眠れぬ都市の痴女（31）

眠れない。正確には睡眠導入剤が効き始めるまで眠れない。睡眠導入剤を飲むと午前中いっぱい起きられないことが多い（会社は午後からなので午前中いっぱい眠っていても問題ない）。ゆえに飲むのを少しばかり躊躇する。
午前十時の映画祭に行きたい。睡眠導入剤を飲んだ日にはほぼ行けない。それゆえのわずかな躊躇。でも眠れないほうが辛いので悩んだ末に飲む。そしてぐっすり午前中を終えてしまう。
こんな暮らしをしてしまうと日記に書くネタも収集できないし、日記を書く時間もなくなる。とはいえまずは健康にならなくては仕方がないので、薬を飲んでひたすら寝る。
睡眠導入剤を飲んで見る夢は「夢占い」があてにならないくらい意味がないものばかりでなんだか面白い。この間は「クレヨンしんちゃん」のキャラクター「マサオくん」が自分の身を守るためだけにカスカベ防衛隊のメンバーを裏切るシーンばかりを集めたとされる総集編（もちろんそんなものは実在しない）を観ている夢を見た。ここから私の深層心理などが本当に読み解けるという人がいたらすごい。私は起きたあと「マサオくんってなんか嫌な人だな」という気持ちにしかならなかった。私の無意識が捏造したキャラクター像にすっかり翻弄されている。