まもなく。大義なき総選挙が始まる!

 今の日本状況を脱するには、つまり「失われた30年」から脱するには政権交代を実現しないとダメ。
 その理由を以下に述べる。
 戦後一貫して自民党政権が続いてきた。戦前から続くそのシステムは、80年代までは日本の経済成長には有利に作用したのだろう。政官財が癒着し、地域の利権構造を活かして戦後の日本経済をけん引してきた。そして、選挙になれば、そのシステムが集票活動を円滑に展開してきたのだ。しかし、今ではその利権構造が、旧態依然としたシステムを改革する足かせになってきたのだ。
 つまり、現在の自民党政治がそれぞれの利害関係に依拠した施策を打つことしかできず、その結果、抜本的な改革を打つことができなくなっているのだ。これが「失われた30年」の元凶なのだろう。
 先月はコメ不足が大きくクローズアップされていた。
 農水省の集計によると農業を主な仕事としているのは23年に116万人と2000年の半数程度に減少している。従事者のうち65歳以上が占める割合が71%と00年に比べ20%上昇している。作付けのある農地面積は22年に395万㌶と00年に比べ13%減少した。耕作されず荒れ果てた農地は20年時点で28万㌶ある。その理由は所有者の高齢化・病気によるものが最も多く労働力不足が続く。明らかに日本農業の衰退傾向が顕著になっている。
 こんな状況にあっても、農業に参入するには岩盤規制があって、一般企業、個人がなかなか入れない状態にある。そして、衰退の一途をたどっている現状の農業者には手厚い補助金が支給されているのだ。それは地方の自民党の大票田であり、選挙の実働部隊であるからなのだ。
 次に医療費の問題を考える。
 23年度の医療機関に支払われた医療費の概算が公表された。47.3兆円で22年度から1.3兆円増加し、3年連続で過去最高を記録。75歳以上の医療費は全体の39.8%の割合を占めるようになっている。
 日本医師会は約7万人の医師が会員として参加している。医師などの診療報酬そのものに切り込む医療費抑制案は自民党政権ではタブー視されてきた。その代りに薬価があおりを受けて大きく引き下げられてきた。その結果、日本市場は儲からないと見た外資系メーカーが新薬を日本で売らない状況は深刻化している。
 自民党の強力な支持団体である日本医師会が強力に要望す報酬を報酬を上げるために薬価を削ることによって、日本の医療システムはどれだけ歪んだものになってきたことだろう。
 医療費の問題を考えるときに提案したいのは、「健康診断」というシステムの中止ということだ。
 世界でも健康診断を実施している国は日本と韓国のみで、疫学的に延命効果が立証されていないシステムを欧米は取り入れていないのだ。日本では、定期的に国民に実施することによって、個人の身体の小さな不調を見つけて医療機関につなぐことによって、医師の収入増につながっているのだ。最近では分析機器の発達によって、さらに微細な数値の変化やガンを発見できるようになったので、その傾向が一層高まっているように思う。
 健康診断を受けなくても、ヨーロッパのようにしっかりした「掛かりつけ医制度」を設立することによって、各人が不調を感じたときに身近な医療機関にかかるというシステムにすれば、これほどの医療費は必要ないものだと思う。
 特に高齢者が精度の高い健康診断を受ければ、ほぼ確実に何らかの異常値が見つかるはずだ。普通に問題ない日常生活をしている人がその異常値のおかげで医者に通ったり、小さなガンが発見されて手術することによって、これまでできた日常生活ができなくなるケースを周りに散見できるのだ。
 一例をあげると90歳の男性に小さな肺がんが見つかった。それを手術で取り除いたという。彼は毎週テニスをしていたが、術後はすぐに息が上がってしまって、テニスが全くできなくなってしまった。今では、部屋から出ることなく生活しているのだ。
 しかし、日本では、健康診断というシステムにたくさんの人員が携わり、大きな利権が発生しているから、これにメスを入れることは現政権では無理なのだ。
 さらに日本の経済がじり貧の一つにGDPが世界中で日本だけがほぼ30年間伸びなかったことがある。国民1人当たりGDPは世界ランクを毎年落としてきた。今では、38位と前年からさらに4つ順位を落としている。95年では6位だったことを考えるとまさにつるべ落としの状態だ。
 1人当たりの生産量が増えない限り、個人所得が上がりようがない。特に日本のように企業はまず内部留保をため込み、労働分配率を低下させることに血道を上げてきたのだから。
 しかし、日本の場合は、生産性の低い中小企業の延命を補助金などの優遇措置で行ってきた。その結果、ゾンビ企業と言われるほぼ死に体状態の企業が蔓延している。これも都市部での自民党の選挙の際の実働部隊が商工会議所傘下の中小企業主が中心になっているので、そこに手厚く施策を施すのだ。
 以上のように自民党が政権を執っている限り、自らの選挙のために既得権を有する組織、団体を優遇するのだから、今のシステムを改革する抜本的な手を自民党政府では打つことができないのだ。
だから、本格的な政権交代こそ、日本が延命する道だと思う。
ただ、今の状態では、今回も無理なのではないだろうか!

いいなと思ったら応援しよう!