ロードスターキャピタル:不動産投資のプロ×中国SNS企業renrenで成長中。
今回は「OwnersBook」という不動産特化型クラウドファンディングサービスを運営していて、昨年上場したロードスターキャピタルに注目してみました。
不動産投資分野でテクロノジーをうまく取り入れている、興味深い企業です。
主軸はコーポレートファンディング。将来はクラウドファンディングに。
ロードスターキャピタルの中期成長イメージは非常にわかりやすいです。
現在の主軸は創業者らが得意とするコーポレートファンディングです。
創業者3人がゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパンというゴールドマンサックス証券の不動産・債権投資部門の会社出身で、20年以上の経験があります。
得意領域でかつ、安定した需要がある東京23区に絞った上で、さらに競合が参入しづらい中規模オフィスに絞って事業を進めています。
戦略もわかりやすく、「プレーヤーが比較的少ない非効率的な市場をあえて主戦場とし、新たな収益機会を獲得する」と書かれています。
このあたりは現場感を知っているプロだからこそ取れる戦略です。
現売上の99%はコーポレートファンディング
販売実績からサービス別売上比率を見ると、99.3%がコーポレートファンディング事業です。不動産を仕入れて、売却収益や賃貸収益で売上を立てています。これだけを見ると、「東京23区の中規模オフィスをターゲットにした不動産投資のプロ集団」という印象です。
もちろんそれだけでも凄いのですが、この企業が興味深いのは中国SNS企業renrenが支配率36.6%の大株主ということです。
renrenは2010年頃に中国版Facebookと謳われていた「人人網(レンレンワン)」を運営している企業です。
(モバイル化の対応に遅れて、2016年2月時点で会員数4,000万人程度。シェア率1.1%で見る影もありません)
renrenが日本の不動産市場に興味を持ち、知人を通してロードスターキャピタルに相談したのがきっかけでした。そこから不動産を購入するのではなく、不動産会社を購入しようという流れで出資することになりました。
国内外クラウドファンディング市場の成長率が高い
そのrenrenから投資を受けた2014年に始めたクラウドファンディング事業に将来性を見据えています。この経緯も面白く、もともとrenrenがfundriseというアメリカのクラウドファンディング会社に投資することが決まっていて、その流れでロードスターキャピタルにも勧めたとのことです。
設立してから5年という短期で上場したのも、クラウドファンディング市場全体のイメージ向上が目的の一つと述べられています。
クラウドファンディング市場の成長は高く、国内CAGR81.4%(2013~16年)、海外CAGR133.8%(2012~2015年)です。
絶対規模ではまだ国内は1,090億円見込と大きくないものの、高い成長が見込まれる市場であることは間違いありません。
OwnersBookは順調に成長。魅力は安全性。
OwnersBookの事業推移も順調です。
口座開設まで進んだ投資家会員数が昨年比4.3倍の7,635名で、累積投資額が昨年比3.6倍の36.5億円です。
さらに、2018年1月にエクイティ投資型ができるために、投資運用業および電子申込型電子募集取扱業務の登録を国内で初めて完了しました。
投資先が特定でき、インターネット上で手軽に投資でき、今までの貸付型よりも高いリターンが期待できる商品を提供することが可能になりました。
似たような不動産投資に特化したクラウドファンディングサービスとしては、maneo(日本最大手)やクラウドクレジット(発展途上国中心)などがあります。
そちらの方が案件数も予定利回りも高いですが、OwnersBookの魅力はそれらを逆手に取った”安全性”です。
投資である以上リスクが伴うもので、不動産投資やクラウドファンディングはミドルリスク・ミドルリターンです。
不動産投資のプロが厳選する物件だけが出ることが魅力であり、募集開始1分で完売することもあるようです。
主軸はコーポレートファンディング。将来はクラウドファンディングに。
これまで個人投資家ができる不動産投資といえば、銀行から借り入れて行うマンション投資かJ-REITを購入することくらいでした。また情報の非対称性が生まれやすい領域でした。
それが、クラウドファンディング市場の成長に伴い、少額から投資可能で、情報の公開も進み、個人が投資できる領域が拡大していこうとしています。
得意領域であるコーポレートファンディングを主軸に置きつつ、テクロノジーを活用して将来性のあるクラウドファンディングに軸足を移していくロードスターキャピタル。
個人的にも今後の成長が楽しみです。
引用:https://loadstarcapital.com/ja/ir.html -決算説明会資料、ロードショー資料、有価証券報告書
引用:https://signifiant.jp/articles/loadstarcapital1/