『歴史作家の城めぐり』の魅力(後編) 【歴史奉行通信】第三十二号
いよいよ師走です。
皆様はいかがお過ごしですか。
かつて私はIBMの営業をしていたのですが、
12月が決算月だったので、
この時期は仕事に追いまくられていました。
思い出すだけで胃が痛くなります(笑)。
それでは
伊東潤メールマガジン
「第三十二号 歴史奉行通信」を
お届けいたします。
〓〓今週の歴史奉行通信目次〓〓〓〓〓〓〓
1. 2018年を振り返って
2. 伊東潤
「俺流ベスト10城(東国限定)」
3. 感想 / SNS投稿ご協力のお願い /
Facebookファンページのお知らせ
4. 伊東潤Q&Aコーナー
5. お知らせ奉行通信
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1. 2018年を振り返って
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さて、今月は8日に開催した
第1回「伊東潤の城めぐり<小田原城>」、
15日に開催した
第12回「伊東潤の読書会」
(『真実の航跡』のプレビュー読書会)
と、立て続けにイベントがありました。
ご参加いただいた皆様には、
あらためて御礼申し上げます。
この二つのイベントを
終えた感想を一言で言うと、
「僕が楽しければ皆も楽しい」
ということに尽きます。
来年はもっともっと楽しみましょう。
次のメルマガは来年の1/2を
予定していますので、
2018年のメルマガは
これで最後になります。
今年も様々な収穫がありました。
とくに
『修羅の都』
『ライトマイファイア』
『男たちの船出』
の三作品で、
これまでの作品にあまりなかった
「(感情を)さらけ出す」
ことができたのは大きな収穫でした。
とくに『ライトマイファイア』では、
主人公の強い感情を描ききれた
という手ごたえがありました。
新宿にあった浄水場のシーンや
ハイジャック前日の下宿でのシーンなどは、
私の作品の中でも名シーンとして
記憶されることでしょう。
そうした作品面での充実だけでなく、
読書会や城めぐりオフ会といった
ファン・イベントを7回
(コルクラボ文化祭を入れると8回)も
開催できたことは、本当によかったです。
これにより読者の皆様との交流が深まり、
「作家のあり方」の
新たな道標を築いていけるという
手応えを感じました。
あー、2018年は本当に楽しかった!
さて12/14、
いよいよ2018年の掉尾を飾る
作品が上梓されました。
『歴史作家の城めぐり』です。
この作品は、私の趣味でもある
城めぐりの成果をまとめたもので、
これまで培ってきた城めぐりの経験と知識を、
これでもかというほど盛り込んでいます。
前回は本書の「はじめに」を
短縮版で紹介しましたが、
今回は、かつて某MOOK本に掲載した
「俺流ベスト10城(東国限定)」
で取り上げた諸城について、
ダイジェストで記していきたいと思います。
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2. 伊東潤
「俺流ベスト10城(東国限定)」
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==「俺流ベスト10城(東国限定)」==
10. 松井田城 / 波打つ連続畝堀!
9. 本佐倉城 / 寄手に襲い掛かる双頭の蛇!
8. 丸子城 / 武田の技巧満載の完存城郭!
7. 大島城 / 武田流築城術の精華!
6. 小田原城 / 秀吉もたじろいだ巨大城郭!
5. 山中城 / 北条流築城術の粋を集めた大要害!
4. 諏訪原城 / 寄手の血を吸い尽くす丸馬出!
3. 滝山城 / 信玄も落とせなかった土の城の傑作!
2. 杉山城 / マニア垂涎の城郭オーパーツ!
1. 小幡城 / 謎に包まれた完存城郭!
