振り返りをしよう!
こんにちは。良いトレーニングできていますか?私の地域ではやっと桜の花が咲き始めたところです。春になりましたね。試合にも出ている方もいるのではないでしょうか?きっと投擲や長距離選手はすでに何試合もこなしていると思います。
さて、今回は、そんな試合の「振り返り」がテーマです。このブログを立ち上げた直後に、トレーニング計画の話を2回にわたってしました。そして実際記録会をしたり、そろそろ記録会があって、これまでのトレーニングの成果がわかる時がきます。後でもお話ししますが、1回だけで全ては判断できませんが、判断の材料にはなるはずです。
そして、今回は「そこで得られたことをどう活かすか」ということについて、実践的なことをお話しします。1人でも出来る方法です。最初に言ってしまえば、まず振り返るか振り返らないかで大きな差が出ます。なので、振り返るということ自体にまず強くなる要素があるんです。さらに、何をどう振り返るかを理解すれば、振り返りが無駄にならずに済みます。
シーズンイン1つ目の記録会があったとします。結果は自己ベストから遠く及びませんでした。こういう試合を振り返る時、皆さんはどんなことを思うでしょうか?「悔しい」「ちょっと調子が悪かったんだ」「嫌なことは忘れよう」だけで終わっていませんか?確かに悔しいですよね?調子の良し悪しは記録には大きく関係しますし、気持ちを切り替えることもとても大切です。繰り返しますが、ここで終わったら次がありません。上手くいかなかった経験を、意味のあることにした方が絶対に強くなれます。
ではどうしたらいいでしょうか?
まず、悔しい気持ちはそのまま純粋に自分の気持ちなので、感情として持っていただいて一向に構いません。いや、持つべきです。せっかくなので、何がどう悔しかったのか、悔やまれる点を紙に書き出してみましょう。これは自分なりの意見で大丈夫です。もし誰かが見ていてくれて、「こんな感じがしたよ」とか言ってくれたのなら、それも自分の意見と分けて書いておきます。
そして、悔やまれる点一つ一つに対して、どうすれば良かったか、理想の自分はどんな姿かを、これも自分なりの意見で構わないので横か下か、わかりやすいところに書き出します。ここから一つ目の振り返りです。これを書き出しておくと、次にどんなトレーニングをしたらいいか、おぼろげながら浮かんでくると思います。引き出しがなくて、どうしたらいいかわからない時には、勇気を振り絞って誰かに「こう思うんだけどどうしたらいいですか」と聞いてみたり、陸上競技の本を読んだりして情報を探してみるといいと思います。自分なりの意見を持つと、意識して情報を探すことができるので、例えば「YouTubeに載ってたこれが面白そうだからやってみよう」というような安易な検索ではなく、「これを克服するためにYouTubeに載ってたこの方法を試してみよう」という、明確な目的意識を持って物事を見られるようになるはずです。誰かに質問する時も、本を読むときも、目的意識がはっきりしている方が身になるんです。
先ほど、他人の意見は分けて書いておきましょうと言いましたが、例えば自分の感覚と他人の目が同じであれば、それは自分の感覚は正しかったんだな、という裏付けになりますし、もし自分の感覚と他人の目が違っていたら、そこはもっと深く掘り返して、それを言ってくれた人とどういうことなのかを話し合って、感覚を合わせる絶好の機会です。もし周囲の意見をもらえるチャンスがあったら、ぜひ大切にしましょう。ここでも自分の意見を大切にして、鵜呑みにせず、違う時にはハッキリ「自分はこう思います」と言いましょう!
