あの夏、私はコーヒーカップを埋めた
"あちこちのすずさん"のひとり
川田智恵子のはなし
「あの夏、私はコーヒーカップを埋めた」
(これは叔母(母の姉)の話を、姪である私が、叔母の一人称で書いたものである。本人は令和4年に105歳で亡くなり、もう確認することができないので、想像や脚色を含む。名前は仮名。
※原爆、空襲の描写があります )
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私、川田智恵子は大正6年に、割烹旅館の第一子に生まれました。
お金持ちではありませんが、特に不自由のない暮らしで、一つ下の弟と通った幼稚園では、洋服を着ていたのは私たち