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すでに『城を攻める 城を守る』
(講談社現代新書)に掲載した
山中城をのぞき、
これらの城は『歴史作家の城めぐり』
で取り上げています。
今回は、その要点を掲載したいと思います。
それぞれのリンクは、
一ヶ月半ほどTwitterで画像と共に連投した
「東国の城」シリーズのツイートになります。
46城分はTwitterのモーメントとして
以下にまとめていますので
是非こちらもご覧ください。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbE
*************
10位
松井田城
副題 : 上信国境を守る巨大山城
松井田城は横堀、竪堀、堀切、切岸、土塁
といった中世城郭に使われていた
パーツすべてが見られるほど
バラエティに富んだ城で、
とくに「連続空堀」の遺構は、
ほかに類例を見ないほどの規模である。
これは二曲輪の西方の尾根筋から
侵入してくる敵を防ぐことを目的に
造られたもので、
曲輪にせずに阻塞的なものにすることで、
敵を足止めさせようという狙いがある。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbF
9位
本佐倉城
副題 : 双頭の蛇が寄手を叩く
この城の最大の強みは、
東南にある向根古屋(むかいねごや)砦
に控えていた部隊が、
本城域を攻撃する寄手を
背後から襲うという防御法が取れることだ。
逆に寄手が向根古屋地区を
制圧しようとすると、
本城域から攻撃されることになる。
つまり向根古屋砦が、
大規模な「勢隠し」となっており、
本城域を背後から守っているのだ。
これは「常山の蛇勢(だぜい)」
と呼ばれる築城法で、頭を叩けば尾が、
尾を叩けば頭が攻撃するという
縄張り法である。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbG
8位
丸子城
副題 : 土の城の技巧がパッキングされた
完存城郭
この城には、
武田氏の城で多用される堀切、土塁、
切岸、竪堀、横堀、桝形、馬出、
喰違虎口、武者隠し、馬蹄段といった
土の城を代表するパーツがそろっている。
とくに武田氏は地形に応じて馬出を並べたり、
重ねたりすることで、
極めて厳重な縄張りを構築するが、
西側先端の丸馬出をその頭上から
逆L字形の馬出が援護し、
さらにそれを本曲輪から援護するという
多重防御法は一見の価値がある。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbH
7位
大島城
副題 : 武田家の伊那谷防衛線を担った城
この城は本丸部分を除いた
二の丸や三の丸が、地続きの西方よりも
低いという弱みがあるので、
それをカバーするために城域を拡張し、
丸馬出や三日月堀で
防御力を高めねばならなかった。
その結果、強靭な多重防御構造が生まれた。
とくに三の丸前面の丸馬出と
三日月堀で寄手を防ぎながら、
その北に設けられた伏兵曲輪から
突出することによって寄手を撃退する
という方法は、
武田氏ならではの積極的な
防御思想の表れであろう。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbI
6位
小田原城
副題 : 難攻不落という罠
小田原城が難攻不落であるという神話が、
北条方の将兵に与えた影響は大きい。
そうした心理が小田原城一個を
頼むことにつながり、その結果、
箱根山および足柄山城塞群が機能せず、
敵の姿が見えれば
小田原城に逃げ込むといった
心理を生み出してしまった。
まさに北条氏は、
難攻不落の罠にはまってしまったと
言えるだろう。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbJ
5位
山中城
副題:緒戦の大切さを教えてくれた
戦国山城の最終型
この城の特徴は、山城でありながら
山の中腹に築かれている点にある。
永禄から元亀年間にかけての
武田家との緊張が、
山中城を生んだことはもちろんだが、
すべての遺構が、
その時に造られたわけではない。
われわれの見ている山中城は、
小田原合戦を控えた天正十八年(1590)の
最終段階のものである。
また、山中城は、「畝堀」と「障子堀」という
特徴的な堀の形状について
語られることが多い。
※本城のみ『城を攻める 城を守る』に収録
Amazonリンクはこちら↓
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbK
4位
諏訪原城
副題 : 巨大な丸馬出に隠された盛衰の分岐点
この城の二・三曲輪の外側には、
丸馬出が三つと角馬出が二つある。
それぞれの馬出の外側には
堀が掘られているが、
三つの丸馬出の外側は
巨大な三日月堀となっている。
仮にどこかの馬出(虎口)がピンチになっても、
隣接する馬出から兵を出撃させて
援護するというのが、
この城の防御プランだ。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbL
3位
滝山城
副題 : 東京都内に残る土の大城郭
この城の縄張りは、
本丸の三方を取り囲むように中の丸、
二の丸、千畳敷、小宮曲輪が配置され、
それらの外側を横堀が囲んでいる構造になる。
すなわち横堀で外郭ラインを設定し、
まず寄手をそこで防ぎ、
外郭ラインを破られても二の丸前の大馬出と
三つの枡形虎口粘り抜き、
外部からの支援を待つという構想の下に
縄張りされた。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbM
2位
杉山城
副題 : 土の城の最高傑作
杉山城のある埼玉県比企郡は、
鎌倉街道上道が南東から北西へと
貫通している交通の要衝だった。
この地域には松山城、菅谷城、小倉城、
青山城、腰越城、青鳥城など、
工夫の凝らされた土の城が密集している。
こうした城の中でも杉山城の完成度は抜群で、
しかも遺構の保存状態も良好なので、
中世城郭を知るための
格好の教材になっている。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbN
1位
小幡城
副題 : 巧緻を極めた
中世城郭の最高傑作
土で造られた名城が目白押しの関東でも、
これだけ巨大で、
なおかつ緻密に考え尽くされた遺構を
持つ城はほかにない。
とくに寄手の侵入路となる
空堀を複雑に屈曲させ、
敵を行き止まりに追い込んで
殲滅させようという築城構想は、
いかに戦国時代が過酷だったかを
実感させてくれる。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbO
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3. 感想 / SNS投稿ご協力のお願い /
Facebookファンページのお知らせ
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さて、いかがでしたか。
専門用語が多くて
分かりにくい部分も
あったかもしれませんが、
ハイライトをピックアップしてきたので、
ご容赦下さい。
前後の文脈が分かれば
理解は容易だと思います。
最後に皆様にお願いです。
このメルマガの感想などを
ツイッター等のSNSに上げて
いただけないでしょうか。
尚、アップいただく際は
「#歴史奉行通信」
「#伊東潤メルマガ」
のハッシュタグをつけてください。
とくに今回は
「あなたの好きなお城」についての
感想などをお寄せいただければ
幸いです。
伊東潤のメルマガ
「歴史奉行通信」は、
読者の方々の意見を取り入れながら
内容を変えていきます。
ご意見やご希望、
また質問もどんどんお寄せ下さい。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbP
また、伊東潤のファンのための
Facebookグループ、
「評定衆(ひょうじょうしゅう)」が
オープンしました。
ファン同士の会話を楽しみたい方や、
ニュースをいち早く知りたい方は、
是非こちらよりご参加ください。
私も不定期で登場します。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbQ
では、12/24のお城EXPOで
お会いできるのを楽しみにしています。
それでは、メリークリスマス!
