家出少年D君とE君!
中学校の時、3年間塾に通ったこの二人、高1と高3で学年も違うし、性格も好みも全く違う。どこでどうして知り合ったのかわけを聞きそびれてしまったが、ある日突然自宅にやってきて明日二人で家を出るという。相談ではない。結論である。その時私は親に連絡するべきか迷った。私の一瞬の表情で彼らは私にプレッシャーをかけてきた。「先生は絶対に親に通報はしないよね。」と。「しないでくれ。」ではない。ここまで信頼されると(?)裏切るわけにもいかない。決行の朝、国道3号線で大型トラックの何代目かが乗せてくれてヒッチハイクもどき家出少年2人がで出発していった。
私のほうはというと、、その足で2つの家庭に直行。出来事を報告。最初に言ったD君のほうは父親は「ありがとうございました。」とあいさつされたが、母親はオロオロするばかりなので、「ほんの出来心です。すぐ帰ってきますから。」と。安心させて、次に向かった。ところが、E君の父親からはひどく怒られた。「先生、なんで止めてくれなかったのか!」である。ある程度予想はしていたのだが、返す言葉もなく、ひたすら謝った。するとこちらは母親が父親をなだめてくれてことなきをえた。夫婦とは面白いものである。などとその時はのんきなことなど思いもしなかったが・・・。
3日目にはD君は一人で帰ってきた。資金不足で駅のベンチに寝たこともあったとか。まったく無茶をするものだ。その後は何事もなかったかのように高校に通い、大学にも合格。市役所に定年まで勤め上げた。
一方、E君のほうはついに帰ってこなかった。アルバイトをしながら、いろいろな仕事を経験し、今は東京で小さい会社ではあるが、社長である。
私の判断はあれでよかったのだろうか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?