su、ko、si、 i、ta、i
「あのネ、いいの、もう消え去りたいの」
そうポツリと呟いて、こちらを見上げる、
小さなタマシイ子。
私はその言葉にたまらない文学性を感じて、
ゴチック・明朝等あらゆる字体を駆使し、
ミニコミを出版したのであった。
半年後の大晦日。
儲けた小金をポケットにする私。
風邪気味だと言うタマシイ子。
近所のチェーン居酒屋に呼び出した。
どうしてる?って訊くと、
「やっぱり消えてしまいたいの」
との事。
こほこほという咳の音にたまらない音楽の可能性を感じた私は、
居酒屋の雑音の混じるそれを録音し、アジア各国に向けて配信した。
翌ポカポカ陽気の春の夜。
儲けた札束を懐にする私。
ひどく頭痛がすると言うタマシイ子。
駅前の、今度はチェーンでないちょっと上等な居酒屋に呼び出した。
確かに、始めは悩みを聞くつもりだった。
でも、ウーロン茶をちびちび飲む、
少しやせたタマシイ子の、オレンジのセーター・・・。
その毛玉にまた魅入られその場でフォトセッション。近くのコンビニで印刷しタマシイ子のコーポの部屋でホチキス止め。一夜明けその写真集片手に体調不良のタマシイ子を連れて全世界を回ったーっ!!!!!!!
そうして、月日は流れ、
「アッ」と、いう間の、60年・・・・。
こほこほ、富豪の、仲間入りを、した私。
暖炉の、前で、その旅の、ことや、
その後の、顛末を、回想するが、
涙で、かすみ、
うまく、思い、出せない。
耳の底。
電話の、向こうの、タマシイ子の、
消え入り、そうな、声。