陰(イン)の者の会議テクとスタンス、または上手な会議主催について

最近下手こくことも多く、自戒も込めて。
私はCTO、マネージャー、プロジェクト・プロダクトマネージャーとして、またはエンジニアとしては会議を招集することが多い。

私はベースは陰(イン)の者なので、あまり陽気に会議を回すのは好きじゃないのだが、テクニックによって乗りこなすようにしている。
そんな中で「失敗したなぁ」「成功したなぁ」と感じることがあり、会議主催において考えていることを文書化してみる。

会議における失敗と成功

それぞれ下記のような状況が生まれる。

失敗

呼んだ側・・・意図した合意形成や意思決定が得られない、またはその工程が進まない
呼ばれた側・・・呼ばれた意図がわからない、読んだ人の目的が適切に達成できない、呼ばれた側が損をする

成功

呼んだ側・・・意図した合意形成や意思決定が得られる、またはそれが得られなくてもそれに必要なことがわかる
呼ばれた側・・・呼ばれた意図や目的が適切に達成できる、そのための時間が短くて済む

これをなるべく成功に傾けるために意識していること、テクニックを言葉にしてみる。

テクニック

準備する

・資料を用意するが作り込みすぎない、精査する(参加者のコストを増やしすぎない)
・何を決めるまたは相談する会議かは最低限カレンダーの内容かタイトルに書く(参加者のコストを増やしすぎない)
・欲しい意思決定やアイデアを早めに得てプロジェクトや合意形成を促進できるような工夫を心がける
・参加者を見直す
・何回も開催しないで済むように工夫し続ける
etc…

一番基本的なことである。できることは無限にある。でもやりすぎても本当に意味がないし、何かを聞く前に備えすぎるのは最適じゃないので区切りはつける。準備時にはなるべくシンプルな図や表や箇条書きで整理する。それ以上の情報は読んでも解釈が人によってブレたりする。
なので準備はするけど時間をかけすぎない、不安なら会議前に準備した資料を使って進行を頭の中でもリハする。これは32になってCTOになった今でもやっている。

おさらいをする・目線を揃える

個人的には一番大事に感じていること。
準備をすること自体は必須、アジェンダもまた必須。ただそれは呼ぶ側の押し付けでしかないという意識で臨む相手がそれを見て理解している前提で話し始めない。同じ会社内で同じ利益を目指すもの同士でも、直前の忙しさや体調などでブレは絶対に出る。もちろん参加者の全員の合意やコミットによって、意思決定が効果的にきまるが、すべて毎回そうなるとは限らない。人には人の乳酸菌、人には人の都合がある。
なので私は絶対におさらいから入る。相手にそもそも期待しないほうが楽だし毎回同じパフォーマンスを出しやすい。

ex. 「今日はXXを話すのが目的で、YYのことを確認して問題ないことを決めれると嬉しい。私がめちゃくちゃ喋っちゃうので、何かあればすぐ指摘などをしてほしい、問題あれば直接コメントやドキュメントに書いてほしい。そんな感じで進めますけど大丈夫ですか?」

フォーカスを合わせる

皆が何に注目して議論に参加しているか、「フォーカス」を意識する。
議論をしている中で「何の話をしているかが人によってズレることがある」という前提で話す。発言の言葉選びによっては違うことを言及したり意図して、しなくても遠回り・不要なワードチョイスが出てきてしまうことがある。意図に向くようにする。これは議論が難しくなるほど悪化する。なので常に「自分」もそうだし、「相手の発言」もそうだし何について話しているかを明確にするように心がける。
議論であれば、調べながら議論してくれている人もいるわけでその瞬間は議論に参加できない参加者も当然いるわけで、そこは毎回フォーカスを合わせて全体で一番最適な状態を作り続ける。
議論が進んでいるのか、戻っているのか、広がっているのかを意識して議論を進める。

ex. 「ではXXということにたいしては、YYという方針で大丈夫ですかね?私は特に問題ないと思いますが、他の意見ありますか?AAさんの発言もXXについてで大丈夫ですかね?めちゃいいと思います。」