そうして試合結果から色々なことを考えて、次に繋げられるかどうかで、今後のトレーニングに対する意識はガラッと変わります。
次に、「調子が悪かったんだ」についてです。これももちろん振り返る対象です。試合前数週間のトレーニングメニュー、その時のタイムや記録などの客観的数字はどうだったか、というようなトレーニング自体の話から、寝た時間、起きた時間、ご飯が食べられたかどうか、勉強疲れ、遊び疲れ(笑)、などなど生活習慣からわかることもあるかと思います。そういう、試合までの「過ごし方」を振り返って、改善できることはないかを考えるのもとても重要なことです。夜遅くまで勉強している毎日だったら、隙間時間を活用して少しでも夜早く寝られるようにしたり、このトレーニングで追い込みすぎたなと感じれば減らしたり。
また、シーズンインの試合ではあまりないかもしれませんが「そういえば前はこのドリルやトレーニングをやっていたけど今回やってないな」ということもあるかもしれません。私は指導者時代経験しました。速いタイムで走っていた選手が、肝心な大会で全く結果が出ず。どうしてだろうと思っていたら、たまたま雨続きの時に廊下でやっていたトレーニングがタイム向上のための大事なトレーニングだった、ということに後になって気がついたこともありました。おかげさまで、その後大きな大会で2度全国チャンピオンになりました。
逆に「調子は良かったけど記録が思わしくなかった」ということもあるでしょう。こちらは技術的な問題を考えるといいと思います。単純に「技術が噛み合わなかった」「レース展開を読めなかった」という振り返りや、「調子が良かったから何もかも雑になってしまった」というような、気持ちが高揚しすぎて舞い上がってしまうこともあると思います。
ということで、気持ちを切り替えるのはこれまで書いた「振り返り」をしてからです。この時には、次の目標が見えてくるはずです。しかし、「11秒で走る」「〇m」というような目標では不十分です。せっかく振り返ったので、11秒で走る「ために」〇〇できるようになる、〇m跳ぶ「ために」⬜︎⬜︎できるようになる、という、具体的なトレーニングが見える目標を立てるといいと思います。もちろんその日ごとに細かく反省することも重要ですが、ここでは試合結果を受けての話なので割愛します。
まとめると、試合結果を受けて
・試合の悔やまれる点(反省点)を書き出す。
・反省点一つ一つに対して、こうすればいいと思うことや理想の自分を書く。
・トレーニングや生活も振り返って、同様に反省や理想を書く。
・どうすればいいか、の答えを調べる(本、誰かに質問する、など)具体的であることが重要です。
・調べたことを活かして新しいトレーニングメニューを立てる。
です。繰り返しますが、自分なりの考え、意見を持つことが重要です。逆に言えば、誰かの言葉、YouTubeなどの媒体を鵜呑みにしないことです。自分の意見というフィルターを通して他者の意見を参考にすれば、情報に振り回されることもないかと思います。と言っても、もちろん明らかな弱点から目を背けるようなことは成長の妨げになるので、自分の弱点を受け入れる勇気も持ってください。
また、最初の方で「1回では判断できない」とお話ししました。「この振り返りからまたトレーニング計画を立てて、また実際動いて試合して、振り返って…」を何度も何度も繰り返すことで、さらなる成長が待っているはずです。振り返らないと次はありません。自分なりの意見を持って足りないものを調べて、それを計画に反映させて試合をすると好循環が生まれます。振り返らないと、いつまで経っても同じところをぐるぐる回っているだけです。
最後に。振り返りはぜひ結果が良かった時にも行ってください。あまりそれにこだわる必要はないのですが、上手くいかなかった時に、比べる対象にはなると思います。こだわる必要はない、というのは、その試合でうまく行ったことがルーティーン化して、次の試合でそれができなかった時にものすごくストレスになってしまう場合があるからです。あるプロ野球のピッチャーが、ベンチからマウンドに向かう時にラインを必ず左でまたぐという話も聞いたことがあります。それくらいなら容易いことですが、もし「試合当日の朝はこれをやって会場に着いたらあれやって…」というようなことになってしまったら、一つできないだけで試合に集中できなくなると思います。
今回は振り返りの話をしました。私が指導者だった頃の振り返りシートが残念ながら残っていなくて、具体例が出せなかったのですが、覚えている範囲で下に書いておきますので、ぜひ参考にしてください。著作権フリーです。
振り返りシート(用紙は試合1週間前には渡しています)
①試合、記録会の目標記録(試合前に書いてもらいます)
②試合結果
③感想(何でもいい)
④気付いたこと(自由記述。短距離選手が自分に足りないことを書いたり、リレーの歩数を変更したことを書いたり、走高跳の選手が当日の自分の歩数や気をつけたことを絵に描いたり)。
⑤こんな練習をした方がいいのでは、と思うこと(自分のことでも、指導者に対して進言する形でも)
⑥次の試合に向けて(自分の目標、意気込みなど)
余談ですが、これをやっていて、選手の内面がすごく成長しました。一言しか書けなかった生徒がいつしかA4の用紙いっぱいに書けるようになったり、自己分析が上手になったり。それは学力に比例しないところも面白かったです。夢中になれるものって本当に人を成長させるんだな、と教えられた時間でした。
今回はここまでです。ぜひ試合結果を良い形で次に繋げてください!