GmailやSlackの「通知」設計から始めよう
どうも、エンジニアのgamiです。
新年が明けまして、会社に中途採用で新しいメンバーが何人も入ってきています。
先日、会社の古株メンバーとランチしているとき、「入社してから仕事で活躍し始めるまでが早いのはどんな人か?」という話題になりました。そこで出た仮説の一つが、ソフトウェアの使いこなし度合いが高い人ほど仕事に慣れるのも早い、というものでした。なんというか、SaaSリテラシーみたいなものがありそうだぞと。
今いる会社では、たくさんのSaaSプロダクトを使ってオンライン上でのコミュニケーションをガンガン進めていくような仕事の仕方が推奨されます。また、そもそもSaaSプロダクトを売っている会社でもあるので、顧客企業がプロダクトを使いこなすのを支援するような仕事も多いです。
とはいえ抽象的なスキルなので、今回はこうした仕事を加速させるソフトウェアの「使いこなし」とは何かについて具体的に掘り下げて考えてみます。
ソフトウェアの「使いこなし」事例
漠然と「ソフトウェアを使いこなせる人ほど仕事で活躍しやすい」という印象はあります。しかし、具体的にはどういう行為が「ソフトウェアを使いこなす」に該当するんでしょうか?僕の脳内にある事例を紐解いてみます。
仕事をしていると、たとえばテキストを見やすく書けるかどうかに「使いこなし」の度合いが露骨に出ると感じます。NotionやSlackやGitHubでは、テキストを見やすくフォーマット指定できる機能があります。しかし、長い文章でもその機能を使わずに書いている人を見ると見づらいし、「そのソフトウェアの作法に乗っかれていないな」と感じます。
さらにポジティブな話で言えば、ソフトウェアのニッチな機能まで遊び半分で使ってみる人は、新しいソフトウェアでもすぐに使いこせる印象があります。Notionのニッチなコンポーネントを多用したり、Slackの絵文字やワークフローを自分で作ってみたり。
こんな感じで色々と事例は挙げられますが、とりわけソフトウェアの使いこなしが露骨に仕事上のパフォーマンスに影響する最たる例は、自分が受け取る「通知」をどう設計するかだなーと考えています。そこでここからは、この通知設計にフォーカスして考えてみましょう。
自分だけの「通知」設計が仕事をドライブする
業務で使うSaaSプロダクトの多くは、「通知」の機能を持っています。SlackでメンションされたりGoogleカレンダーの予定が近づけばOSの通知が飛ぶし、GitHubやBacklogでコメント返信があれば通知inboxからまとめて確認できます。
重要なのは、多くのSaaSプロダクトの通知機能には、メールやSlackなど外部ツールに通知を連携する機能があることです。これを使うことで、複数のソフトウェアに散らばる情報を自分独自のルールで収集する仕組みをつくることができます。
PCの前に座っている時間が長いような職種の仕事の多くは、抽象的にいえば情報を集めたり、生み出したり、解釈したりするような作業です。情報がデジタルツール上で管理されていれば、社内外の人間やシステムが生み出した情報が様々なソフトウェアの中で飛び交い蓄積されていくはずです。そこから自分に必要な情報だけを素早く得ることが、仕事を加速させます。そのためには、より良い通知設計が重要になります。
自分を信じない仕組み作り
ここからは、より良い通知設計とは何かについて具体的に考えてみましょう。僕が普段使っているツールに寄せて書きますが、適宜みなさんが使っているツール名に読み替えてください。
そもそもソフトウェアから通知を受け取る目的とは何でしょうか?それは、自分だけでは気付けない重要な情報に気付くことです。通知をうまく使えば、まるで専属の秘書がいるかのように、自分が忘れていたことや気付けなかったことをいい感じに教えてくれる仕組みを作れます。目的から考えれば、自分自身に過度な期待をせず「いかに自分に楽をさせられるか?」を第一に考えるべきです。
この観点では、良い通知設計のポイントは次の3つあります。
巡回する場所を減らす
必要な情報だけに絞る
記憶に頼らない
それぞれ見ていきましょう。
1. 巡回する場所を減らす
通知の最大の魅力とは、様々な場所を能動的に見に行かなくても勝手に情報が集まるという点です。逆に言えば、せっかく通知機能を使っているのに、自らたくさんの画面を定期巡回する必要があるとすれば、通知を十分に活かせているとは言えません。
