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【信号無視話法】2019年7月22日 吉本興業 闇営業問題 岡本社長 記者会見
2019年7月22日、吉本興業 岡本昭彦社長らは所属タレントの闇営業問題について記者会見で5時間以上にわたって説明。
2日前に渦中の宮迫博之さんと田村亮さんが独自で記者会見を開き、岡本社長からの圧力を訴える発言をしたことで大きな注目を集めていた。
本記事では、これまで国会答弁を視覚化してきた「信号無視話法」の分析手法で記者会見の質疑の一部を視覚化する。
✳︎信号無視話法の分析事例は筆者のハーバービジネスオンライン記事、3カ国語で発信中のYoutubeチャンネル「赤黄青で国会ウォッチ」(日本語版 / 英語版 / フランス語版 )を参照
信号無視話法のルール説明
信号無視話法分析では回答者の質問内容を以下の配色ルールに沿って、直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で色分けする。これによって、回答者は本当に質問に答えたのかが一目でわかる。
前提条件
・筆者は、報道などで公になっている以上の情報を一切知らない。そのため、宮迫博之さんと田村亮さん、吉本興業および岡本社長の間で主張が食い違っている点の真偽は判断できない。
・信号無視話法分析では「質問内容に答えか」に着目する手法である。
つまり、この分析では岡本社長の回答が事実かどうかは考慮しない。客観的に信憑性が低い内容であっても、岡本社長が質問内容に回答さえすれば青信号として判定する。
1人目 カワウチ リポーターの質疑
質問内容は、「引退してでも会見を1日でも早く行って、謝罪したい」と主張していたい」という宮迫博之さんと田村亮さんの主張と、岡本社長の説明が食い違う点を指摘しながら、岡本社長の理解を問うた。
しかし、岡本社長の説明はこれまでの経緯の説明に終始した。
(前半は7月6日に宮迫さんと亮さんに会うまでの経緯、後半は他のタレントとの会話)
いっこうに質問に答えない岡本社長に対して、聞き方を変えながら、認識の食い違いを重ねて質問して行くが、岡本社長は経緯(7月6日の宮迫さんと亮さんとの会話)の似たような説明を繰り返し続けた。
結局、質問に対する回答は一言も確認できなかった。
2人目 イシカワ リポーターの質疑
質問内容は、宮迫博之さんと田村亮さんが2日前の会見で明かした、岡本社長の「テープは撮ってないだろうな」発言の意味について。
しかし、岡本社長の説明は問題発言があったとされる6月24日の面談の経緯の説明に終始した。
そして、いっこうに質問に答えない岡本社長の回答を遮り、その会話が漏れた場合の思いを聞き直したところ、後に大きくクローズアップされることになる「冗談」発言が飛び出す。ここは質問と回答が成立しているため、青信号と判定。
その冗談によって信頼関係が損なわれたのではないかという質問に対しては、論点のすり替えが見られた。
質問:テープ発言で2人との信頼関係が壊れたのでは
↓すり替え
回答:テープ発言に至る岡本社長の心境
4人目 TBS「ビビット」ジョウジ リポーターの質疑
質問内容は、宮迫博之さんと田村亮さんが2日前の会見で明かした、岡本社長の「会見やってもええけど、ほんなら全員、連帯責任でクビにするからな。俺にはお前ら全員をクビにする力があるんだ」発言の真偽について。
結果、岡本社長は6月24日の面談中の経緯の説明に半分以上を割いた上、論点のすり替えも2つ見られた。
質問:「全員クビ」発言の真偽
↓すり替え
回答:「全員クビ」発言で「力がある」と言ったか
質問:「全員クビ」発言の真偽
↓すり替え
回答:「全員クビ」発言に至る岡本社長の心境
そして、最後に「会見するんやったら、もう全員クビや」と言ったことは認めており、質問と回答が成立したため、ここは青信号とした。
岡本社長が「全員クビ」発言は認めたものの、「俺にはクビにする力がある」発言は否定したため、圧力ではなかったのか記者は重ねて問いただす。
岡本社長の回答は冒頭の1行を除いて、論点すり替えに終始した。
質問:「全員クビ」発言による圧力の有無
↓すり替え
回答:「全員クビ」発言時の宮迫さん・田村亮さんの心境
質問:「全員クビ」発言による圧力の有無
↓すり替え
回答:「全員クビ」発言に至る岡本社長の心境
ここまでの会見で度々「被害者の気持ちを大事にすべき」という趣旨のコメントを繰り返してきた岡本社長。にもかかわらず、本人たちが謝りたいと言ってるのに、なぜか岡本社長は会見をさせなかった。その理由を記者は問いただす。
結果、岡本社長はヒアリングの経緯の説明に多くの時間を割き、論点のすり替えも2つ見られた。
質問:謝罪会見を拒んだ理由
↓すり替え
回答:謝罪会見を行うべきか
質問:謝罪会見を拒んだ理由
↓すり替え
回答:当時の岡本社長の心境
9人目 フジテレビ「とくダネ!」キシモトリポーターの質疑
質問内容は、「クビ発言はパワハラだと思うか?」という非常にシンプルなもの。
しかし、岡本社長はここでも2つの論点すり替えを行い、なかなか質問に答えない。
質問:クビ発言はパワハラか
↓すり替え
回答:クビ発言に至る心境
質問:言った社長の認識
↓すり替え
回答:言われた2人の認識
質問内容は2日前に宮迫さんと田村亮さんが会見で明かした社長の発言について、反論できることはあるか。
ここでも岡本社長は論点をすり替える。
質問:2人に反論できるか
↓すり替え
回答:2人との意思疎通
最終的に「力があるぞ」発言は否定したものの、「標準語は使わない」という言い方をしている。つまり、標準語ではない言い方で「俺にはクビにする力がある」というニュアンスの発言をした可能性を匂わせている。
更新履歴
2019/7/22 21:42
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