seasunsalt解析
この度、seasunsaltが1st e.p「ect」を無事にリリースいたしました。
長い道のりではありましたが、彼女と関わったのが2018年の9月頃からとなります。そこからなんやかんや準備を経て、今年無事にスタートを切ることができました。そこで、彼女の音楽って元々どこの路線からきているのか?切り取ってみようと思います。
まず、彼女を知る前に、現代音楽の中に多く取り入れられている「chilout」と言われる枠組みについて。この流れがここ数年注目を集めていることは、言うまでもなく知られていると思います。
【音楽視点でみたチルアウト】
上記に上げた、KLFやKiasmosなどという音楽の存在を考えれば、昔から今に至るまである音楽ということが証明できます。
"KLFは1990年代にアンビエントブームのきっかけを作った作品のひとつに数えられる、ファウンド・サウンド(具体音)やアメリカーナ、電子音、Elvisの声や(奇妙にも)ヒツジの鳴き声などの断片を見事にミックスしたこの作品は、のちにチルアウトを標榜するThe Orbをはじめとする後続アーティストたちの音楽の青写真となった。"
そう、チルアウトはアンビエントから派生しており、かなりまったりとした音楽として捉えられています。
昨今このチルアウトが再評価されているのは、音楽史におけるリヴァイバルの流行が始まっていることも理由の一つだと思います。これらを現代の枠組みで消化し、新たなチルアウトミュージックとして画期的だと捉えられているのが、先ほどあげたKiasmosなどです。
これは個人的な意見ですが、今、世の中が休息を求めているように感じております。
私たちには生活をするための日常があり、簡単には休めない。ので、その溝を埋めるという意味で、音楽は手近で手が出しやすいものだと感じます。
2014年来、「明るく騒ぎたい」という表立った派手なアーティストが世にでていくイメージがありましたが、近年はアーティストもよりクールになり、わかりやすさより「心地よさ」を求められている。ジェームス・ブレイク以降にそういった変化が起きたように感じます。
【生活面における商品】
生活に疲弊してしまっているからなのか、生活飲料水として「CHILL OUT」というドリンクが出るほど。
時代はそれだけ疲れ、プレッシャーの中で生きることを強いている。安らぎが生活に欠かせないものとなり、国全体が「癒やし」を求めているといっても過言ではないように思います。
【個人的な思い】
私も社会にそんな心地よい「価値提供」ができないかと近年考えるようになりました。皆様の日常において、音楽が少しでも癒やしとなり、リラックス空間の演出に一役かうことができればと思うのです。
今まで私が関わってきたアーティストの中では「seasunsalt」は異質なアーティストです。
彼女は、実験的なアプローチかつ「静と動」を基軸にしており、音楽を聞くという視点では、静を。音楽を見せる視点では、動を。と2つの軸に切り分けているのが特徴です。
今回seasunsaltがリリースした音源「ect」。
彼女のライナーノーツを読んでみると、日常における静と動への思いが垣間見えます。
また、今回の作品では音源としても静と動が細かく体現されています。
この先、彼女自身と彼女の音楽、そして" chillout "の感覚がより良く関係していくことにも期待したいと思います。
私自身も生活における価値提供を、音楽というフィルターを通じて行っていきます。
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