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喫煙者のつぶやき

あらかじめ言っておきます。これをもって何かを主張するとか、そんなつもりは全然ないです。ただ、心の中でつぶやいていたことが現実に起きて驚いているだけ。

「ああ、10年以上タバコ吸ってるバカは感染しないって誰か言ってくんねぇかな」

セリフは私が考えたわけではありません。昔読んだ漫画のセリフです。SARSの時でしょうか。喫煙者のささやかな反抗。読んだときにいたく気に入って、ずっと覚えていました。

ニコチンの感染抑制効果、仏で検証へ
時事ドットコム 2020年04月24日記事 https://www.jiji.com/jc/article?k=20200424040002a&g=afp

記事は、フランスでおよそ500人を対象とした調査を行ったところ、被感染者の喫煙者割合が5%と、通常の喫煙者の割合(35%)より明らかに低いという結果が見られた、というものです。つまり喫煙者は感染しにくいのではないか、と。

これはもちろん、BCG接種同様、関連性が指摘されただけで、科学的に証明された事実ではありません。また、感染した場合に重症化してしまうリスクが普通の人よりも高い、と言われていることを否定してしまうものでもありません。

ただ、では喫煙の害が科学的に証明された事実かというと、少なくとも死因に関していえば、一方に反証となる研究結果があったり、疫学的な“将来予測”に基づくものだったりと、確定しているとは言い難いものがあるのですが、これには深入りしません。
なんにせよタバコは健康に良くない。周りの人にも危害を及ぼす可能性がある。それでいいです。

ただ、(もちろんマナーは守った上で)
好きで吸う奴は放っておいてくれ。オレたちから灰皿を取り上げないでくれ。タバコに火をつけるだけで、蛇蝎を見るような目で見ないでくれ。

そう思うだけなのです。
喫煙者は理不尽に迫害されていると感じています。マナーが悪い連中がいて、自業自得の面も否めないのですが、「それにしても酷すぎないか」と思うのです。
だから、こんなことを心の中でつぶやいてしまう。そしてその立場が入れ替わる瞬間を夢想しているわけです。

研究されることはあくまで感染メカニズムを探ることであり、ニコチン摂取の有無が手掛かりとして選ばれた、ただそれだけの事です。感染予防の為に喫煙しましょう、そんな事にはなりません。
そうではあっても、もし感染予防に対して喫煙に一定の効能があると認められることは……不謹慎極まりないとわかってはいても「やった、ざまぁみろ、一矢報いてやったぞ」という思いを抱かざる得ないのです。

喫煙の習慣はやがてなくなり、喫煙者、という人種は日本から滅びるでしょう。やれやれ、問題児がいなくなりせいせいしましたね。代わりに2兆円の財源は失ってしまいますが、削減される医療費に比べれば安いもののはずです。
さぁ、次は誰をターゲットにしましょうか。健康を考えるなら酒類の摂取も問題がありますね。成人病との因果関係は明白ですし、飲酒運転による事故、酔っぱらいによる暴力など、日常における問題も後を絶ちません。総合的な害悪という意味ではタバコの比ではないでしょう。それとも、家に閉じこもりきりというのを問題にしましょうか。運動不足、肥満(メタボリック)は成人病の温床です。国民の健康増進、医療費削減のためには外で運動をしましょう。一定時間の運動を国が義務づけねばなりません。基準を満たせない場合はそれだけ医療費がかさむということですから、メタボリック税を取りましょう。それから次は…。(了)

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