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「最も美しい村」世界総会2022 in ITALIA


2022年5月26日
 
午後、ローマ市内のホテルからフィウミチーノ空港へ移動。とても陽気なドライバーで、空港までの楽しい時間を過ごす。

16:00 フィウミチーノ空港
各国の参加者が集合してシャトルバスに乗車。グレーのボディカラーのバスもドライバーもかっこいい。総会の開催地である パッシニャーノ・スル・トラジメーノへ向かう。
空港を出てまもなく、「なんだか美瑛みたい」との会話が漏れ聞こえてくる。丘陵地に拓かれた畑の中に牧草ロールが点在し、遠くに山並みにが見える。確かに美瑛に似ている。途中のカフェ休憩で寄ったサービスエリアには、マルコ・パンターニ(伝説の自転車選手)の人形がお土産の棚に並んでいた。イタリアは自転車王国である。

19:00 ホテルチェックイン
最後にバスドライバーの素晴らしい車庫入れテクニックが披露され、湖畔のホテルLIDOに到着。

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パッシニャーノ城

19:15 ウェルカムアペリティフ
湖畔のホテルを出るとそこが街の中心であった。ピンク色の外壁の庁舎、広場の先は城壁へと続く。デザイン的に完璧な「イタリアの最も美しい村協会」のサインに見惚れていると、そこが中世の世界への入り口であった。ツバメが低空飛行で自由自在に飛びまわっているなか、パッシニャーノ城の中心部へと向かう。

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パッシニャーノ城で催された歓迎会

トラジメーノ湖が見渡せる広いバルコニーが歓迎会の会場に設えられていた。とてもシンプルで人々がよく引き立つと思った。
イタリア協会の挨拶が終わると、地元産のシャンパンと大粒の褐色に輝くオリーブが振る舞われた。オリーブは地元の名産品とのことだ。イタリア協会のプリミ会長自らボトルを開け、どんどんグラスに注ぎ振る舞ってくれる。

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地元のボランティアの女性たちから料理がどんどん運ばれてくる

20:15 湖畔のデッキにテーブルを並べて夕食会
国別のテーブルに促され夕食会が始まる。中世の衣装服をまとった少女たちが料理をサーブしてくれる。どのお皿の料理も美味しい。そして前菜からかなりの量で後半のメインディッシュはあまり手が付けられなかった。

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散策中に出迎えてくれた犬が我々を先導してくれた

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2022年5月27日
世界総会
09.00 理事会
朝食後、理事会に出席しない私たち取材チームは旧市街を散策。城内は小径と階段が入り組み迷宮であるが、どの家も住人が生活されていた。通りに面した玄関先には美しい花が飾られている。表札は手作りだが素材には統一感があった。そしてこの街のシンボルはどうやらツバメのようだ。

トラジメーノ湖は周囲57 kmで、滞在中にホテルの前を通過するサイクリストの姿をよく見かけた。マウンテンン、ロードバイクと種類豊富なレンタルバイクのお店もあり、大きな起伏もなさそうな湖畔1周のサイクリングは快適だろう。

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左:総会が行われた庁舎 右:総会の様子

10:00 世界連合会総会
予め配布されていたプログラムを見た誰もの予想通りに、総会の中心的な議題は「中国の最も美しい村」協会から、世界連合会への加盟申請についてであった。
中国側が求めた「将来的に『台湾の最も美しい村』協会が発足したとしても国際連合会への加盟を認めない」という覚書への調印。そのことに対する意見として、日本を含む正式メンバー5カ国の代表者がそれぞれ率直に、自分の考えを述べていた。素晴らしい文化でありネットワークであると感じた。

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お昼休憩に地元メディアの取材。左から浅田事務局長、インタビュアー、イタリア協会のプリミ会長、日本協会の二宮副会長、スペイン協会のメストレ会長、フランス協会会長
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会場がこの日一番の和やかな空気になった
左:パッシニャーノ・スル・トラジメーノのサンドロ・パスカリ村長さんを囲んで庁舎の前で 右:法被を着こなすスペイン協会のラウルさん(左)

