見出し画像

香港九龍大角咀《33》外出自粛でも旅の気分

モコモコした青の塊、不可思議な光景。あちこちにデッキのような出っ張りがあります。

これ、香港の高層ビル建築現場を見上げたところなのです。青は少し透けて見えるビニールシート。香港では青一色はちょっと珍しくて、紅白藍3色や白藍2色の縞柄が一般的です。建築現場、露店の覆い、荷物袋などあちらこちらで見られます。が、ここは青一色。それがかえって巨大生物をも感じさせる表情になっています。僅かに透けた内側や、開口部に格子状に見えるのは竹の足場。香港では竹棚と呼びます。このように大きな高層ビルも工事用足場は竹で組むのです。ところどころのデッキ状張り出しも竹でできています。これは落下物を止めるためなのでしょうか。

ここは九龍半島西側に広がる下町、大角咀(Tai Kok Tsui)の利得街です。高架道路脇に密集した市街地の古いビルには、鉄工所や金属材料店が1階に何軒も陣取っている町工場街。旋盤やドリル、金属切断機が油でギラリと鈍く光っています。

そんな工場街にも再開発の波が押し寄せ、10階建てくらいの古いビル街の中に、大きく高いビルが挿入されてきています。ここを見上げたのが2016年秋。いまではショッピングセンターを抱えたマンション利奥坊はとうに完成し、近接地を更地にして第3期、第4期のビル敷地が準備されています。

戦後香港をを支えた中小企業製造業のある風景はどんどん縮小しています。

#いま自分にできること #大角咀 #竹棚 #外出自粛

いいなと思ったら応援しよう!