来年も合言葉は、
「読書をもっと面白く」
です。
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4. 伊東潤Q&Aコーナー
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こちらも今年最後の質問となります。
Q.
11月下旬に滋賀県の山城を巡ってきました。
虎御前山砦、横山城、水口岡山城、佐和山城
などです。
虎御前山砦は丹羽長秀、柴田勝家、
蜂屋頼孝、木下秀吉、
堀秀政の陣が尾根に連なり、
織田信長陣を守っています。
そして信長本陣は見ごたえありました。
横山城は北城、南城と縄張りされていて、
秀吉が三年もの長い期間に、
浅井氏の攻勢から城を守り切ったのには、
籠城だけでなく、様々な手立てを
駆使したのではと推測しています。
(富岡武蔵さま)
A.
ご無沙汰しております。
松井田城の畝状阻塞の前で
オフ会の面々を待つ精悍なお姿を
覚えております。
で、質問は何でしたっけ(笑)。
確かに姉川の戦いは見直され始めていますね。
もしかしたら信長の危機の
一つだったかもしれません。
(伊東潤)
***************
いつもご質問をはじめ、
ご意見、感想をいただき
有難うございます。
インタラクティブを心がけている
伊東潤のメルマガでは、
皆さまからの質問に最大限にお答えします。
是非お気軽に以下のリンクより
お送りください。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtcbR
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5.お知らせ奉行通信
新刊情報 / 読書会 / その他
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【新刊情報】
☆『歴史作家の城めぐり』(プレジデント社)
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【電子版特典】
紙本の35城収録に対し、
電子版では46城を完全収録!
(*発売日1月中旬予定)
紙本では白黒ページになるイラストが、
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毎週火・木更新でなんと全文掲載!
まだの方は是非こちらもチェックください。
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【読書会・主催イベント情報】
現在予定している、
読書会および主催イベント情報一覧です。
2019年
2月
第13回「伊東潤の読書会」は
『天下人の茶』が題材。
今週末より募集開始。
4月
第14回「伊東潤の読書会」は
連作短編集『家康謀殺』が題材。
5月
第2回「城めぐりオフ会」
『武田家滅亡』1泊2日ツアーを計画中。
一日目 : 新府城・武田八幡宮・躑躅ヶ崎居館・甲府城・恵林寺(宿泊は石和温泉)
二日目 : 勝沼氏館・天目山方面(大善寺・四郎作古戦場・鳥居畑古戦場・景徳院・栖雲寺)
6月
第15回「伊東潤の読書会」は
『潮待ちの宿』のプレビュー読書会を予定
【TV / ラジオ出演情報】
12月29日(土)午前10:45~12:45、
テレビ東京 (関東ローカル)において、
「たけしの新・世界七不思議大百科第5巻」
が再放送されます。
私が西郷の死の新説を語ります。
いったい誰が西郷を撃ったのか!?
西郷の死の謎が遂に解き明かされます。
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtccb
NHKラジオのレギュラー放送は、
いつも通りあります。
私の担当は土曜日で隔週です。
だいたい朝の7:30から始まります。
今は第二と第四土曜になります。
「マイあさラジオ」
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtccc
【講演情報(*主催イベント以外)】
12/24(月)「お城EXPO」
伊東の講演は11:00~12:30
「関東戦国史と城郭攻防戦」
http://fcew36.asp.cuenote.jp/c/bd1PaadQmWzHtccd
【メルマガバックナンバー】
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「歴史奉行通信」。
途中からご登録いただいた方や
「読み逃した!」という方に向けて、
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バックナンバーの購読が可能になります(*一部有料)。
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お楽しみに。
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歴史小説家 伊東潤が毎月第一・第三水曜日に配信しているメールマガジン【人間発電所日誌】。 歴史に関する情報や作品制作秘話、伊東潤が読者のお…
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