とある宗教の親に育てられた自らの半生②
このシリーズ2回目の投稿をここでしようと思う。わたしは、エホバの証人という宗教をやっている家庭で育った、今話題の宗教2世である。
前回は、母親がどのようにしてエホバの道を歩みだしたのかについて少し触れ出したところで終わった。
今回は人はどのようにしてエホバの証人となり得るのか、それを主に書いていこうと思う。
エホバの証人の信者になるには大きく分けて2つの道がある。
ひとつは、母親のように戸別訪問によって入信するパターン、もうひとつはわたしのように親か身内から子供のうちから教育され信者に養成されるパターンである。
戸別訪問を受けて、ああいい話だな、この教えは真実だと確信しても、はい、では今日からあなたは信者ですとはならない。
信者になるためには、最低でも半年ほどはみっちりとエホバの教えについて学ばなければならない。
ちなみにエホバの証人は、キリスト教の一派で、教科書はエホバの証人が使っている聖書か、それかもしくはその聖書に基づいて製作された出版物で、もっぱらこの出版物をベースにして教えを徹底的に叩き込まれるのだ。
さらに週に3回、王国会館と呼ばれる建物に信者が集結して、そこで講演会だったり、戸別訪問へ向かうためのシュミレーションだったり、出版物を共に勉強したりして、エホバの証人としてどう生きていくかを学んだ後に、次は自分がその教えを布教していくための訓練を受けていかなければならない。
ちなみに、この集まりの事を集会と呼んでいる。
この集会に欠かさず出席するようになり、戸別訪問へ向かうための訓練も積んである程度認められるようになると、いよいよ信者になる試験のようなものがある。男性のベテラン信者に幾つか質問を受け、信者としてふさわしいか見極められるのだ。
そこでふさわしいと判断されてから、今度は集会よりももっと大きな大会と呼ばれるものに出席して、そこで信者として生きていくための話を聞き、特別に設けられたプールに入り、そこにはベテランの信者が待っていて、鼻を手で抑えながら、後ろに倒され、頭まで水に浸かる浸礼の儀式が執り行われて初めて信者になるのだ。
この浸礼の儀式のことをバプテスマと言われている。
大会というのは、いわゆる小学生の時の関東大会とかと同じで、いろんな地域からひとつの場所に一気に集まる、年に2回~3回あるエホバの証人にとっては、大事で大きなイベントの事である。
ちなみに、信者同士の事を男性なら兄弟、女性なら姉妹と呼び合っている。
例えば佐藤太郎さんなら佐藤兄弟、佐藤花子さんなら佐藤姉妹。信者同士親しくなってくると名前で太郎兄弟みたいな感じで呼び合うようにもなる。
そんなプロセスを経て、わたしの母が晴れて信者、つまり姉妹になったのはわたしが5歳の時であった。初めて戸別訪問を受けたのが、まだわたしが物心つく前の頃だったと考えると、信者になるのに結構な時間を要したと言える。
なんとなく残っている、母親がたくさんのまわりの人から拍手されている記憶。
自分は何がなんだかわかっていないんだけど、母親が嬉しそうにしていたので自分も嬉しかった記憶。
そこからまさか、辛い少年時代が待ち受けていようとは思っていなかったが。
次回は自身の少年時代を振り返っていこうと思う。