DJ体験 その4 はじめの一歩
これまでの回
数年前(2019~20)、たまたまFBで見つけた記事からDJ関連のサイト(英語)に飛び、そこから昔からやりたかったDJ体験が自分が思っていた以上に身近になっていたことに気づいた。数年後(2022~23)の今、ひょんなことから夢だと思っていた(クラブ等でDJとして立つ)ことが現実味を帯びてきていて、少しずつそこら辺の経緯から今に至り、そしてこれから向かいたい場所について、書き綴っていこうかな、の四回目。前回は時代が飛んでパンデミック以降、憧れのDJ機材(一台目)を手に入れるまでの話だった。今回はとりあえず、オンライン講座買って、自己流で勉強始めてみたあたりの話。
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立ちはだかる壁
前回のエントリーは、いよいよ憧れの機材を手入れたところまで話が進んだ。とりあえずPCDJコントローラーは手に入った。さあ、これからは憧れのDJ体験が待ってる!と、まあ言ってはみたものの、YouTubeを観て得た知識で、いざ実際機材を手にしてアプリを立ち上げて曲と曲を繋ぐとなると、想像していたDJプレイとはかけ離れた自分の姿に愕然とする。それはそうだ。まず機材のボタンが何をするためのものか、アプリのアイコンには何の意味があるのか、何ひとつ理解していない。この状態では座学も実地訓練もろくにやらないまま、いきなり自動車と鍵を渡されて、「さあ、好きに運転してごらん。そのかわり、事故だけは起こさないでね」と言われているようなものである。なんということだ。このままでは、せっかくの自己投資が宝の持ち腐れと化してしまう。しまった。これじゃ、今まで数限りなく手に入れては使いこなせずにほったらかしにしてきた、楽器やソフトと同じ道を辿ってしまう。「手に入れたら安心してしまう症候群」に陥ってしまうではないか。そんな不安がよぎり始めたのである。なぜか。そう、実は僕、何を隠そう、とことんまでにマニュアルが読めない「左脳的能力欠落人間」なのである。せっかく素晴らしい機材やソフトウェア、アプリケーションなどを手に入れても使い方を習得できないばかりに幾度となく挫折を繰り返してきたの過去があるのだ。そこには、歴然とした巨大な壁が視界を遮るようにその存在を誇示しながら、目の前に立ちはだかっているように思えたのだ。っていうか、「機材を買う前にその事考えなかったの」、という質問はここでは一旦脇に置いておこう。
左脳
右脳
出自 https://goodbrains.net/brain/shikumi2.html
ちょっとそこのお兄さん、ここに上玉が揃ってますぜい
機材やアプリの使い方がわからなければ、当然憧れは憧れのままで終わってしまう。ただでさえ、家にはタブレットやPCがゴロゴロしている。これ以上家族の視界に不要と思われるものが増えることは、自分自身のこの家での立場をますます悪くするだけである。当然、我が家の住宅事情を鑑みても専用のDJ練習部屋を確保するのは難しい。ということは、多かれ少なかれ練習している姿が多少なりとも様になってる、あるいはプレイそのものが聞くに耐えるものにならなければならない。マニュアルを読み込んで使いこなすという選択は、絶望的に選択肢になり得ないのは前述のとおりである。こと使用マニュアルに関しては失読症ではないかというくらい、文字を追っていても頭に入ってこないのである。実際、理解不能に陥って、半べそをかくことしばしだ。単純なはずの情報が、マニュアル特有の説明口調になられると途端に理解不能な意味をなさない文字列になるのだ。知り合いにマニュアルを読み込むだけで、使い方を理解し実践できるようになるといいう人がいるが、羨ましい限りである。一体どうしたものか。今までなら、泣く泣く習得を諦めて手に入れた機材を秋葉原あたりの買取専門店に運び込む運命だっただろう。だが今は21世紀も20年を数え、少し前までには考えられない勉強方法が巷に溢れかえっていたのだ。オンライン講座/チュートリアルである。有償無償を問わず、現在はありとあらゆることが、インターネットで手に入れることができる。学びの分野は特にである。下手をしたら商品の使用マニュアルなどは、メモ書き程度の用紙に「こちらにアクセスしてね」とWebサイトのURLのみで済ましているのが主流になっている。これには賛否両論あるだろうが、僕にとっては好都合である。映像音声付きの解説マニュアルなら、実際の使用法を機材やソフトウェアそのもので解説してくれるのである。これなら理解できる。救いの神だ。求めよ、されば与えられん、である。幸い海外のDJ界隈のチャンネルには、商品のインプレッションを詳細に紹介している動画が数多くアップされている。手招きして呼び込んでるのだ。あとは自分の好みにある動画を選べばいい。そうして、紆余曲折を経たのちまずは手に入れたPCDJコントローラーのメーカーの解説チャンネルを何度も何度も見直して、使用方法を習得していくのである。機材を使いこなすという第一関門はクリアしたのだ。
