レコードを聴きながら
もう一生会うことはないであろう田舎の叔父貴のスコップには、遠い昔に俺がつけた傷が今も残ってるはずで、刑事さんそれで、俺の無実が証明されるはずなんだが。
たき火の向こうにニセの案内所が見えるだろうが、そこに行って訊いてくれ。
「道順はこのラジオが丁寧に説明してくれるはず」と、渡そうとしたら、豆腐みたいにグズグズ崩れやがって。
アンテナだけが手のひらに残る。
不快感と残念感いっぱいの俺を、デビルモンキーが手を叩いて笑う。頭から灯油をぶっかけて燃やしちまえ。
(休憩)貝殻がささやく言葉に涙して、どうしようもない男と女の馬鹿さ加減に失望してまた涙。
「人類とラヴ」と画用紙に書いてしまい、目をつぶったまま他人の庭に埋めに行くとしたら月のない晩がやっぱりいいんだろうが、そんな晩に限って南4丁目の方で起きた昼間の無差別殺人も相まってパトロールお巡りさんの口笛が近づいてくる。
「やっぱりやめときゃ良かったんだよ、こんな事」
今更胸ポケットで毛虫のワイフがチクリと刺すから、俺はお陀仏で、
「光男がほしがってた俺のマンガのコレクション渡しといてくれよ、実はあれには深い秘密があってな」と言い終わるとこで、彼方から駆けつけた新しい主人公であるエスパー宇宙人の新しい俺は、倒れゆくまえの先代主人公の旧俺から毛虫のワイフを救い出す。しかし、彼女もすでに事切れていたのでポイと捨て、深夜のケーキ屋さんに急ぐ。
眠そうなケーキ親爺と無言で目と目でビームを交わしての充電終了。ついでに食パン一斤ほどもらって中をくりぬきながらの食べ歩き。
明後日駅につけば、俺と同じ境遇の奴らのためのトレインが着いてるし、ホームの階段上りきったところから、きっちり奇数目の左足で乗車することに成功した。
切符代わりに三年前俺が起こした凶悪未解決事件の新聞の切り抜きを車掌に渡す。それでキラキラキラと列車は走り出す。カンガルー紳士が困ったような顔してあたりをチラチラ見ながら真面目くさって座ってるから、驚いて笑った笑った。
やれやれ、ソフトを目深にして釘で頭の穴に止めて寝るとするか。
??君の聴いているアルバムもちょうど終わった頃だろう???