理系大学生必見!研究室の選び方
はじめに
研究室の選び方に関する情報は、意外と少ないように感じます。そこで、理系大学生向けに研究室の選び方についてお話ししたいと思います。
学生のうちは教授と接する機会が授業中心になるため、その授業での教授の雰囲気から研究室を選ぶことが多いのではないでしょうか?しかし、授業に力を入れている教授が必ずしも優れた研究者であるとは限りません。中には授業には力を入れていても、研究にはほとんど時間を割いていない教授も存在します。
また、授業で優しいからと言って、性格がいいとは限りません。外部の人には優しいけど、研究室の指導学生には厳しかったり、アカハラまがいのことをしている教授だっています。
先輩たちにおすすめの研究室を聞くことも一つの方法ですが、先輩たちは基本的に一つの研究室にしか所属したことがないので、本当にその研究室が一番良いのかはわかりませんよね。人気のある研究室が、実はユルイから人気なだけで研究をしっかりやっていないことも多々あります。
そこで、研究室を選ぶ際にどのような点に注意すべきかをお伝えします。
研究室の選び方
まずは研究費を見よ!
研究室を選ぶ上で最も重視すべきなのは、研究費の多さです。研究費がすべてといっても過言ではありません。研究費の少ない研究室はほとんど何もできません(文系は理系に比べて実験設備などにかかるお金が少ないので、研究費が少ないからと言ってよくない研究室とは限りませんが)。
ここでいう研究費とは、一般的には科学研究費(科研費)のことを指します。これは日本学術振興会に対して、研究者たちが「こんな研究がやりたい、こんな研究ができたら〇〇に役立つかも、そのためには〇〇万円必要だからくれ!!」と申請して、それが承認されたらもらえるお金のことです。
研究費がたくさんあると、学生は教授からPCを買ってもらえたり(もちろん卒業時に返さなければいけませんが)、設備が充実していたり、読みたい技術書を買ってもらえたりします。逆に研究費がない研究室では、PCはもちろん学生の私物を持ち込んで研究します。研究設備が整っていなくて、研究が思うようにできないかもしれません。
科研費は研究者が一人で申請することもあれば、複数人で共同で申請することもあります。科研費はもちろん研究のためのお金ですので、研究以外の目的には使えません。
そこで役立つのが、日本の研究.comというサイトです。このサイトでは、日本全国の研究者がどのような研究プロジェクトを持っているのか、そしていくらの科研費を持っているのかがわかるサイトです。研究をしていない教授にとっては、学生に知られたくない情報が詰まったサイトでしょう(笑)。
このサイトで気になる教授の名前を入れると、こんな風に表示されます。
ここでは、この教授の進行中の研究課題が表示されます。この教授は研究予算を2つ持っていて、そのうち1つは代表として科研費を持っていることがわかります。つまり、単純計算ですが少なくとも1年間に2587万円÷4年=650万円ほど研究に使えるというわけです。そして代表ではない研究課題からもいくらか配分されるので、実際には年間650万円以上を研究に費やすことができます。
(ちなみに、科研費にはいくつか種類がありますが、メジャーなものには基盤研究S,A,B,Cの他に挑戦的研究というのがあります。基盤研究B以上か挑戦的研究を取れてる教授であれば、結構研究をしていると考えて良いでしょう。)
一方で、別の教員(講師)についても調べてみましょう。
あれれ… 現在は何も研究していないみたいですね。
過去の研究も見てみましょうか。
5つしかない!?しかも2007年を最後に研究が1つもない!?!?
つまり、この講師は15年以上も研究費を持っていないということです。この講師の研究室に入っても研究なんてできるわけない
気になる教授たちの研究費を調べて、リストアップしてみましょう。授業ではあんなに人気の教授が研究費を持っていなかったり、逆に授業がつまらなくても研究者としては立派な教授だったりすることがわかるかもしれません。
H-indexも調べよう
次に、H-indexという指標について紹介します。H-indexとは、簡単にいうとその研究者の論文がどれくらい引用されているかを示す指標です。(算出方法はググってください)
H-indexを手取り早く調べる方法の1つが、Google Scholarというサイトです。このサイトは、論文を調べたり研究者の業績を調べるときによく使うサイトです。すべての論文が網羅されているわけではありませんが、便利なので論文や先行研究を調べたりするときに重宝します。
例えば、この研究者のH-indexは36なので、非常に引用されていることがわかります。2019年以来では32なので、若くて優秀な研究者だということもわかります。
次に、別の教授についても調べてみましょう。
H-Indexは5ですね。あまり引用されていないことがわかります。
ちなみに、Google Scholarで検索しても名前が出てこない教員もいます。そんな研究室に進むのは少し危険かもしれません。
研究室の人数
これも結構重要です。
研究室の人数、特に博士課程の学生やポスドクが多い研究室に入ると、研究のアドバイスや指導をしてくれる可能性が高くなります。
人数が多いと研究論文の発表数も増えるので、一緒に研究すると自分の名前の乗った論文がたくさん生産されることになります。論文数が多いと、後々博士課程に出願するときに有利になったり、国際学会で発表する機会が増えるかもしれません。
とはいえ、人数が少ない研究室がよくないかというと、一概にもそうは言えません。人数が少ないと、自分が教授に構ってもらいやすくなるからです。研究室の人数が多いと、どうしても教授が学生一人一人に費やす時間は少なくなってしまいます。
しかし、私はどちらかというと人数の多い研究室を勧めます。研究は時にとてもしんどく、精神的に参ってしまうことがあります。仲間が多いと困った時に助け合えるし、何より研究のモチベーションが高まりやすいです。
最後に
今回は、理系大学生研究室を選ぶ際に重視すべきポイントについて紹介しました。とりあえず科研費とH-indexについて調べれば、どの研究室に入れば良いか分かるのではないでしょうか。
また、実際に研究室を訪問して教授と話してみることも大事です。教授も人間ですので、相性があります。性格が合わない教授の研究室に入ってしまうと、卒業まで苦しむことになります。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。皆さんが良い研究室に入って、研究の素晴らしさや楽しさを実感できることを祈っています。
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