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PERFECT DAYS〜完璧な日常、ってどんなだろう?

東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々が作る木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。

Amazonの紹介記事です。

自分も、podcastを聴いていておすすめしてる方が複数名いたので、見てみました。

紹介文のとおり、平山は本当にゼンマイ仕掛けのように同じような日々を過ごしていて、よくある映画のようなイベントもほとんど起こりません。

決まった時間に起き
家の前の自動販売機で同じ缶コーヒーを買う
通勤中にセレクトしたカセットを聴く
決まったルートでトイレ掃除をする
サンドイッチの昼食を決まったところで食べ
毎日、木の写真を撮る
行きつけの飲み屋さんで同じメニューとチューハイを飲む
銭湯に行く
読書をして寝る
定期的にコインランドリーに行き、制服(つなぎ)を洗濯する

そんな起伏や変化のほとんどない映画。
言ってしまえばそれまでなのですが、なんでこんなに受けているのでしょうか。

平山のミニマリスト的生き方

度々、平山の住む家が映し出されます。
本当に、必要最低限のものしか持たず生活していることが分かります。

タンスも一個、小さな本棚が一個。
少しの植物。
カメラに1本の腕時計。
1本の歯ブラシに歯磨き粉。

そんな、物がすくなく、かつ変化も少ない毎日ですが、平山は毎日朝家出るとき、空を見てニヤッとする。
仕事中、決まった場所でサンドイッチを食べる際に、空を見上げて木の写真を撮る。

つまらん、刺激が欲しいということなく、そのような些細な日常の中に喜びと変化を見出していく。

本作品が大人(おっさん?)に受けいられれているのは、禅的にも見える平山のそのような生活スタイルと姿勢に漠とした憧れを抱いている人がいることを表しているのかもしれません。

お気に入りを、何度でも

本作品の中では、植物とカセットテープが平山を表すアイテムとして使われています。

特に、カセットテープなんか今の若い方は見たこともないかもしれませんねw
でも、平山は今でさえもルーティンのように聴いている。

これって、今の我々にも当てはまる時間の使い方に対する提言、とも受け取れます。

一時期、こんな新書が流行りましたね。

自分は今アラフォーという年齢になりましたが、小さい頃と比べてコンテンツの量が爆発的に増えました。
全てを網羅して楽しむことは物理的にも無理です。

そんな中で、各種コンテンツをより効率的に見よう(情報を得よう)とした時の対策が早送りということで、理にかなってます。

でも、自分の幸福度や満足度という観点で見たときには、お気に入りを何度も見る方がよいのか、それとも新作を見た方が良いのか。

流されると次から次へと新作が出てきて、そのインプットに追われるという自転車操業状態になりそうです。
いったん、立ち止まって自分がどのような時間の使い方、インプットの仕方をすれば幸福度・満足度が上がるのかというのを考えてみても良いかもしれませんね。

にしても、ドイツの監督が撮っているとは驚き。
よほど、日本のことを勉強なさったんだろうな。
脱帽。

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