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研究生活でめちゃくちゃ役立った3冊

社会人ドクター生活で大変だったこと。
ゼミの準備、審査の準備、論文投稿・・・色々ありましたが、一番の難敵は博士論文でした。
レビューする既往研究(論文)の数、それらを整理し、わかりやすく表現しつつ課題と解決策を提示する。やることとしてはシンプルですが、その一つ一つの作業の密度が濃い、とでも言いましょうか、自分にとっては難儀の連続でした。
論文10〜20編程度であれば、なんとか頭に詰め込めば概要くらいは記憶できますが、それ以上になってくると、整理というステップが必要になってきます(自分の記憶力の低さの問題かもしれませんが・・・)
投稿論文の引用文献が少ないときは、それぞれの文献を読み、頭の中に叩き込んで一気に執筆、記憶が曖昧な場合は論文に戻るというサイクルで対応できます。
一方、博士論文の何十〜何百編という引用になってくると、もはやどの論文に何が書いてあったかを把握することは極めて難しくなります(何度も目をとおすものは別ですが)。
自分は、読書猿さんの独学大全を参考にエクセルにまとめて整理というステップ応用し、文献情報や数値データはエクセルで管理、図はパワーポイントにデータベース化するという対応をとりました。

振り返ってみても、この作業中に整理をしながらまとめるのは良かったと思います。
これは、後から活用する時に便利(テキストデータにすると、コピペもできる)であるというのもありますが、論文を読む際に意識的に抜き出すべき情報に意識を向けて読むことができる(総花的に読み、結果何も残らないという状態を避けることができる)という2点が大きい気がします。
特に慣れないうちは、論文の一字一句が全て重要に思えてしまい、「頭から全部理解し、全部記憶してやる!」という鼻息荒く読み始めるわけですが、1、2編は可能だったとしても、人間の能力(脳力)的にそんなことは不可能はわけです。
となると、やはり必要な情報と不要な情報を取捨選択する必要が出てくるわけですが、エクセルの枠(項目)の作成の作業により、自動的に「自分の論文に必要な情報・不要な情報」が整理できるというわけですね。で、実際に読む際にはその枠に該当する情報を探しながら読む、という流れになり、結果、効率的に読めるようにもなります。

もう一点、図をパワーポイントで整理(データベース化)するのも後から複数の論文を執筆したり、プレゼン資料等を作るときに便利でした
。本当はイラストレーターなどで作るとクオリティ高く仕上げられるのですが、自分の会社の関係から画像加工のソフトを使うわけにもいかず・・な状態だったので、画像の鮮明さは低下してしまいますが苦肉の策での選択。ただ、結果としては(図は多少汚くなることを許容しても)良かったかと思います。
1つ1つの図を別ファイルで作ってしまうとある段階から検索の手間が出てくるのでそれを防げたのと、更新をしていく類の図は、「どのタイミングの図なのか?」の履歴が残せるのが大きかったです。
複数の論文を並行して投稿した経験のある方ならお分かりいただけるかと思いますが、Aの学会誌から「こうやって図を直して」とコメントがあったと思ったら、Bの学会誌からは同じ図で別な注文が舞い込んだり・・・というのが結構あったので。

話が飛びましたので、本題に戻ります。
冒頭の2冊、表紙だけ見ると軽そう・チャラそうな印象を受けておりますが、自分が会社に入って役立った本を5冊あげなさいと言われたら間違いなく選ぶ2冊です。
書店に行くと、資料のまとめ方、プレゼン資料の作り方、思考術、様々なタイトルでたくさんの本が売られています。それらの中に、有益なものがあるのは否定しませんが、自分の感覚だと表面的なものが多い気がします。
例えば、議事録はこういう構成にしましょうということが述べられているとして、多くの場合、構成や見た目は「最後のお化粧」の段階かと思います。
もっと大事なのは、会議中にどんな議論があり、各人のコメントの重い軽いを把握し、何のために議事録を書き、それをどう使うのか、という部分かと思います。

冒頭の2冊は、どうやって考えたらいいのか、どうやって資料を作ったらいいのかという初期動作のところを言語化して示してくれていて、有益でした。
いきなりパソコンに向かうべからず、まずは紙とペンで考える。
本書を読んで以来、ずっと実行している教えであり、業務のみならず研究生活でも助けられたアドバイスです。

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