かつて観た夢の果てに
機材の次はいよいよ実践だ。曲と曲を繋いでいく。曲が盛り上がり爆発的なパワーで空間を支配する。かと思えば、静寂のようなシンセやコーラスの響きを駆使してうねりを紡いていく。嵐の前の静けさだ。まるで詩人が言葉を操り、読むものに深い感情の海へと誘うように、DJも選曲と曲のトランジション(繋ぎ)でオーディエンスを別次元の宇宙に連れていく。DJの繰り出す音と客のゆらめきが会場を一つにしていく。これこそエンタテーメントだ。DJの一挙手一投足に客が反応する。幾千もの有名DJパフォーマンスをYoutubeで繰り返し繰り返し観ながら、夢の世界に入っていく。さあ、やるぞ!僕だって、巨大アリーナを埋め尽くす何千人もの客を踊らせるんだ!かかってこい!いつだって相手になってやる!っていう妄想がいかに自分を地の底まで叩き落とすかっていうことに気づくのにそれほど時間は要らなかった。セットリスト(任意の時間にかける曲を選曲したリスト。一曲目から最後まできっちりかける順番と繋ぎを決めて演るのもあり、とにかくプレイリストに曲をぶっ込んで、その場のノリで繋いで行くための選曲にトータル感を持たせたリストなど。)を作り、録音して聴き直す。え?ええ?これ何?こんなの踊れないじゃん。っていうか、誰これ回したの。3曲と聴いてられないよ。ってか、これ自分じゃん。えええええええええ?と、まあ、眼も当てられないほど出来の評価しようがない、DJプレイというには程遠いものがそこにはあったのである。
超えた壁の向こうにあるもの
DJをやりたいと思った時、一つだけ明確な目標があった。客前でプレイする、だ。今は、かつてないほど客前でプレイすることに関しての敷居が低くなっている。DJ練習会、DJセットが置いてある飲食店で好きな時に好きなようにプレイできる場所、TikTokやオンラインSNSでの配信等。これらは、DJである、と宣言すればテクニックの有無を問わず誰でもDJになれてしまうのである。そこは自分=DJという公式が成り立てば、客が不在であってもなんちゃってDJになれてしまう。僕がいうのは、自称DJではなく、DJとして立つことが許された場所で自他ともに認められたDJとして客と向き合いプレイすることなのである。自問自答した。
「さあ、ここで問題です。機材を手に入れた直後の僕はDJと言えるのか。よく考えて。何か足りてないものはない。音楽ジャンルの知識、DJテクニック、人脈。ほら、ほら、ほら」
そこで出た答え。
「どれも足りてない。」
超えたと思った壁は思ってより低く、その先にまだまだ更に高い壁は続いていたのだ。自己流で満足していてはいけないと気づいた僕は、とりあえず次のステップに行くことにした。DJスクールを探す。オン(フィジカルに対人でやる)オフ(オンライン講座等で知識を学ぶ)構わなかった。但しオンの場合、そもそもどこに行っていいのかわからない、行く場所があったとしても、このご時世対面でやってるとこがあるのか。あったところで時間の都合をつけるために犠牲にすることが出て来るのではないか。と、次から次へとできそうにない理由が見つかる。じゃあ、オンライングループはどうだ。いろいろ調べてみると出てくる出てくる。そこで出会った一つが、DigitalDJTipsというオンラインDJコミュニティーのDJ講座だった。これを購入してとりあえず基礎を学ぼう、それが近道だ、急がば回れ、と自分に言い聞かせてまずは一歩を踏み出したのである。
今回はこんな話でした。そして次回以降。
実は密かに心に決めていた、目標。闇雲に興味があるから、やってみたいから、面白そうだから、で始めるのもあり。それで趣味の幅が広がるのだから、何も手を出した全てをとことんまで突き詰めることはないとも思う。ただ、どうせやるなら、胸を張ってやってますと言えるくらいになりたいとも思う。それが、行動基準だったりもする。そのための選択を繰り返した結果、ある日点と点がつながり、線になる、という経験をいくつも繰り返してきた。そういう数ある話の一つ。次回は、理想と現実の狭間、現実から理想への離脱、みたいな話になるかな。ここまで読んでいただいた方には感謝です。そして、次も楽しみにしていただけると嬉しいです。