導かれるようにルルドに行ってみた
フィルムのからスキャナーで写真を載せました。フランス・ルルドの教会です。
10数年前のこと、フランスのピレネー山脈に近いルルドの街に行ったことがあります。この話を、ニュージーランド・ウェリントンのおばあさんに話をしたら、とても喜んでくれました。カトリックの教会に通うおばあさんも行ってみたい気持ちはあったかもしれません。
日本ではあまり有名ではない感じです。手配をお願いした旅行社の方も、ヨーロッパ担当のベテランなのに「すみませんが、このルルドという町はどんなところですか」と聞かれたくらい。でもヨーロッパを中心に、世界各国から人が来ているのです。観光客、と書かなかったのは、来る人が真剣、というか深刻な人が多いのです。ここは、特にカトリックの人にとって「聖地」なのです。山脈に近い小さな町に、年間500万人も来るそうです。
当時、仕事で一緒だった人からここに行った話を聞き、「周りに病気の人もいるし、お願いにでも行こうか」と思ったのですが、行ってみると軽い気持ちが許されないような空気がありました。
ルルドは大昔から聖地だったわけではありません。おおざっぱに書くと、事の始まりは100数十年前のことで、意外と「最近」のことなのです。少女のもとに、聖母マリアが現れ、水が湧く場所を教え、この水が病気を癒す奇跡を起こしたのでした。今、ここに来る人はその水(ちゃんと蛇口があります)を求めたり、沐浴をしたりします。
沐浴をしたと思われる日本の女性の方を見かけました。泣いていました。何か強く心に触れるものがあったかもしれません。
私のように、普通に歩く人ももちろん多いですが、車いすの人も多く、さらには、病院の移動ベッドのようなもので、運ばれながら奇跡を願いに来るのです。どんな国の人も、どんな宗教の人も、病の苦しみはあり、治癒を願う気持ちは同じなのだと改めて思います。夜にはミサが行われ、多くの方が参加します。ホテルにいましたが、祈りの声が聞こえてきました。
さて、街は日本の「門前町」の風情で、通りの両側に、飲食店や土産物屋さんが並んでいました。落ち着いてみると、何か長野の善光寺の通りのような、そんな気になります。あまり料理に関心はなかったのですが、レストランでオムレツとトマトサラダを頼みました。もちろん美味ですが、特にトマトは味が濃く、日本のあっさりと甘いトマトとはまた違うおいしさがあったのが、特に印象的でした。
答えは出せなかったけど、ここに来る人々を見て、改めて「信仰」というものを考えさせられました。それだけでもいい旅になったと今でも思います。今、治せない病気を抱えているけれど、悪さをしないように、抑えることはできていて、日常生活は普通に送れているので、ひょっとすると、ルルドの泉のおかげかも。お礼に行ったほうがいいのかな。
ちなみに、行き方ですが、私はまずパリに行き、モンパルナス駅からTGVで行き2泊、帰りはタクシーでタルブ・ルルド空港から国内線でパリに戻り、1泊後夜便で帰国しました。参考まで。