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「2021年を振り返って」【人間発電所日誌】第一〇四号

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こんばんは。伊東潤です。
今夜もメールマガジンをお届けします。



〓〓今週の人間発電所日誌目次〓〓〓〓〓〓〓
1.はじめに
2. 2021年を振り返って
3. 2021年の総評
4. ファンの皆様へ
5. 質問コーナー
6. おわりに
7. お知らせ
Voicy・ラジオ出演情報
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1.はじめに

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  いよいよ年の瀬ですね。「光陰矢の如し」という言葉にもある通り、月日が経つのは早いものです。しかし去りゆく年を惜しんでいても仕方がありません。悔いのない一年を過ごせたら、去りゆく年に「ありがとう」と言って手を振りましょう。

 さて私にとって、2021年はどんな年だったか、今年最後のメルマガで振り返っていきたいと思います。
 こうした1年間にやった仕事の振り返りは、年内最後のメルマガで毎年やっていますが、一つの区切りとして、とても役に立っています。皆さんもやってみて下さい。なお、来年の刊行予定などは、こちらも恒例の新年最初のメルマガ「2022年の展望」でお伝えしていきます。

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2. 2021年を振り返って

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以下は2021年の刊行実績(12/15以降の予定含む)

新作
3月 5日 『覇王の神殿』 潮 電子 :コルク
7月15日 『琉球警察』角川春樹事務所 電子 :コルク
7月28日 『歴史作家の城めぐり【増補改訂版】』幻冬舎 電子 :コルク
11月22日 『夜叉の都』文藝春秋 電子 :文春
12月24日 『鎌倉殿を歩く ――1199年の記憶』歴史探訪社 電子 :コルク

文庫
『修羅の都』文藝春秋         1月 解説 : 本郷和人
『男たちの船出』光文社        8月 解説 : 山本一力
『叛鬼』(二次文庫版)中央公論     9月  対談with本郷和人
『ライトマイファイア』幻冬舎    10月 解説 :パンタ
『戦国鬼譚惨』(二次文庫版)中央公論  11月 対談with逢坂剛
『真実の航跡』集英社         12月 解説 :関口高史

以下は2021年「伊東潤&コルク」主催イベント

【読書会】
2021年
特別編(歴史MIND) 1/16「鎌倉を語る会」オンライン勉強会
特別編(歴史を楽しむ読書会とのコラボ) 3/6『本と出会える歴史読書交流会』オンライン読書会
第25回 4/24『琉球警察』オンライン・プレビュー読書会
第26回 6/26『修羅の都』オンライン・プレビュー読書会
第27回 8/28『夜叉の都』オンライン・プレビュー読書会
第28回 10/23『威風堂々 幕末佐賀風雲録』(上巻)オンライン・プレビュー読書会
第29回 12/11『威風堂々 明治佐賀風雲録』(下巻)オンライン・プレビュー読書会

【オンライン2way講演】
2021年
第0回(コミュニティ限定プレ) 2/13「明智光秀と山崎の戦い」
第1回 5/29「水戸藩と徳川慶喜」
第2回 7/24「沖縄の戦後と瀬長亀次郎」
第3回 9/25「秀吉の終活と関ヶ原前夜」
第4回 11/27「関ヶ原の戦い ―西軍の勝算―」

以下は公の場への出演ですが、ラジオ出演、講演会、イベント出演は割愛します。

【テレビ出演】
初回放送5/19 「英雄たちの選択」 「武田信玄 幻の西上作戦 ~対信長最終決戦~」
初回放送9/15 「英雄たちの選択」 「秀吉の終活 ~発見!幻の京都新城~」

新作について
昨年の新作は5作品で、うち小説は3作品になります。

『覇王の神殿』
 飛鳥時代を扱った初めての作品で、自作の中では最も古い時代のものとなります。視点人物を蘇我馬子一人に絞り、推古天皇や聖徳太子との感情的もつれや駆け引きを中心に描きました。おかげさまで重版しました。

『琉球警察』
 戦後の沖縄を扱った作品で、『横浜1963』や『ライトマイファイア』の系譜に連なるハードボイルド作品です。BC級戦犯を題材にしたリーガル・サスペンスの『真実の航跡』もそうでしたが、日本人が忘れたい戦後沖縄の悲劇を小説として提示することにより、一人でも多くの方に問題意識を持ってもらいたいという一念で書きました。

『歴史作家の城めぐり【増補改訂版】』
 プレジデント社から2018年に出した『歴史作家の城めぐり』の増補改訂版になります。新書サイズにして価格も手頃なものにできました。お城めぐりを趣味にする方は増加傾向にあり、毎年行われる「お城EXPO」では2.5万人もの来場者があります。私も6年連続で登壇者の一人に名を連ねていますが、こうしたブームを背景に、本書のようなマニアックな城本を出すことができました。おかげさまで重版しました。

