しにたい気持ちが消えるまで
よく聞くpodcastのヤンデル先生が勧めていた1冊。
女子高校生が飛び降り自殺を図ろうとしたが、結局死にきれず車椅子生活をしている、というだけでも野次馬根性的に色々と詮索したくもなるところですが、すごい1冊でした。
冒頭、家族のことについて触れられていて構成が明らかになります。
韓国籍の母。ある意味被害者側の豆塚さん目線から描かれているので多少の偏りはあるのかもしれませんが、子供を「ブタ」と罵ったり仕事とかこつけてパチンコにいきほとんど面倒を見なかったり。いわゆる毒親。で、さらに上をいくのが義理の父。豆塚さんの実の父は別にいるという複雑な環境なわけですが、この義父、国語教師かつPTA活動もやっているようですが、自分の家族への仕打ちがとんでもない。1度、天気が悪いから車で学校に送ってくれと父親に打診した豆塚さん。送っては貰ったものの「なぜ早く起きないのだ」等、説教の嵐で二度と頼まなくなったのだとか。結局は母親と義父との仲も悪くなり、離れと母屋の生活が続いたそう。
人間には帰る場所があれば、非行に走ったり自分で死を選んだりはしない。
そんな言葉を聞いたことがあります。確かに、本書を読んでいても、未成年にとっては学校と家庭がほぼ世界の全て。
あと、大人が想像する以上に子供は大人に気を遣っているというか顔色を窺っていることを改めて気付かされました。自分にも子供がいますが、自分に余裕がなかったり、子供が悪いことをすると不機嫌になってしまうとがあります(反省すべき点です)。もし、子供が全てを理解して、自分がAということをしたから親は不機嫌になっているんだ・自分が怒られているんだと理解してくれればいいのですが、それを除いて高圧的であったり、怒りや感情で子供を自分をコントロールすることは改めて避けなければならない、そう強く思いました。
通常の親であれば、自分の不機嫌のせいで子供の可能性をつぶずのは悲しいですね。些細なことですが、親が上機嫌でいること、子供が言いたいことを言い出せる雰囲気を作ること、結構大事なことだと思います。
そんな大変な経験をした豆塚さん。
両親に向け、「安心な家庭を築いてください」というメッセージでも発信するのかと思ったら、ちょっと予想を裏切られました。
ちょっと長いですが、抜粋してみます。
意外な気がしませんか。
大人への恨み節もなく、子どもを大事にせよというメッセージだけでもない。
自分は「子供を大事にしてほしい」という想いが第一にくるものと思っていました。
なぜ、豆塚さんは「人生を楽しむこと」を第一のメッセージとして発信したのでしょうか。こんなに酷い目に合わせられた親に対し、幸せになってほしい、と心から願っているのか?なんか、偽善ぽくないのか。本に書くからって、綺麗なところだけ切り出してるのではないか?ちょっと、そんな斜に構えたような見方をしてしまったのが正直なところでした。
でも、この解決策って理にかなってるのかなという考えに至りました。
欲求なり願望を実現するのであれば、大きいところかの方が良い。
自分の身を振り返ってみても、自分の両親には特別に幸せになって欲しかったし、ある程度の分別がついた年齢からは、金銭面のみならず迷惑をかけている、負担をかけているのが嫌だった(多分に負荷をかけてはいるのですが)。
身を削って子供最優先というのは聞こえはいいし美しいですが、それよりもまず、大人が幸せそうにする、幸せになることが最優先事項なのかな。
読みながら、そんなことを考えました。
にしても、新年一発目から頭をガツンと殴られるような読書体験でした。
このような自分の価値観や考え方を揺さぶられる体験を数千円でできる。
これだから、読書はやめられない。
今年も良い本にいっぱい出会えますように。
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