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「1億円の壁」がほぼ決着

これまで色々と議論してきた「1億円の壁」が、今日ほぼ決着した。
最終的に、「30億円以上の年収(株式だけではなく土地建物の譲渡益や給与所得等を合算した金額)を持つ高所得者に対して、1〜3%程度を追加的に納税してもらう」という方向性になりそうだ。

一方で、NISAの抜本的拡充やスタートアップ支援策は、ほとんど満額回答を得た。
つまり、政府としての今回の税制改正でのメッセージは以下のようにまとめられる。
・貯蓄から投資へのシフトを推進し、成長資金を拡大、その果実を広く国民に還元する「成長と分配の好循環」を実現すること
・成長資金をスタートアップの成長に繋げ、変化の激しい時代にチャレンジを促進し、GX、DX、医療、AIなど、新たな成長分野を開拓すること
・上記の結果、拡大が期待される高所得者層は、スタートアップ等へのリスクマネーとして再投資することで、成長分野のエコシステムを加速すること

それでもこの決着には、個人的に若干の異論が残る。
やはり「スタートアップ支援」や「成長と分配の好循環」というメッセージは、シンプルで力強い方がよく、30億円以上とはいえ、高所得者への増税が加わったことでそうしたメッセージが弱まってしまう懸念である。
ただ、「高所得者の皆さん、そのまま税金として払うよりも、スタートアップへ投資した方が有利ですよ」というメッセージにもなる。
この辺が着地だろう。

一つだけコメントするとすれば、今回の議論でも時々聞かれたことだが、スタートアップへの再投資を支援する政策は、決して「高所得者の優遇策」ではない。
高所得者のキャピタルゲインをスタートアップに再投資することで、さらに大きなキャピタルゲインを産むという、まさに「成長と分配の好循環」を実現するための「1丁目1番地」である。
この政策を「高所得者の優遇策」ではなく、純粋な「スタートアップ支援策」として、ひいては「日本経済の成長力を高めるための最重要政策」として捉えるようになったときに、日本経済の成長力はもっともっと高まっていくはずである。

今回の税税改正の議論では、そうした論調が真正面からできる下地が整ってきたように感じられる。
日本経済の成長力を抜本的に高めていくという「手応え」が、少しだけ感じられた税制改正の議論だったのではないだろうか。


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