセットも「This Love」のメロウな流れを引き継いで、マックスウェルやディアンジェロあたりを想起させる「Close To Being In Love」からスタート。音数は多くないが、その間に生まれる良質なグルーヴで、しっとりと、そして緩やかに五感に染みわたるヴァイブスを届けてくれる。

 Roomiesのライヴではお馴染みとなっている感謝ソング「Family」では、
ボブ・マーリー「ノー・ウーマン・ノー・クライ」よろしくR&Bではお馴染みのフレーズ“Everything's Gonna Be Alright”を挟みながら、ハートウォームなムードでフロアを包み込むと、ヴェルヴェットのような肌あたりで溶けていくミッドナイト・ラヴァー「甘い夢」で、脳内に恍惚のエッセンスをもたらしていく。このあたりのメロウネスやソウルネスはRoomiesの真骨頂とも言えようか。

 本公演はニュー・アルバム『ECHO』へのプロローグ的な位置づけともいえるゆえ、アンコール含めて11曲のうち、同アルバムから8曲をラインナップ。ニュークラシックソウル~ネオソウルの道筋を脈々と受け継いだと思しきミディアム・スローな「きみとふたり」は、瑞々しい鍵盤や優しい弦の爪弾きから生まれる音色とそっと寄り添うようなヴォーカルワークが溶け合って、特に女子の心を鷲摑みにする力を秘めたナンバーだろう。

 斎藤が手掛けたという「Like This Before」をもって本編はラストに。本公演で(またアルバム『ECHO』のなかでも)最もポップな色彩が映える、跳ねるリズムが楽しい一曲を、メンバーそれぞれが愉しみながら音を鳴らしているさまがオーディエンスにも伝播し、微笑ましいなかでのエンディングとなった。
 アンコールでは再びしっとりと、テンダーなメロディの「小さな手」をセレクト。肩にそっと触れながら語り掛け、心の扉を開かせるかのような、安らぎが伝うアレンジで、寒い夜に煌めきと温もりをもたらしていった。

 ウィンターシーズンの夜公演ということで、元来有しているスウィートネスを、シンプルな編成ながらも、間から生まれるグルーヴを巧みに駆使して膨らませ、ネオソウルなアプローチで染めた2セット。アルバム・リリース後にはさらに練り込まれた演奏も聴けそうだ……そんな予兆も感じた、『ECHO』リリースへの序章となるステージだったのではないだろうか。

◇◇◇
<SET LIST>
《1st Set》
00 INTRODUCTION
01 ECHO  (*E)
02 Stay As You Are  (*E)
03 Do You Feel
04 Hypnotized  (*E)
05 This Love  (*E)

《2nd Set》
06 Close To Being In Love  (*E)
07 Family
08 甘い夢  (*E)
09 きみとふたり  (*E)
10 Like This Before  (*E)
《ENCORE》
11 小さな手

(*E): song from album "ECHO"

<MEMBERS>
Kevin / ケヴィン(vo)
Yuichiro Takahashi / 高橋柚一郎(g)
Wataru Saito / 斎藤渉(p,key)
Sosuke Oikawa / 及川創介(syn)

Music Selector:
yonyon(DJ)

◇◇◇
【Roomiesのライヴについての記事】
2022/12/13 Roomies @BLUE NOTE PLACE
2023/03/04 Roomies @WWW(20230304)
2023/04/11 Roomies @BLUE NOTE PLACE(20230411)
2024/02/28 Roomies @BLUE NOTE PLACE(20240228)
2024/12/16 Roomies @BLUE NOTE PLACE(20241216)(本記事)


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