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不安のかたち(具現化)の一事例

「不安」を細かく具体的にイメージするとたぶんこんな感じ、
という一つのたとえ。

お腹の中に空間があって、その底に、少し凹むように湾曲した床みたいなのがある。表面はつるんとしていてツヤがあり、サーモンピンク色で、かたいか柔らかいかはよくわからない。

 その底を、無理やり素手でなでられるような感覚。
 くすぐったいわけでも痛いわけでもないが、ざらざらというか、ざわざわ。ものすごくざわざわして不快で。特に危害を加えられているとは思わないが、その手がどこから伸びてくるのかはわからず、払いのけるという発想もなぜかその場では思いつかない。
 とにかく不快でいてもたってもいられず、キョロキョロ、ごそごそ、右往左往。七転八倒まではいかないが、とにかく悶える。(かゆみを我慢する感覚が一番近いかもしれない)

 そして突然、その ”空間” の存在を感じる。今までもあったんだろうけど、わざわざ感じることのなかったもの。ものすごく広くて大きくて戸惑い、ますます冷静さは失われる。
 反射的にその ”空” を埋めなくてはと焦り、手を伸ばし届くものを手当たり次第に詰め込んでいく。』

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