寝ながら食べられる

眠いから寝る、とわたしは宣言した。

にもかかわらず、ベッドで抱き合ったあと(いつでもそうしている)、キスしたり軽く触り合いしていた。わたしとしてはそのまま寝る気でいたし、それで普通に寝てしまうことだってある……のだけど、その日は彼がその気になった。けどわたしは眠い。

わたしから触ったりできないと思うけど。「いいよ」

口でしたりしてあげられないけど。 「うん。それでもしたい」

まあいっか、と眠気でとろんとしたまま許可した。

そもそもわたしは寝てる間にされるのが嫌というか怖い。途中で目が覚めたとき、即座に相手が彼だと認識できないと一瞬でも慌ててしまう。それが非常に心臓にも精神にもよくない。だから今まで旦那くんにはしないでねって言っていた(まあでも何回かある)。

今回は寝る前だし、まあいっか……と、とろけた脳味噌でわたしは「いいよ。好きにして」と言った。

仰向けに寝たわたしに、彼がキスをする。甘いキス。とろんとしたまま、でも舌と唇は応えてしまう。キスを交わしている間に、彼はわたしのキャミソールをはだける。

彼の唇が離れる。目を閉じたままなので、彼がどこへ触れるか分からない。胸に来るかと思ったらおへそ近くに来て、優しく吸われた。声が出る。

彼の唇と舌とてのひらと指が、わたしをどんどん溶かしていく。

優しく優しく、不意に強く。彼の息遣い。彼の愛撫の癖。そっと名前を呼ばれる。

このまま寝てもいいかなと思いながら、彼を求めている。たぶん、ねだったと思うけれど、そこからあとは憶えていない。快楽に蕩けてしまったからだ。

ただ、彼に貫かれながら、その手を握っていたことだけは憶えている。

結論:相手が旦那くんとわかってるなら、おやすみセックス全然アリでした。


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