15:00 各国のプレゼンテーションタイム。日本チームはこの日のために誂えたお揃いの法被で、ここ数年の「日本で最も美しい村」連合の活動を報告。最後に来年2023年は、京都府伊根町で世界連合会総会が開かれることも盛大な拍手と共に受け入れられた。

17.00 パッシニャーノ・スル・トラジメーノ旧市街視察。
フランス語ガイド、英語ガイドの2つのグループに分かれてツアー開始。城壁のなかの広場では、小さな木製の船を囲んで地元の男たちが集っている。お揃いの赤いユニフォームで、もうかなりアドレナリンが出てるようだ。今日は夏祭りに向けた神輿担ぎの練習会、そんな感じだろうか。

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4地区対抗のボート競技「イル・パーリオ・デッレ・バルケ」練習風景

ガイドさんに促されて路地を上がっていくと、観客がどんどん集まってきて何やら始まりそう。ユニフォームの男たちがチームごとに走ってくる。どうやらウォーミングアップのようで、間もなく競技が始まりそう。
それから待つこと数分、小径の下の方から歓声が近づいてきた。観衆の間を、船を担いだ七人の侍が駆け抜けていく。後に聞いた話しでは今回の総会参加者へのサプライズイベントであった。

PALIO DELLE BARCHE
 4つの地区が対抗してタイムを競うボート競技「イル・パーリオ・デッレ・バルケ」。ボート競技といってもただ湖を船で渡るだけではない。湖から船で岸へと上陸すると、ボートを担いで狭く曲がりくねった旧市街の道を駆け抜ける。丘の上のパッシニャーノ城に辿り着いたらもう一度湖へと駆け下り、ゴール地点を目指して再び船を漕ぐ。
 このレースの起源は、1495年にトラジメーノ湖を舞台に繰り広げられた海戦中に起きたとある逸話。敵軍に追われたオッディ家の部隊が、今日行われているレースと同様に、ボートを担いでパッシニャーノ城へと逃げ帰ったと言われている。過酷な競技ということもあり参加者は若い男性が中心となっていたが、沿道には老若男女問わず多くの地元民が詰めかけていた。
 「新型コロナウイルスの影響により2年間の中止を経て、ようやく今年開催できるようになりました」そう嬉しそうに地元ガイドが話していたのも、住民たちにとって欠かすことの出来ないイベントだからなのだろう。7月末に一週間かけて開催され、毎晩それぞれの地区が持ち回りでこの地域伝統の郷土料理を提供することになっている。

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世界連合会10周年のお祝いケーキ

昨夜は深夜まで食事の時間が続いた。3年ぶりの再会と世界連合会10周年のお祝いでもあったからだ。

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2022年5月28日 トラジメーノ湖にあるマッジョーレ島 

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左:マッジョーレ島のレース博物館 右:サン・ミケーレ・アルカンジェロ教会

09.00 曇り空の下、イゾラ・マッジョーレへ向けて乗船
湖上は意外と風があり肌寒い。船は途中で別の島へも立ち寄るため、「ここでは降りないでね」との通達あり。

島へ上陸する頃には雲が去り青空になっていた。上陸後、ガイドさんに付いてレース博物館を見学。続いてオリーブの木の間を縫って丘の上に建つ教会を目指す。
途中で野生の雉が我々を(?)お出迎え。島の女神の化身であるかのような美しい佇まいだった。その先、丘の上に建つのは、14世紀ウンブリア風ロマネスク様式で建てられたサン・ミケーレ・アルカンジェロ教会。

パニカーレから見た景色。オリーブ畑のパノラマの先にトラジメーノ湖

12:00 船でパッシニャーノに戻り、バスで次の村「パニカーレ」へ移動。
パニカーレ庁舎での歓迎セレモニーの後、ランチタイムにスペイン協会のメストレ会長と懇談。来年は日本が世界連合議長国の為、スペインから引き継ぎのアドバイスをいただく。若いメストレ会長の総会での議事進行は素晴らしかった。
また世界連合WEBサイトの運用は引き続きスペインが担うとのこと。世界連合サイトは、最も美しい村のポータルサイトとして1000あまりの村の情報を掲載し、言語の違いを乗り越えていく。その仕事を担うスペインチームの努力は素晴らしいと思う。

