(おすすめ本)失敗の科学(2)

面白すぎて一気に読了。

何か実生活に生かせる知見があればという目線で読み始めたのですが、中に出てくる個別の事例、その描き方があまりに見事でそちらにも引き込まれてしまいました。

FACTFULLNESSという本がベストセラーとなったことは記憶に新しいところ。

いかに人々が簡単に思い込んでしまうのかということが数字の面から明らかにされていく様子は痛快でもありました。

本書も、日常の”失敗”の原因を明らかにしてくとともに、

①私たちがいかに失敗と真摯に向き合えていないか

②いかに誤った対応をしてしまっているか

が見所です。

まず、①。

失敗と真摯に向き合えてますか?自分は正直この問いにYESと自信を持って答えられません。。仕事でもやらかしてしまった時には、(よくないですが)なるたけ他の人にバレないように内々に処理してしまったり、策を具してなかったことにしてしまうこと、正直ゼロではありません。

もちろん、他人に迷惑をかけたりするレベルではなければ問題ないのですが。。

一方、人の命を預かる医療現場ではミスが生命に直結するケースがあるわけで、簡単にミスりました、という訳にはいかないですね。医療現場では今も医師の判断ミス等による死者が世界レベルでたくさん居るそう(アメリカでも万を超えてるとか)。

こういう状況を生み出してしまっている背景の1つが、失敗に対する世間・周囲の対応というわけ。そりゃ、ミスを告白して責められるのであれば、誰も自分から能動的にアクションなんて起こさないですよね。

しかし、実際に数万単位の人々が医師のミスにより毎年命を落としている現実を鑑みるに、看過していい状態ではないわけです。少しずつ状況は変化してきては居るようですが、日本に目をむけてみても、(報道くらいでしか医療ミスを知る機会はないのですが)医療業界の隠蔽体質が透けて見えるなぁというのが率直な印象です。

で、②。こういったミスをなくすにはどうしたら良いのか?という問いにぶつかったとき、人間は短絡的に”懲罰を厳しくすればそれを避けるためにミスらなくなるはず”という前提で行動なり発言をしがち。

自分の身に置き換えてみても、何か部下が何度注意してもミスを繰り返す様子を目の当たりにすると、叱責なりちょっと強めに注意をしたり、をしてしまいがち。

しかし、これはやってはいけない対応なのだそう。

アメリカで行われた「スケアード・プログラム」というプログラムで、非行少年・少女に刑務所内で罵られるという怖い経験(スケアード)をさせたところ、その後の犯罪率が下がるかと思いきや、逆に上がってしまった実例が引かれています。

客観的に観察しないと判断を誤ってしまう好例ですね。

(少年少女がビビる→非行に走らなくなる、は直感的に理解できるところ)

というわけで、非難したり人間の思い込みで行動してしまうのは、真逆の結果を生み出しうるというのは心に留めておきたいところです。

じゃあどうすれば良いのか?というところもシンプルにまとめてくれていて

・失敗を許容する

・失敗していることを知る手段を持つ

・客観的なデータをとり、改善ができる体制を構築する

ことが肝要だそう。

リーンスタートアップ、なんて単語も最近よく耳にするところですが、

試行 → 失敗 → 小さな改善

を積み重ねて高みを目指すことが、遠回りに見えて一番の近道。まさに急がば回れ、といったところでしょうか。

自分の中で大ヒットな一冊でした。

ぜひ、手に取ってみてください。

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