「日本の大学は学問をするところではなくなっている」

   最近の就活は早く始まりすぎている。
 大学によると、1~2年生も対象とする就職イベントを7月に開催している。そして、学生の中には、2年生の3月から終活を初めて、3年生の夏休みは各社のインターンシップに参加するためにびっしりとスケジュールを入れているくらいだ。その傾向は企業が採用活動を前倒ししていることに起因している。これでは、学生は大学に入ってもまともに勉強・研究をする時間は無い。大学が職業獲得のための専門学校に過ぎなくなっているのが今の日本の現状なのだろうか。
 さらに企業側では、仕事に必要な資格を卒業前に求めるケースがある。当然、大学での学業の空洞化が必然的に起きてしまう。
 そんな現状では、企業も内定を出す際に、大学での学生の成績や研究内容などはまったく関係なくなってしまう。勢い、大学受験能力だけでしか判断できず、大学の名前による格付けが横行することになるのだ。 
 同時に海外留学する学生の数が激変することになる。就活に支障が出るということで躊躇する学生が増えている。もはやピークから半減しているのだ。これからグローバルな人材が必要とされているのに、逆行した現象になっている。
 こんなことが重なれば、日本の大学の研究現場の空洞化も進むというものだ。その結果、国際的な格付けでの日本の大学の地位が年々下がり続け、研究活動の成果である論文数やその内容の質の面でも、かつてはアメリカに次ぐ2位だったものが今では韓国やイランなどの後塵を拝しているのだ。
 世界の潮流に追いつくには、新卒一括採用を止めて、通年採用で、様々な経歴・能力を持つ人達を採用できるようにシステムを変えて、新卒に拘らない企業の採用体制を作らない限り、不可能だろうと思う。
現状の現状のままでは、「失われた30年」がさらに続くことになる。
 

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