パニカーレの中心、16世紀の噴水がある広場で記念撮影

昼食後はパニカーレの街へ。ラファエロをはじめとした素晴らしいフレスコ画の数々、「アルス・パニカレンシス」の名で知られる、この村の伝統工芸チュールレース刺繍。そして小さくて美しいチェーザレ・カポラーリ劇場。小さいながらも桟敷席を備え、劇場後部はオーバル状の曲線、壁や柱の意匠はとても繊細で美しい。ルネッサンス期の美の力、特にラファエロのデザイン力に圧倒された。
街の散策の後はフリータイムのようで、中心の広場にあるカフェで休憩。そして参加者全員の記念撮影の後、「イタリアの最も美しい村」協会の会長を務めるフィオレッロ・プリミ会長が、10年間首長を務めた街「カスティリオーネ・デル・ラーゴ」へ移動。

城壁の中をぐるりと回れる。迷子になったら「USCITA」の表示に従う

城塞の中はとても活気があった。陶器を扱うアトリエにワインショップ、ソーセージやハムなどを扱う食肉加工品店。レストランやホテルが軒を連ねる。歓迎のセレモニーのあと、街の博物館の小部屋を移動していると、いつの間にか城壁の中を通り抜ける迷宮へ。宮殿から城壁へ繋がる秘密の通路があり、有事にはこの通路を使い戦闘態勢に入ったようだ。一人しか歩けない幅の通路をずんずん進み、城壁の上を歩いて湖を一望することができた。「獅子の城」に相応しい迫力の場所。湖の向こうから嵐が迫って来た。

左:ドラムを叩くプリミ会長 右:湖畔のリストランテでの夕食時、オレンジ色のカクテル

湖畔のレストランで夕食後、再度街へ。本日のメインイベントであるコンサートはプリミ会長がドラムを叩く真夜中のライブだ。雨の中、ドラムを叩くプリミ会長の姿がみんなの目に焼きついた。
それにしても本日の予定がだいぶ押してしまった! まだまだ続きそうなドラムの音に見送られながら、名残惜しくバスに戻る美しい村チームの面々であった。


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2020年5月29日 チヴィタ・ディ・バニョレー ジョ
朝方雷雨。トラジメーノ湖の対岸から落雷をともなった稲光りと風が迫ってくる。窓をあけたまま眠っていたので目が覚めた。

チヴィタ・ディ・バニョレージョの街中には美しい家々がある

09.00 シャトルバスでチヴィタ・ディ・バニョレージョへ向かう。高速道路から逸れて山道になってきた。今日は土曜日、サイクリストが走っている。バスは山の中をけっこう走って、「天空の村」に到着。とても人気の村らしく多くの観光客で賑わっている。
独特な景観は、長年の雨風による浸食により大地が削られつくりだされている。ガイドさんは「ジブリ映画のラピュタ〜」と説明されていたが、周囲からぽつんと取り残された岩山の上の街の姿は、なんとも危うげで幻想的。その岩山には鉄筋コンクリートの橋が架けられている。
かなりの勾配(急な場所では25%以上あるのでは?)のその橋を渡り、村のなかへ入る。村長は車で出勤されているとのこと。
ガラスで覆われた地面があり、これは何かと覗き込むとガイドさんの説明が始まる。「集落を将来的な土砂崩れから守るプロジェクトとして、村内7ヶ所に深さ数十メートルにも及ぶコンクリート製の杭を打ち込んでいる」との説明であった。

別名「死にゆく街」と呼ばれることもある「美しい村 チヴィタ・ディ・バニョレージョ」

昼食後、ロ ーマ・フィウミチーノ空港へ移動、濃密な4日間が終わり、来年伊根町での再会を約束して解散。日本チームはPCR検査の為、ふたたびローマ市内に移動。


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