古代の薩摩940年 #82

古代の薩摩940年を書き終えて
私の拙い読み物にお付き合いいただいたみなさま、ありがとうございました。
この時代の資料があまりないことをこれ幸いと、勝手気ままに書きました。
81回・5万語超える長編になってしまいました。もう少し深く掘り下げるべきだった場面も今となってはあります。
フィクションとノンフィクションのはざまをドキュメンタリタッチで書いてきました。最後はハッピイエンドにしたかったのですが、歴史の現実がそれを許してくれませんでした。
杜甫の「春望」は中学でも高校でも漢文で勉強しましたが、今回これを書き終えてはじめてこの唐詩の心象風景を理解できたように思ったので紹介しました。
その時代を代表する事物はできるだけ具体的に書きました。例えば縄文土器・弥生土器・須恵器の製法・水田耕作・鉄の製造過程・氏姓制度や班田収授法の功罪など。
わが薩摩に対する郷土愛をなんとか表現できないかと思い立ち、鹿児島県には前方後円墳がほとんどない不思議に気づき、庶民の歴史を書こうと決心しました。特に庶民にとっての理想郷をイメージの中心に置きました。税金とか国家とか権力とは人間社会にとって本当に必要なのかとかも少し考えました。
考古学や古代史の先生方からは「もう少し時代考証をしっかりしろ。」というお叱りも受けましょうが、フィクションということでご勘弁を。
ただ、社会生活の中の各産業の役割や重要性、貨幣制度の必然性、社会福祉の充実などはこれからの日本を背負っていく学生諸君の勉強の一助にでもなればと思います。
最後に次の書籍は参考にさせていただきました。紙面を借りて御礼申し上げます。
①鹿児島県の歴史(山川出版)原口虎雄先生著
②逆・日本史3・4(祥伝社)樋口清之先生著
③庶民の日本史(グッドブックス)小名木善行先生著
2024年吉日        吉峯盾
<番外>鹿児島県曾於市(そおし)では毎年11月3日に弥五郎どん祭りが催され、身長5mもある大男「弥五郎どん人形」が岩川の街をねり歩き、薩摩隼人の意地を今に伝えている。

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