Zillow/Trulia:広告掲載課金で前年比27%成長。成長余地まだあり
Zillowをご存知でしょうか。
海外版SUUMOで、2006年創立、2011年上場したアメリカNo.1の不動産検索サイトです。
1.1億件の住宅データベースを売りにしたサービスで、2014年には競合だったTruliaを買収しました。日本でいうとSUUMOがLIFULL HOME’Sやat homeを買収するような驚きです。
今回は、そんなZillow, Truliaを運営するZillow Group(以下、Zillow)の決算を見てみました。
2017年売上は1,077億で、71%が広告掲載課金
2017年売上は1,077億(YoY27%)、調整後EBITDAは236億(YoY63%)。
2014年のリクルートの決算書をみるとSUUMOがおよそ売上800-1,000億なので、2017年では同じか抜いているかくらいの規模です。成長率から見ると数年後には圧倒的な差になっているはずです。
売上構成を見ると、marketplaceカテゴリが94%を占めています。
その中でもPremier Agentという、個人エージェントの広告掲載課金が全体の71%を占めています。
「Real estate agents, teams and brokerages」を顧客として、彼らのビジネスやブランドの成長を促進させるためのソリューションが顧客提供価値であり、Zillowの競合と見られているRedfinと異なる部分です。
今後も網羅率の拡大=>個人エージェントの広告掲載課金に注力
Zillow, Truliaだけでなく多くのブランドを抱えながら、今後も住宅関連広告市場を網羅しつつ、個人エージェントが活躍できる場所に注力することが決算説明資料から読み取れます。
注目される理由は巨大な広告市場と、Zillowの情報網羅率
その理由の1つが、Zillowが狙うアメリカ住宅関連広告の市場規模です。
約1.7兆円あり、それが細分化されている状態です。
Zillowのミッションが「世界で最も大きく、最も信頼され、活気のある住宅関連市場を構築すること」なので、この市場でのシェア率no.1やデータ統合を視野に、最も規模の大きい個人エージェントから攻めているのがわかります。
攻めていますよというアピールをしているのが、このページです。
24,000近くの郵便番号地域を網羅しており、約650のMLSという住宅情報サイトと連携しており、96%以上の売り物件を網羅していると記載されています。
もう1つの理由が個人エージェントの露出面拡大
アメリカは日本と違い、個人エージェントが活躍する市場です。
州・地域ごとにライセンスを取得し、独立するかどこかのグループに所属しつつ売上の80%を報酬を受け取るかで生計を立てています。
Zillowはこの顧客に対して、出稿できる面を増やす投資をしています。
TVCM, 屋外広告というベターな方法や、モバイルアプリの開発です。
特にテクロノジー推しをしており、革新的なテクロノジーに投資して業界を書き換える動きをしていると報告しています。
この資料は、toCとtoBかつフェーズごとの投資方針やブランドポートフォリオがあり、わかりやすいです。
差別化要因となる圧倒的な情報網羅率を増やすべく、Search部分に6つのブランドを配置しています。
その結果、アメリカ全体の成約手数料成長率に比べて、Premier Agentによる成長率の方が圧倒的に優っています。
良質かつ圧倒的な情報量がZillowにあることで、後ろ工程に当たるPremier Agentが活躍しやすいという構造になっています。
またPremier Agentの露出枠はオークション形式になっています。
いくら出せば露出ランクがどのくらいになるのかが露骨に出て、競争原理が働くようになっています。
ROIも表示されるので、各自の予算で計算できるのがよく、Facebook広告と似ています。
まだまだ広告課金で成長余地あり
数年前から注目されつつも、2017年売上比で1,077億/17,000億*100%=6.3%のシェア率。
シェア率no.1を目指すZillowの成長余地はまだまだあり、適切な場所に投資をしている印象が受け取れます。
2017年のファネルを見ても
・年間住宅取引高は180兆
・成約手数料高は8.7兆(手数料率4.8%)(関連広告費7,200億)
・うち、Zillow内での推定成約手数料高は6,500億
・うち、Premier Agentの売上は762億(推定投資対効果は8.5倍)
と記載されています。
3番目が増えればPremier Agentの魅力は上がるだろうし、現在でも投資対効果8.5倍(=成約手数料あたりの広告出稿比率11.7%)だからもっと投資して4番目が増えるだとうということが読み取れます。
今後も網羅率の拡大=>個人エージェントの広告掲載課金に注力
繰り返すと、Zillowの2017年売上は1,077億。調整後EBITDAは236億。
売上の94%が広告掲載課金で、全体の71%が個人エージェントによる広告掲載課金。
アメリカの住宅関連市場は1.7兆円あるので、競合Redfinが狙う成約手数料には資源を投下せず、ミッション通り住宅関連市場規模の網羅率拡大と個人エージェントが活躍できる場所に注力していく模様です。
引用元:http://investors.zillowgroup.com/