アイスブレイクを訓練としてやり続ける

もちろん相手に無駄な時間を使わせないことは大前提にあるが、結局喋りにくい雰囲気や状況は結果的にコストを産むので「話していい状況で対話を求めていること」を明確に雰囲気づけるためにも重要。雑談やアイスブレイクを練習しないでできると思っている人が多いけど、やったほうがいいのにやらないのはただ理由をつけて逃げているだけ(そんなことない)なのでちゃんと訓練してやり続けた方がいいと思っている派です。

私は超絶苦手なので、基本は嫌ですけど頑張る派です。やって楽しいことの多さにも取り組んでみて気づいたので結果そこまで嫌いじゃなくなりました。実感しないとできるようにならないので練習しましょう。私の周りは本業副業含めてありがたいことに共通の話などたくさん持っている人が多いので話しやすいです。

アイスブレイクは相手のご機嫌を取ることが目的じゃないので、笑顔じゃなくてもいいし、面白いことを言わないでもいい。喋ってもらうためのマイクのリハだと思うくらいでいい。よほど偉い人相手とかじゃなければ何喋っても大体の人は怒らない。

全員が話を聞けている・理解している前提で進めない

誰かの発言が何かの決定や方針になることが、会議では局面としてある。そこは切り取って何回か言うことにしている。オンラインでもオフラインでも常に「フォーカス」が全員向いているとは限らない。これはどんな状況でも人によっては急な相談がチャットできたり、PCが調子が悪かったりで起こることなので諦める。なので大事そうな発言や方針は自分自身も理解して、解釈して再発言する。で議事録残す。

喋りながらメモをとる、またそのスキルを培う

ファシリテートしながらメモをとるスキルを伸ばしておくと楽。
議事録を誰かに取ってもらうと人によってぶれるので自分でやっちゃう。
もちろん誰かに任せて喋ったり考えるのに集中できた方がいいけど、常にそうなるとは限らない。私はMacのsplit viewで画面共有してブラウザ2枚並べたものを出して左に共有するコンテンツ、右に議事録を残す。
人が理解できる情報量には限りがあるので、一度に複数人が複数画面を見るのは無理。共有される画面の中に見るべき情報と、そこから議論されたメモが残っている方が全体の理解が進むし「フォーカス」が合う。
これをやっておくと議事録を見返すとか、議論が異なって進んでいる状況を減らせる。

総じて、人に期待しない

暗黙な身勝手な期待」という言葉を意識している。言語化されてない期待はただの身勝手な理想の押し付けでしかないことが多い。自分が主催で意思決定や情報を得体側なのであれば、そもそも工夫をすべきであるし、適切に目的や期待を言語化すべきである。しないのであれば期待しない。会議に限った話じゃないですが。「資料用意したけど、見てもらえてなかったなぁ」はそもそも

・事前に見てもらうことを伝えたか
・相手が理解できる粒度や内容、前提が伝わる資料だったか
・そもそも見ておくべき理由が伝わっているのか
etc…

もちろん企業や組織の文化にも依存するけど、相手に期待し続けることは再現性がない。自分のアクションを変える方が完全にコントローラブルなのでよっぽど意味があると思っている。もちろん上記のようなことを全てやらないでも成り立つ、効率的な状況は素晴らしいけど、それは恵まれた環境なだけで環境が変わった時に自分がパフォーマンスを出せないことがあったりする。そう状況は問題解決ブルドーザーを目指す私としては好ましくない。

もちろん全体として、必要ない会議をしなかったり、効率の良い会議を組織の努力として実施するのは大事だし、私自身もそれをルール化したり投げかけたりする。なのでこれまで書いたことはあくまで個のこと。あくまで一人の後ろ向きな陰の者としての会議における生存戦略である。

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