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脳ドック
本日のポイント
脳ドックは脳に関係する疾患の診断あるいはリスクの早期発見を目的に行われる健康診断の一種
頭部MRI、頭部MRA、頚部MRA、頸動脈超音波検査を主軸とした検査がメニューに含まれる
価格は2~3万円程度であることが多い
本文
先日「脳ドックを受けた方が良いでしょうか」と人間ドックを受けられた方から相談されましたので、脳ドックに関する情報をまとめてみようと思います。この記事では、脳ドックの内容、何がわかるのか、かかる費用、について説明致します。
脳ドックとは頭部MRI/MRAや頸部MRA、頸部超音波検査などを用いて脳に関係する疾患の診断あるいはリスクの早期発見を目的に行われる健康診断の一種です。保険診療ではありませんので、各医療機関によってメニューや価格設定は様々です。
脳ドックの内容ですが、以下の検査が主なものとなります。
・頭部MRI
頭部MRIは脳の精密検査の代表格です。頭部MRIでは、脳の萎縮(やせ)、腫瘍、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳挫傷などが古いものも含めて観察することができます。1.5T(テスラ)や3Tというのは装置の性能ですが、一般的な評価であれば1.5Tで十分だと思います。
・頭部MRA
頭部MRAは脳の血管を評価する手段の中では負担が少ない割に情報はそこそこ多く得られます。頭部MRAでは、脳を栄養する血管の狭窄や閉塞、動脈瘤、血管奇形などを観察することができます。
・頸部MRA
頸部MRAは頚部の血管を評価する手段の中では簡単な割に情報はそこそこ得られます。頚部MRAでは、脳にいく血液の通り道である頸動脈や椎骨動脈といった血管の大まかな評価をすることができます。
・頸動脈超音波検査(頸動脈エコー)
頸動脈超音波検査は頚部の血管を評価する検査の代表格です。身体への負担は少なく、詳細な観察が可能です。頸動脈超音波検査では、脳にいく血液の通り道である頸動脈や椎骨動脈の血流や動脈硬化、狭窄や閉塞などを観察することができます。MRAよりも細かい動脈硬化まで評価できますが、術者の腕で検査の精度が変わります。
上記の検査の他に、血液検査や尿検査、認知機能検査などがメニューに加わっている場合があります。また、結果説明を当日そのまま受けられることや、脳に関係する分野の専門医が説明することを売りにしているものもあり、なかなかどの脳ドックを受けたら良いのか悩まれるように思います。脳ドックの一般的な価格について調べてみますと、2023年6月時点ではおおよそ 2~3万円で脳ドックを受けられる事が多いようです。以前に比べると多少値下がりしたそうですが、医療機関側の運用コストを考えれば 1.5万円以下に値下がりしてくることは少し考えにくいです。いずれにしても、決して安いとは言えない価格ですから、後悔のないようにしたいですね。
ここで、あくまで私見でどのような脳ドックがおすすめか、お話しします。執筆時点で私は脳ドックをしている医療機関に常勤医として所属していませんので、おおよそフラットな目線でお話しできると思います。さて、おすすめの脳ドックの条件ですが、それは1.5T以上のMRI装置を使用して、脳に関係する分野の専門医(脳神経内科専門医、脳神経外科専門医)の説明を聴くことができるようなものが良いように思います。頚部血管の評価は、せっかく受診するのであれば、まずは頸動脈超音波検査(頸動脈エコー)を選択されると良いでしょう。
今回は以上となります。脳ドックについて、お分かりいただけましたでしょうか。もし受診しようか悩んでおられる方がおられましたら、参考にしていただければと思います。