Notionとesaをどう使い分けるべきか?
どうも、エンジニアのgamiです。
僕は職場でもプライベートでも、Notionとesaの2つのドキュメント管理ツールを使っています。
最近、同僚から「Notionとesaのどっちかに統一した方が生産性上がると思います?」という主旨の相談を受けました。そのときは明確な回答ができなかったのですが、改めてNotionとesaの使い分け(あるいは一方を使わなくすること)について考えてみたいと思いました。
Notionとesaの両方を使っている人類は少ないかもしれません。一方、Notionとesaを比べることは、広く見ればWYSWYGとMarkdownというドキュメントエディタにおける2つのパラダイムを比較することにもつながります。
WYSWYGエディタとMarkdownエディタ
WYSWYGとは "What You See Is What You Get" の略で、ドキュメントの最終的な見た目を確認しながら直接編集ができるようなエディタのことをWYSWYGエディタと呼びます。
たとえばNotionは閲覧画面と編集画面が同じであり、まさに編集中に見ている表示がそのまま他の閲覧者が見る画面と一致するようになっています。
最近ではこうしたWYSWYGエディタの方が主流なので「何を当たり前のことを言ってWYSWYGなどと呼んでいるんだろう」と思う人もいるかもしれません。実際、WYSWYGエディタを採用しているSaaSやブログサービスはたくさんあります。
ちなみにnoteは最近エディタのアップデートがあり、基本的にWYSWYGなのですがこうしたルビを振るときには
のように書いた上でプレビュー表示に切り替えないといけなくなりました。WYSWYGエディタの限界を感じる。
さて、特にWebの世界ではWebページは基本的にすべてをHTMLで表現する必要があります。HTMLをどのように書くとWebページがどのように表示されるかについては、実際にWebブラウザでHTMLを読み込んで表示してみるしかありません。このようにHTMLとWebページの関係は "What You See Isn't What You Get" であり、WYSWYGではありません。
Webで実現できることが広がっていった歴史の中で、便利で汎用的なHTMLの仕様を前提にドキュメント作成をしていこうという流れが生まれました。Webの仕様に乗っかることでドキュメントを見やすく表示することができますし、HTMLはWebブラウザでの取り回しもしやすいです。
とはいえHTMLを直接編集するのはたとえエンジニアであっても辛いので、折衷案としてMarkdownという言語が生まれました。
Markdownエディタでは、プレーンテキストとしてドキュメントを編集します。Markdown記法に沿った記述をすると、それが内部的にHTMLに変換され、閲覧画面で見やすく表示されます。
Markdownエディタも、特にエンジニアが好んで使うサービスで古くから採用されてきました。
Markdownエディタは編集画面が単なるテキストフォームなのでサービスの一部に組み込みやすいというメリットがあります。一方のWYSWYGエディタはプレーンテキストで表現しきれないリッチなコンテンツでも編集しやすいという特徴があります。どちらかが全面的に優れているということは無く、今後もきっと適材適所で使い分けられていくものです。
Notionとesaの違い
「社内ドキュメントを管理する」という主要目的は同じでも、Notionとesaには様々な違いがあります。
大きいのは、やはりWYSWYGエディタとMarkdownエディタの違いです。それによって、ドキュメントへの向き合い方や書き味が異なっていると感じます。
esaはプレーンテキストを編集するだけなので、とにかく気軽に編集することができます。入力も軽く、また入力に対して何が出力されるのかも明瞭です。手元のテキストエディタや外部サービスのMarkdownエディタからテキストをコピペしてきても、そのままesaのドキュメントとして使えます。
Notionのエディタもかなり使いやすいですが、その書き味にはプレーンテキストほどの気楽さはありません。ドキュメントサイズが大きくなってくると動作がもっさりします。テキストカーソルが複雑なBlockに囲まれていると、EnterキーやBackSpaceキーを押したときにどんな状態になるのかがよくわからないときがあります。
