「東京オリンピック2022を徹底検証せよ」
昨年12月、会計検査院が、「開催経費が大会組織委員会の公表額より2割も多い1兆6989億円に上った」と明らかにした。選手の強化費、ドーピング対策費など計約2800億円を大会と関係の深い経費に認定した結果だ。その調査報告では、「国は、国が関与する国際的な大規模イベントの経費総額や執行状況を明らかにし、国民の理解に資する情報提供を行うべきだ」としている。
その後、組織委元理事の受託収賄事件を契機に芋づる式に談合事件が洗い出されてきたのだ。結果、437億円の事業が官民で結託して骨抜きにされてきたことが判明した。一連の事件で計22人が起訴されたという。
オリンピック事業に使われた1兆7千億円もの巨額の資金が何に費やされたのか、どのような契約行為だったのかを明らかにすることが近代的な国家の体面を保つことにつながると思う。このままでは、汚職にまみれた開発途上国の大規模イベントの跡という観すらある。
昨年末、東京都が談合調査チームを組織して調査したが、1か月にわたる調査の中間まとめでは「各入札案件は規定にのっとり実施されていた」とされていた。
現在明らかになっている談合事件を踏まえると、その調査はなんだったのかということになる。
五輪組織委員会は昨年6月に解散し、現在は清算法人の職員が残るのみ。今後、評議員会が決議すれば組織として完全に消滅する可能性もあるという。
海外では、五輪運営を巡る不正を防止するために監視対策を整える。来年、パリ大会を控えるフランスでは特別法を制定した。独立した政府の監査機関が専門的にチェックする。12年のロンドン大会でも議会の決算委員会などが不正な支出がないかを繰り返し点検したのだ。
かつての長野五輪では終了後、直ちに関係書類は焼却されたという。急がないと取り返しがつかないことになる。