『夜叉の都』
 既刊の『修羅の都』で平家滅亡から頼朝の死までを、頼朝と政子のデュアル視点で描きましたが、本書では、そこから承久の乱までを政子の単独視点で描きました。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に便乗したように思われがちですが、実際は継続的なプロジェクトとなります。まだ発刊から一カ月も経っておらず、重版にはなっていませんが、作品的には評価の高いものとなっています。

『鎌倉殿を歩く ――1199年の記憶』
 神奈川新聞に連載していた『鎌倉殿を歩く』に加筆修正し、オールカラーのフォトブックでの刊行となります。本作は私が書いた十三人の宿老の人物像に、原田寛先生撮影による風景写真によって彩られた美しいものになる予定です(現時点では見ていないので)。

文庫について
文庫は6作品で、うち二次文庫は2作品になります。二次文庫とは、一次文庫作品が廃刊となり、その版権を別の版元に移行し、再び文庫化した作品のことです。すでに新刊の時に内容は説明しているので、今回は省かせていただきます。

『修羅の都』
『男たちの船出』
『叛鬼』(二次文庫版)
『ライトマイファイア』おかげさまで重版しました。
『戦国鬼譚惨』(二次文庫版)
『真実の航跡』(12月17日発売)

読書会、オンライン2way講演会その他
読書会は6回、新たに始めたオンライン2way講演は5回行いました。なお恒例だった史跡めぐりオフ会は、コロナ禍のため一度も実施できませんでした。
 主催イベントの大半はオンラインでしたが、4/24に開催された『琉球警察』のプレビュー読書会だけは、コロナ禍が第四波と第五波の間だったこともあり、対面&オンラインで開催することができました。
 今年から始めたオンライン2way講演は五回も実施することができましたが、参加者が予想より少ないこともあり、来年からは実施間隔を空けて行う予定です。
 今のところ、奇数月にオフ会ないしはオンライン2way講演会を、偶数月に読書会を開催する予定なので、オフ会3回、オンライン2way講演会3回、読書会4回くらいを考えています。なお、このままコロナ禍が終息すればという前提ですが、オンライン2way講演会も読書会も、オン&オフ複合型で実施するつもりです。
 またマイクロコンテンツの販売とvoicyも着々とコンテンツが増えてきています。こちらもご期待下さい。
 このほかにも自らが主催者ではないイベントや講演会もありますが、こちらもコロナ禍で例年のようには行われず、オープンなものとしては11月の中山義秀文学選考会に選考委員として出席したものと、年末の「お城EXPO」くらいでした。

テレビ出演
 今年のテレビ番組出演は二回でしたが、どちらも「英雄たちの選択」ということで、かなり多くの方に名前と顔が知られました。この番組の影響で、オンライン2way講演会でも選択肢を用意し、それを論議しながら選択していくという「おうちで英雄たちの選択」のコーナーを設けるようになりました。


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3. 2021年の総評

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 昨年はコロナ禍の真っただ中で始まりましたので、どんな一年になるか不安でしたが、日本に限って言えば感染者が抑えられ、欧米ほど悲惨な状態には陥りませんでした。

 そうした中、コロナ禍そのものよりも深刻なのが経済的苦境に陥った方々をどう支援していくかです。経済的苦境は心の苦境につながります。われわれエンタメ文芸のできることは、ひと時でも苦しさを忘れ、物語にのめり込めるような作品を出し続けることだと思っています。
 出版業界全体を見渡しても、一部のアニメの大ヒットによって潤った会社はあるにしても、活字系文芸は低調が続いています。もはやこの流れは止めようがないので、そうした中、個々の作家がどうやって自分の居場所を見つけていくかに変わってきていると思います。
 少しずつですが、作家個々の新しい試みも見られるようになってきました。しかし作家や小説家は引っ込み思案の人が多いようで、時代の変化を見据えて自分のなりのコックピットを作っていくという作業が苦手のようです。

 おそらく今年は、新たな方向性を見つける作家が多く出てくるような気がします。自分もそうした潮流に乗り遅れないように、自分の居場所を見つけ、仮説検証の果てに自分なりのコックピットを作っていくつもりです。
 いつの間にか今年の話になってしまいましたが、それは次回に行います。

 さて、昨年はコロナ禍にもかかわらず、個人的にはたいへん充実した一年でした。自分自身のミッションも明確になり、それに向けて最短距離を歩んでいくことができるようになりました。これも読者の皆様の応援のおかげです。謹んで御礼申し上げます。

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