終わりなき旅のはじまり最終話
石垣島に到着した僕を迎えてくれたのは、当時、石垣島の文化課の長をしていた太田静男さんだった。
太田さん自身も歌を唄い、書を書く方で、後に数冊の本とCDを出版した。
太田さんに連れられナミイお婆と対面した。
レコーディングなんてやったことない、緊張すんねと笑ないがら三線を弾くお婆、お姉さんと顔そっくりだ、とまた笑っていた。
レコーディングはお座敷ライブで、民家のお座敷で行われた。お座敷の場を提供してくれたお爺にも挨拶に行く、すると壺を持ってきて「これ飲みたいか?飲みたいやろ?」と笑いながら泡盛をくんでくれた。
与那国の海蛇を漬け込んだ古酒で20年だか30年ものというその泡盛の美味さに感動した僕に、そのお爺は滞在期間中会うたびに「飲みたいか?」と笑いながら飲ませてくれたのを覚えている。
そしていよいよお座敷ライブが始まった。
飲めや歌えやのお座敷ライブで圧巻の90分だった。
録音後、音源をレコーディングスタジオ時代の友人に送りマスタリングをしてもらい翌年自主出版で販売された。
そして三女の姉は2006年1月「ナミイ!八重山のお婆の歌物語」を出版、同じく2006年3月、写真家としても知られる本橋成一監督作品として映画「ナミイと唄えば」が公開され、そのサウンドトラックに僕が録音した音源が打ち込みによるヒップホップ調にアレンジされ使われた。
1つの事が広がる何かに携われたことが、この上なく嬉しい瞬間だった。
終わりなき旅のはじまり/終わり。
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あとがき
自粛により、仕事と自宅待機が交互に続く中、古いアルバムをめくってるうちに、何か書こうかなと思い書き始めたのだけど、、
最初は第10話くらいで終わるつもりが、書いてるうちに色々と忘れてたことを思い出してしまい、結局こんなに長くなってしまった。
この自粛って期間、Twitter見てても、あまり気持ちが良くなく、良い写真とは?フォロワー数が、とか、イイねの数が、など、そういうのを見ては自分も苛々したりだったのは確かで、絶対に写真の事を話すのはやめよう、話すなら自分の事を話そうと思った。
自分の事を思い出しながら書いてるうちに、何となく自分の中の答えが見えてきた。
ほんとうに写真が好きな人は、そんなもの気にせずにひたすら写真を撮ってるはず。
ほんとうに写真が好きな人は、ひたむきに向き合ってるはず。
写真は決して上手くないが、好きで続けてきた僕はこの先も撮っていこうと思った。
母親は85歳になった現在も元気に過ごしているがアルツハイマー認知症により忘れっぽくなってきて、メールやメモなどを残しておくと、見て記憶を思い出せたりする。
あまり良い記事ではないけど、そんな母親に忘れないよう、この時期に書いたものは残しておきたいと思う。
それでは、だいぶ落ち着いてきたけど、油断しないよう、頑張りましょう。
拙い文章の数々でしたが、
読んで下さったかた、
ありがとうございました。
また20年後、あたりに続きが書けたらいいなと思います。
ありがとうございました。