「天下りが日本の未来を暗くする」
図書館で、予約していた雑誌がやっと届いた。4月24日号の日経ビジネスだ。特集記事は「通信後進国ニッポン 「5G敗戦」から再起せよ」だ。興味深い特集なので、多くの人が予約して読んでいった。だから、私の手元に来たときには、雑誌全体が柔らかくしなっていた。いかにも多くの人の手で触れられ捏ねられた証があった。
日本の通信技術は世界のトップから何周も置かれている。地盤沈下が続く日本の情報通信産業に、起死回生の「光」が差し込んでいる、として次世代情報通信技術「IOWN」を紹介していた。
NTTを中心として一丸となって取り組んでいるらしい。
超高速・大容量の光の専用路によって、通信品質を保証し、リモートでも実際に会って話しているかのようなオンライン会議を可能にするというもので、通信速度を現在の125倍を目標としているのだ。
これが実現すれば、本当に日本企業が世界の潮流に伍して戦えるかもしれないと思いながら、その記事を読み進めていくと、なんか見慣れた顔写真が登場してきた。NTTの副社長という肩書だ。その名前は、「柳瀬唯夫」だ。この名前はどこかで聞いたな、と考えていたら、思い出した。
安倍政権の末期に、森友学園の土地売却疑惑に端を発し、官僚の公文書改ざん問題から職員の自死に至る事件があった同時期、岡山の加計学園に対し安倍首相のお友達優遇問題が発覚した。「モリカケ」問題と大いに話題になったことがあった。その際に、国会で、露骨に嘘とわかるような答弁を繰り返して安倍を守り通して、退職した経産省出身の内閣総理大臣秘書官がいた。その人物のその後がこのポストだったのだ。露骨な天下りだ。
元々NTTは公的な組織だった。だから、経産省とは密接につながって経営をしてきたのだから、このような人事は普通にあることなのだろう。
だとしたら、NTTの今回の戦略も結局、失敗に帰するだろう。彼は 事業企画室長と言う肩書きだ。次世代情報通信技術「IOWN」の特集でNTT代表として紙面に登場しているのだから、このテーマに積極的にコミットすることだろう。
国・国民のために働くより、自分の利益中心に恥ずかしげもなく嘘をつく官僚を経験した人に国家の将来にかかわる事業ができるわけがない。
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