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『流出する日本人ー海外移住の光と影』

「日本人の海外移住への関心が高まっている。」「日本人の海外移住には、留学、ワーキングホリデー、海外駐在、技能ビザでの就労、国際結婚、教育移住、退職移住など多様な形があり、それぞれ異なる特徴や課題がある。」と述べています。


本日紹介するのは、ハーバード大学大学院社会学研究科博士課程修了(社会学博士)、国際労働機関(ILO)政策分析官、国際基督教大学准教授、上智大学教授などを経て現在は、メルボルン大学アジア研究所准教授、移民政策学会理事大石奈々さんが書いた、こちらの書籍です。


大石奈々『流出する日本人ー海外移住の光と影』(中公新書)


この本は、「多くの日本人が海外に移住している背景にある要因は何なのか。移住者たちは何をめざし、どのように移住先・就労先の国や地域を決めているのか。また移住後にはどのような壁に直面しているのか。永住権や国籍を取得することでどのように生活が変わるのか。」など多様な問いに回答するための分析を提供している書です。


本書は以下の8部構成から成っています。

1.日本人の海外移住の歴史

2.日本の人口減少と世界の移民政策ー移住をめぐる構造変化

3.若者たちの海外移住ーワーキングホリデーの光と影

4.「自己実現」と「生きやすさ」を求めて


5.日本が抱えるリスクと不確実性

6.移住先の選択ー文化から税制まで

7.海外移住の影ー永住のハードルと移住後のリスク

8.日本の未来と政策の選択肢


この本の冒頭で著者は、「30年以上にわたり人の国際移動について研究し、自らも『移住者』として海外4カ国で23年間過ごした筆者が、分析を試みることで、日本人の海外移住と言う現象について関心を持つ方々と、より良い日本の将来について考えて行きたい」と述べています。


本書の前半では、「日本人の海外移住の歴史」および「日本の人口減少と世界の移民政策ー移住をめぐる構造変化」について以下のポイントを説明しています。

◆ 日本からの海外移住は長い歴史がある

◆ 世界で3,500万人に増えた「デジタルノマド」

◆ デジタルノマド向けのフリーランスビザを発給する国々

◆ 海外移住の志向:①自己実現、②生きやすさの模索、③リスク回避、④豊かさの追求


この本の中盤では、「若者たちの海外移住ーワーキングホリデーの光と影」「自己実現と生きやすさを求めて」および「日本が抱えるリスクと不確実性」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ 留学の代替としてのワーキングホリデー

◆ ワーホリの四類型:①キャリアトレーニング型、②キャリアブレーク型、③キャリアリセット型、④プレキャリア型

◆ デジタルノマドと複数国を移動しながら働くグローバルノマド

◆ ビザ延長のための豪州の農場労働でのリスク


◆ 住み込みで家事・育児を提供するオーペア(au pair)はグレーゾーン

◆ 女性が生きづらい日本からジェンダー差別のない海外へ行く女性

◆ 日本の長期的な災害リスクから海外へ

◆ 日本の安全保障リスク、経済リスク、教育リスク


本書の後半では、「移住先の選択ー文化から税制まで」「海外移住の影ー永住のハードルと移住後のリスク」および「日本の未来と政策の選択肢」ついて説明しています。とくに共感できるポイントは以下の通りです。

◆ 英語圏と多文化環境

◆ 日本との文化的・物理的距離と治安

◆ 気候・自然環境と物価・税制

◆ 狭まる退職移住の選択肢


◆ 永住権を持つ者と持たざる者の格差

◆ 海外移住で最大のリスクの1つは医療問題

◆ 年金制度など老後資金の計画を立ててから海外に

◆ 退職者移住で日本の住民票を抜ける場合は、移住国の政策(ビザなど)変更リスク


◆ 海外移住者やその子孫が母国との関係を強化する「ディアスポラ戦略」

◆ グローバルな交流人口と関係人口

◆ 特定の国に愛着を持つ「アフィニティ・ディアスポラ」

◆「誰もが住み続けたい日本」に


あなたも本書を読んで「海外移住の光と影」を知ることで、自らのライフスタイルを考えるヒントにしてみませんか。


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では、今日もハッピーな1日を!【3467冊目】

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