終わりなき旅のはじまり⑨
高校2年の夏、1年ぶりに再会した黒ちゃんと「ポッキーズ」を再結成、僕らはスケボーを再び始めた。
横浜のダイエー前、ビブレの広場、5番街などでよく滑っていた。
この頃の横浜は開発がすすんでいて、小学生の頃は一面野原だった桜木町周辺には大きなビルやホテル、遊園地などが立ち並んでいった。僕らが遊んでいた横浜駅西口周辺や関内あたりは、今でも姿を変えるほどの大きな変化はなく、昔ながらの佇まいが残っていたりする。
1989年の秋、映画「ブラックレイン」が公開された。
新しいものに興味関心が常に湧く年頃、ブラックレインの松田優作さんのカッコよさに惚れた僕は、松田優作さんの過去の映画、ドラマ、音楽をとにかく見て聞いて影響され、そこから更に広がって70年代、80年代の日本の映画、音楽に興味を持つようになっていった。
部活もあまり行かなくなってたこの頃、後ろポケットにウイスキーのミニボトルを入れて仲間達と空き地でコソコソと飲んでいた。
映画やテレビで見た松田優作の真似である。
調子に乗りすぎた僕はすっかり足元がふらつき、慌てた仲間達に連れられて家に帰るが、その後の記憶はあまりなく、仕事から帰ってきた母親が慌てふためいて救急車を呼んだ。
人生で3度経験した、急性アルコール中毒、最初の1回目だった。
この頃から息子の行く末の心配を始めた母親からは、高校卒業した後どうするのかと毎日のように話をされた。
高校卒業まであと1年になった頃の話である。
終わりなき旅のはじまり⑨おわり。