愛の物語『ののはな通信』著者:三浦しをん
まずは、このファンシーな装丁。単行本・文庫本ともに女子は心惹かれて書店で手に取ることでしょう。通信というだけあって、全てが「のの」と「はな」の書簡やメール文で構成されている珍しい作品です。
横浜の女子高に通う二人。昭和59年で高校二年生。青春真っ只中。当時はもちろんメールなんてなくて、電話か手紙が伝達方法だった。学校や直接会っている場面の会話などは書かれていないので、読み手側も想像を膨らませて読み進めていきます。
私自身も女子高に通っていたので、なんとなく分かる部分がありますが、幸か不幸かこんなに長い手紙を書くほどの友達はいなかったなあ...
いわゆるGLの表現が出てきますが、全体を通して(特に後半)この作品は大きな愛の物語でした。環境や年代が進むと文書の体裁も変わっていき、二人の女性が大人に成長しているのを感じるけれど、それでも根本はお互いを想い合っていることは変わらない。
社会情勢なども今と重なり、読んでいて少し辛くなる場面もありました。それでも人生は続いていくし...
はなは一見、天真爛漫で夢見る夢子ちゃん的なキャラクターだけれど、本当はすごく大胆で行動力があり、これと思ったら絶対曲げないタイプ。あ~こんな人いるよなぁと、ある人を思い出したりしていました。
最後はののの手紙で終わっていますが、二人の幸せを祈らずにはいられない感情になりました。
三浦しをんさんは『舟を編む』が有名ですね。読後は何とも言えない感情が湧くのですが、この作品も同じですね。そうそう、エッセイも読んだことがありますが(作品名を忘れてしまいましたが)、そちらはめちゃくちゃ面白くて、電車の中で噴き出した経験があります。
改めて、三浦しをんさんが好きだなぁ~って再確認できました。
また違う作品を手に取ろうと思います。