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PoppaとNannyと~ウェリントンに通って20年(12)

 この子の歌声、天の神様に届くんじゃないか。

 オークランドに住んでいる末っ子のバートさんが再婚することになった。私はクリスマスの時期はウェリントンのおばあさんのもとに行くのだが、参加していいよとなったので、ウェリントンに行く前にお邪魔することにした。するとおばあさんはサーシャさん付き添いで参加することになり、私は空港でおばあさんたちを待ち、一緒に会場へ向かうことにした。。
 結婚式、といっても新居の庭と車用のスペースを利用した、手作りの式だ。テーブルの上にはケータリングのおいしそうな料理が並んでいたが、それは後のお楽しみ、まずは誓いの儀式から。これは教会式で行われた。そして、公証人が現れ、その目の前で二人がサインをし、公証人がサインして夫婦が成立、そのとき新婦側の少女が歌いだした。
 新婦さんはマオリ系の人である。なのでここからがマオリ式なのだな、と思った。きっと二人が夫婦であることを宣言し、神様に伝え、幸福を願う歌なのだろう、と、そう思わせるほど見事な歌いっぷりだった。高校生くらいに見えたが、張りがありたっぷりの声量で歌ってくれたのだ。青空の下、招待客たちも、その歌に聞き入り、その後大拍手。いい結婚式だった。
 バートさんも新婦さんも再婚である。たがいに子育ても終え、自分のことを考えてのことだろうと思った。バートさんの前の奥さんと女の子に会ったことがあったが、この子が言葉の発達が遅れていて、子育てには苦労していたようだった。だから今、落ち着いた人生を考えたのだろう。新婦さんは聡明な方に感じた。私が日本人で、英語がまだたどたどしいとすぐに感じ、難しくない言葉を選んで話しかけてくれたのだった。
 いい人に出会えてよかったね。
 新婦さんのお母さんも、高齢ながらお元気で、おばあさんと話し込んでいた。おじいさんがいなくなったから、話し相手が増えてよかったなと思った。
 ちなみに、タイトルの写真は、式の時新婦さんがずっと手にしていたマオリのお守り。ニュージーランドのお土産に、マオリのアクセサリーがよくうられている。グリーンストーンと呼ばれる石や動物の骨でできていて、マオリ由来の形をデザインしたものが多い。形にはそれぞれ意味、込められる願いがある。買うときはその形が何を願うものか、調べてみるとおもしろいですよ。

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