全ての通知をリアルタイムでキャッチするのは限界があります。一方で、使っている全てのソフトウェアの通知inboxを定期的に巡回するのは辛いものがあります。それらを解決するには、通知件数が少ないツールはメールやSlackなど別のツールで通知を受け取れるようにします。そうすることで、自分が定期巡回する場所を減らすことができます。
実際僕自身も、通知を定期的に見る場所はSlackとGmailとGitHubだけにしています。たとえばBacklogやDropbox Paperも使っていますが、通知件数が少ないのでメール通知の設定をしてGmailで通知を受け取れるようにしています。
取り組み例
通知頻度が少ないツールは、メール通知やSlack通知の設定をしておく
2. 必要な情報だけに絞る
通知のもう一つの魅力は、自分に関係がある情報だけをフィルタリングして受け取ることができるという点です。たとえば多くの人が共同で使うタスク管理ツールでは、自分と関係のないアクティビティが膨大に発生します。BacklogやAsanaなどでは、自分が作成したりメンションされたりしたタスク上のアクティビティだけを通知することができます。
他方、通知の設定が不十分だと自分に関係の薄い通知が大量にinboxに溜まってしまいます。これでは、まるで自宅の郵便受けに無駄なチラシが大量に詰まっているときのように、重要な通知を見逃してしまいがちです。
特に多くの人が苦戦しているのが、Gmailの受信トレイ整理です。特に何も設定していないと、Gmailの受信トレイは数万件のメーリングリストとメルマガからのメールがうごめく魔境と化します。Gmailの受信トレイを整理されたTODOリストとして機能させるためには、通知不要なサービスのメール通知購読をOFFにして回った上で、それでも来てしまう不要なメールを「受信トレイをスキップ」させるフィルタ設定をする必要があります。
取り組み例
メール通知が不要なサービスは通知をOFFにする
Slackの無関係なchannelを退出 or ミュートする
Gmailのフィルタ設定を育てる
3. 記憶に頼らない
通知の重要な役割の一つが、リマインダーです。よく考えられた通知は、自分が忘れていた作業を適切なタイミングで思い出させてくれます。通知の価値を最大限に活かすなら、「これは後でやろう」と後回しにしたタスクが、自分がそれを覚えていなくても実行されるような仕組みを作ることが重要です。
たとえばGmailの受信トレイに未対応のメールだけが残る状態にしておけば、一度そのメールのことを忘れてしまっても次にGmailを見たときに思い出すことができます。具体的には、対応したメールはアーカイブする運用を自分に課すことで、Gmailの受信トレイ自体をTODOリストとして機能させます。
チャットツールの場合、後で対応しようと思ってもメッセージの流速が速いと流れていってしまいます。Slackの「後でリマインドする」機能を使うと、翌日の朝など指定した時間にそのメッセージをリマインドしてくれます。僕はこの機能を多用して、自分の記憶容量を節約しています。
自分で作った通知の仕組みを信頼できるようになると、覚えるべき情報を最小限にしても、重要な出来事をすっぽかすことが無くなります。脳内メモリを解放することで、目の前の仕事に集中するできるようになります。
自分の「通知」設計を見直そう
今回は、「ソフトウェアの使いこなし度合いが高い人ほど仕事に慣れるのも早い」という仮説から、特により良いソフトウェア通知の全体設計について考えてみました。
デジタルサービスの利用を前提とした業務設計ができれば、人間がやるべき仕事に集中する環境を実現できます。その第一歩として、自分が使っているソフトウェアの通知全体を見直してみるのは良い選択肢に思えます。
抽象的に言えば、ソフトウェアの通知こそデジタル世界と人間をつなぐ最も重要なインターフェースの一つと言えます。具体的なアクションにつながる通知だけを適切なタイミングで受け取ることができれば、システムの一部として自分をうまく働かせることができます。
ということで、1月のフレッシュな気持ちの中で、自分やメンティーの通知改善から始めてみてはいかがでしょうか??
(ちなみに、かく言う僕もプライベートのGmail受信トレイがカオスになっていたので、これを気にフィルタ設定をし直しましたw)
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