またNotionは閲覧画面と編集画面が同じなので、他人が書いたドキュメントを見たいだけなのに、キー操作を誤るとドキュメントを壊してしまうことがあります。
一方、Notionにはesaを始めとするMarkdownエディタでは実現できない表現力や拡張性があります。Notionのデータベース機能はその代表例でしょう。
esaの上で大量の表データやタスク管理ボードにアクセスしたい場合、単にGoogleスプレッドシートやGitHub Projectsなどの外部サービスにリンクを貼るくらいしかできません。Notionを使えば、Notionの中でリストやタスクやスケジュールを管理することができます。より多くの目的がワンストップにNotion上で完結するわけです。
他にも、全文検索はesaの方が見やすかったり、コメント機能は本文中にコメントできるNotionの方が便利だったり、一長一短があります。
Notionとesaの使い分け
Notionとesaのどちらかに利用を寄せた方が「どっちに書いたっけ」とか考える必要が無くなるので楽なわけですが、どちらも良いところがあり本当に悩ましいところです。。。
ここでは、社内ドキュメント管理ツールとしてあえてNotionとesaを使い分ける場合のベストプラクティスについて考えてみます。
重要で体系化されたドキュメントを管理するなら、やはりNotionを使った方が良さそうです。NotionはPageとPageの入れ子構造を作る前提で作られており、またNotion Database内のアイテムも全てがPageとして開けるようになっています。ドキュメントの体系をツリーやリストの構造で整理するという用途には、Notionはかなりマッチしています。
他方、いつか役に立つかもしれない大量のメモをストックしたい場合はesaが便利です。個人的な作業ログや思いつきやトラブル対応メモを、とりあえず雑に放り込んでおく。フォーマットも、Markdownで見出しや箇条書きだけ簡単に付けておく。Notionの体系化されたドキュメントでは解決できないことがあれば、強力な全文検索でesaにある情報の海から過去の知見を引っ張ってくる。
そんな使い分けを徹底できれば、Notionとesaのそれぞれの良さを活かしつつ共存できると思います。(社内のメンバーにその使い分けルールを浸透させるのが難しいという説はありますが。)
ドキュメント管理ツールの未来
Markdownエディタには、全てをテキストで表現できなければいけないという強い制約があります。esaでもTeXで数式を表現したりUML図を描いたりはできますが、Notionのようにデータベースを埋め込んだり2カラムレイアウトのページを作ったりするには荷が重いです。
一般的なSaaS導入の定石として、なるべく拡張性の高いサービスを導入しておいた方が有利になることが多いです。なぜなら、当初は「まあシンプルなドキュメント管理ができればいいだろう」という想定だったとしても、実際には使っていく内にやりたいことが当初想定を超えて増えていくからです。
かつてWebサービスのWYSWYGエディタは、動作が重かったり挙動が不安定だったり、使いにくいものが非常に多かったです。そんな中で、軽量でシンプルなMarkdownエディタがエンジニアを中心に好まれたという背景があります。
しかし、Notionなど洗練されたWYSWYGエディタが発明された今となっては、WYSWYGエディタの表現力や拡張性によって得られるメリットの方が大きくなりつつあります。実際、Notion Likeな書き味のエディタや機能を持つWebサービスがどんどん増えており、ドキュメント管理のパラダイムが大きく変わりつつあるのを感じます。
個人的にもesaは5年以上使い続けているサービスで愛着はあるのですが、Notionでデータベースを作って情報をガンガン整理していると、「あのesaに書いたドキュメントもNotionに移行した方が見やすいな」と思う機会が増えてきました。また、ドキュメントを閲覧している中で間違いを見つけたらすぐに編集できるというスピード感もNotionの魅力だと思い始めています。ドキュメント管理ツールの大きなトレンドは間違いなくNotionの先にあり、Notionをメインで使った方が中長期的には幸せなんだろうなあという感覚が強まっています。
というわけで、esaを使う機会が減る寂しさはあるのですが、どちらかというとNotionを頑張っていくことになりそうです。Notion便利すぎて怖い。
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