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30分空の旅《43》外出自粛でも旅の気分
夕方が近づき、空の青がくすみはじめたころに豊岡駅から乗ったバスは但馬空港に着いた。小高い山地を切り開いた空港だけあって、周囲には林以外ほぼ何もない。丹後の旅を終えて天橋立から鉄道で豊岡に出て、この空港に来たのだ。東京に帰るのに酔狂なルートを選んだものだが、但馬空港から唯一定期便が就航している大阪伊丹行きに乗れば、伊丹から東京便は多数飛んでいる。豊岡から新大阪へはJRの特急で3時間近くかかるが、飛行機なら30分ちょっとだ。
滑走路周辺には何もないので見通しはいい。吹き流しがゆらゆらはためき微風があることを知らせている。遠くにポツンと微かな機影が見えてきた。それが少しずつ大きくなって飛行機の形になってくる。大きくなって、といっても全幅約21メートルの機体なのでかなり近くに来るまではきちんとした形には見えない。小さなターミナルビルの外に出てこうして眺めているのは、そう飛行機が好きなのだ。羽田などと違ってカメラを構えて待っている人も他にはいない。
滑走路から駐機場に来た機体はSAAB340B型機、スウェーデンのサーブ製である。座席数36。座席は1席+2席の横3席で12列。乗員は操縦室2名、CA1名である。小さな小さな飛行機だ。36席の機体が伊丹へ1日2往復、最大144人、これがこの空港の定期路線最大輸送力なのだ。この空港に来たのは2018年春。5月には機材が変更になるとのポスターがあった。新機種はATR42-600、フランス製である。座席は48席で、30%アップ! ATR42は国内ローカル線で少しずつ増えている。
ブルンっとエンジン始動。プロペラ機は飛行機が空を飛ぶ機械だということが感覚的に分かりやすい。そのうえ小型機は割合低空を飛ぶので地上が良く見え、そして窓から間近にエンジンとプロペラがあり、これも飛んでいる実感が強い。伊丹に着くと周り中に大きな飛行機が並んでいた。