つくってあそぼ
ゴロリ「わくわくさん!わくわくさん!今日は何を作るんだい?」
ワクワク「ゴロリくん!今日はミュージカルを作って遊んでみよう!」
ゴロリ「ミュージカルぅ?わくわくさん、そんなの作れるわけないよ。」
ワクワク「ゴロリくん!ゴーローリくん!ゴロリくん!それが作れるんだ!しかも道具はハサミ!たったこれだけ!」
ゴロリ「……えぇー!本当にぃ!」
いつもとどこか違うワクワクさんに、ゴロリはうっすら嫌な汗をかいていた。
ワクワク「さぁゴロリくん!さっそく街に作りに行こう!」
ゴロリ「でもわくわくさん…勝手に街に出ちゃ駄目な決まりでしょ?」
ワクワク「さぁゴロリくん!さっそく街に作りに行こう!」
ゴロリ「街には出ちゃ行けないって言ってたじゃない」
ワクワク「さぁ!ゴロリくん!!!さっそく街に作りに行こう!」
何時もは街に行きたいと駄々をこねるゴロリを静止するワクワクさんが、進んで街に出かけようとする様に困惑するゴロリ。
ゴロリ「わかったよ…」
堂々巡りの会話にしびれを切らし、結局街へと行くことに。
ワクワク「さぁ街についたぞぉ!!ゴロリくん!!ミュージカルを作ろう!!」
ゴロリ「しー!わくわくさん!大きな声を出したらバレちゃうよ!」
ワクワク「はやく!作りたいだろぉ!!」
ゴロリ「でもわくわくさん…ミュージカルなんてどうやって作るんだい?」
ワクワク「いい質問だ!ゴロリくん!いいかいゴロリくん!よく聞くんだよゴロリくん!」
ゴロリ「うん…」
ワクワク「そこに大きいカメラを持ったふっつーの街の住人がいるだろ?このハサミであいつを後ろから刺しちゃうんだ!そうしたら大きな声をだして倒れる。そこですかさずその人を応援するために歌うんだ!!」
ゴロリ「…!?」
目をこれでもかというほど開き、早口で説明するワクワクさんと、その内容に驚きを隠せず言葉を失うゴロリ。
ワクワク「頑張れー!頑張れー!負けるなー!負けるなー!」
ワクワク「飛んでるアイデア〜🎵楽しくトライ〜♫ってね!」
ゴロリ「わ、わくわくさん…?」
ワクワク「遊んでワクワク!作ってワクワク!ってね!」
ゴロリ「わくわくさん!そんなのぼくやりたくないよ!」
ワクワク「いーやゴロリくん。君はやるんだ。」
ゴロリ「いやだね!」
ワクワク「君がやらないと僕がやることになる。君の代わりはいくらでもいる。でも僕の代わりはいないんだ。わかるよね。ゴロリくん」
ゴロリ「…わくわくさん、いったいどうしちゃったんだよ!おかしいよ!いつものワクワクさんに戻ってよ!」
あまりの状況に泣き出すゴロリ。一瞬の沈黙の末、ワクワクさんが口を開く。
ワクワク「……ゴロリくん…おかしいのは君だよ。君は一体何なんだ?君は本当は誰なんだ?」
ゴロリ「わくわくさん!僕は僕だよ!ゴロリだよ!忘れちゃったの!?」
ワクワク「五月蝿い!五月蝿い!何なんだお前は!本当のことを言え!誰だ!お前は!!」
ゴロリ「僕はゴロリだよ!ずっとずうっと僕はゴロリだよ!!」
ワクワク「埒が明かない…」
カチャ
ゴロリ「!?」
拳銃を取り出し、銃口を自らのこめかみにあてるワクワク。
ワクワク「この銃は作り物なんかじゃない。子供騙しの玩具じゃないぞ!!」
ゴロリ「…嘘…でしょ…?」
ワクワク「言え!!お前は誰だ!!!」
ゴロリ「わくわくさん…僕は……本当にゴロリだよ…」
パアアアアアアン
ゴロリ「わくわくさん!!」
乾いた銃声、駆け寄るゴロリ。
ワクワク「じゃあ…あいつは……誰だったんだ……」
ゴロリの腕の中で朦朧としながら必死に最期の一言を生み出した。
ゴロリ「わくわく……さん…」
ゴロリは頭を外し、涙を拭き、大きいカメラのレンズに映る自分を覗き込み、こう呟いた。
ゴロリ「僕ってこんなに老けてたんだ(笑)」